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神戸市営地下鉄と阪急神戸線「直通運転」の未来像。ついに本格検討へ

実現のハードルは高いけれど

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神戸市営地下鉄と阪急神戸線の相互直通運転の実現に向けて、ついに本格的な検討が行われることになりました。再選された久元喜造神戸市長が明らかにしました。相互乗り入れの未来像を考えてみます。

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相互乗り入れは可能

神戸市営地下鉄と阪急神戸線の直通構想は、阪急神戸線の三宮駅付近を地下化し、神戸市営地下鉄の西神・山手線と結ぶものです。

両線を直通運転する構想は、神戸市営地下鉄の建設当時から存在し、そのため西神・山手線は阪急神戸線と線路幅など基本的な仕様が同じになっています。線路をつなげば相互乗り入れは実現可能で、近畿地方交通審議会の2004年の答申にも、この直通構想が掲載されています。

しかし、現在の西神・山手線は、三宮から新神戸を経て北神急行線に直通する線形になっており、阪急神戸線とは連絡していません。両線を接続させるにはトンネルを掘り直すなどの大工事が必要で、実現性には疑問符がついていました。

神戸市営地下鉄

久元市政で転機

風向きが変わったのは、2013年の久元市長の就任です。久元市長は、就任後の市議会で「相互直通運転による地下鉄沿線への影響、技術的な課題の検証も含めてメリット、デメリットを研究したい」と答弁。直通運転への研究が始まりました。

2017年10月22日の神戸市長選では、久元市長が「市営地下鉄西神・山手線と阪急電鉄の相互直通」を公約に掲げ再選。選挙後の報道各紙の取材に対し、地下鉄・阪急の直通運転に関し、本格的な検討をする方針を明らかにしています。

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「今年度中にまとめる」

日本経済新聞2017年10月23日付によりますと、すでに「1年以上前から市と阪急電鉄で事業費や技術などを事務方で意見交換」しており、市長は「実現する方向で検討し、できるだけ早くメドをつけたい」と強い意欲を見せたということです。

朝日新聞同日付は、「技術的観点や事業費の問題もあり、実現できるとは言えないが、検討を加速させたい」と、記者会見で意欲を見せたことを報じています。

市役所内には反対意見もあるようですが、久元市長は、「大阪まで直通で行けることがまちの進化につながるかを判断する」(日経)、「今年度中に費用対効果などをまとめる」(朝日)と述べており、今回、公約に掲げて当選したことを大義名分として、前向きに調査が進むことが期待できそうです。

王子公園以西を地下化

とはいうものの、神戸市営地下鉄と阪急神戸線の乗り入れが、難題であるのも事実です。

これまでの報道などをまとめると、現在の検討内容としては、王子公園~春日野道間で阪急神戸線を地下化し、三宮駅付近で神戸市営地下鉄と接続させる形が基本です。

そのうえで、上沢駅に待避線を設置し、優等列車の運転をするなどして、梅田までの直通運転と所要時間短縮を実現させることを検討しています。

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三宮駅をどうするか

ポイントとなるのが、三宮駅の構造です。

現在の地下鉄三宮駅に阪急が乗り入れる案と、地下に新駅を建設して、三宮以西で阪急と地下鉄が接続する案があるようです。市では2017年度中にも複数案を示し、事業費などを検討するとしています。

検討案の詳細は明らかではありませが、事業費が安いのは、現在の地下鉄三宮駅に阪急が乗り入れる形でしょう。

乗客にとっても利便性が高そうですが、地下鉄三宮駅が二層構造の2面2線であることがネックです。阪急が乗り入れた場合、2線だけで西神中央方、新神戸方、梅田方の列車を捌かねばならず、ラッシュ時のホーム容量が逼迫しそうです。

また、地下鉄三宮駅は折り返しができない構造のため、阪急が乗り入れれば、全列車が地下鉄に直通しなければならなくなります。

そうすると、三宮以西の地下鉄線で、列車本数が供給過剰になります。

「三宮新駅」の場合は?

三宮に別の地下新駅を造るという考え方もあるでしょう。梅田方面への折り返しが可能な形にすれば、ホーム容量にも余裕ができ、ダイヤ作成上の制約は少なくなります。

しかし、どこで阪急と地下鉄が接続するかが難題になります。三宮駅以西で接続させるなら、市街地のビルの下に地下線を造らなければならなくなり、事業費は跳ね上がりそうです。

また、別駅を作ると、地下鉄の新神戸系統が現駅での発着、阪急系統が新駅での発着と分かれることになります。すると、利用者には使いにくくなります。

現駅を廃止して新駅に統一するという方法もあります。その場合は、新神戸方面への分岐が問題になりますが、それさえ解決できれば、いちばんすっきりするでしょう。

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運行形態を考える

運行形態については、三宮駅の構造が決まらないと予想が難しいですが、あえて考えてみます。

阪急神戸線の運転間隔が今後も維持されると仮定するなら、特急のみが地下鉄に乗り入れる形になるでしょう。その場合、地下鉄内は阪急直通の優等と、新神戸系統の各停が10分間隔で運転されると予想します。

ただ、地下鉄線内は日中毎時12本の運転となり、現状より4本も増えてしまいます。運用数を減らす目的で、各停は名谷折り返しになるかもしれません。

人口減少の時代を迎え、地下鉄線内の運転本数を減らすこともあり得ます。

たとえば、日中に毎時6本まで減らし、全列車各駅停車とし、優等運転はラッシュ時のみとする可能性もあるでしょう。その場合、日中は名谷方面からは全列車が各駅停車の梅田直通(阪急線内特急)となり、新神戸系統は、三宮で折り返すことになります。

人口減少が後押し

総事業費は構造によって大きく異なるでしょうが、1000億円規模になると見込まれています。それだけの大枚をはたいても市長が直通運転にこだわるのは、前述した人口減少のカゲが、神戸市にも忍び寄ってきているからです。

神戸市は2015年の国勢調査で、前回調査から人口が約7000人減少しました。地下鉄沿線の西区についても、阪神大震災後は人口流入が続きましたが、2013年に人口減少に転じています。

郊外ニュータウンの人口減少は全国的な現象で、西神ニュータウンも例外ではありません。西神エリアの衰退を食い止めるには、地下鉄の大阪への直通運転が必要というのが市長の判断です。

阪急は積極的

乗り入れ相手方の阪急は、かつては乗り入れに否定的でしたが、2004年交通審議会答申の後、積極的な姿勢に転じています。2005年には「2015年度の三宮駅地下化構想」を発表し、神戸市に地下鉄との相互乗り入れを提案しました。

これに対し、神戸市は当初冷淡な姿勢でしたが、久元市政になって前向きに転じたのは前述したとおりです。市長がこれだけ意欲を見せている以上、実現の可能性は高まってきたといえそうです。

今後、どんな案が出てきて、最終的にどのような形に落ち着くのかはわかりませんが、ぜひ実現に向け歩き出してほしいところです。半年以内に出されるであろう、相互直通運転案の内容が楽しみです。(鎌倉淳)


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