北朝鮮が、韓国との航空路線の開設を提案したことがわかりました。実現すれば、平壌~仁川間に航空路線が開設され、観光客も搭乗可能になるとみられます。日本人にとって近くて遠い国、北朝鮮への旅行に、新たな道ができるのでしょうか。
北朝鮮がICAOに通知
国際民間航空機関(ICAO)は2018年5月4日、北朝鮮が韓国との航空路線の開設を提案したことを明らかにしました。
各社報道によりますと、バンコクのICAOアジア太平洋地域事務所は、北朝鮮から平壌~仁川間の航空路開設の提案を通知する書簡を2018年2月に受け取ったとのこと。近く、ICAOの航空技術局長らを平壌に派遣して、安全面などの協議を行うそうです。
韓国は北朝鮮の提案を受け入れるか検討中です。航空路が開設されれば、朝鮮戦争停戦後、初の南北朝鮮間の民間定期航空路になります。
これまで、日本から北朝鮮に旅行する場合、北京または瀋陽経由が一般的でした。平壌~ソウルの航空路が実現すれば、日本からも仁川乗り継ぎで平壌にアクセスできるようになります。相互主義なら韓国側から大韓航空かアシアナ航空が就航するでしょうから、北朝鮮の高麗航空に乗らずとも平壌に行けそうです。
観光客も積極的に受け入れか
この航空路が、そう簡単に実現することはないでしょう。実現するとすれば、米朝会談を経て、朝鮮半島の緊張が相当に緩和した状態になってからとみられます。
それを見据えて、北朝鮮が航空路開設の提案をしたのであれば、その目的は観光客の誘致による外貨獲得に違いありません。となると、航空路が開設されれば、北朝鮮は観光客受け入れを積極的におこなう可能性が高そうです。
日本政府は渡航自粛求める
日本人旅行者にとって、北朝鮮は近くて遠い国です。とはいえ、過去、手配旅行であれば日本人の北朝鮮旅行は可能でしたし、実際にツアーなどで参加した人は数多くいます。ネットを検索すれば、北朝鮮の旅行記を探すことは容易です。
現在は、日本政府が北朝鮮への渡航自粛を求めていて、旅行をする時期ではありません。ただ、この航空路が本当にできるほど緊張緩和が進めば、その時点で日本政府による自粛要請が解除されている可能性もあります。
もちろん北朝鮮のことですから、そう簡単な話とは思えませんし、航空路開設提案が、一つの政治的カードにすぎない可能性もあります。航空路ができても日本人が乗れるようになるとも限りません。
近くて遠い国に、安全に旅ができる日がくるのか。旅好きにとっても、今後の朝鮮半島情勢から目が離せません。(鎌倉淳)