白馬エリア11スキー場で共通ICリフト券を導入。志賀高原を凌ぐ「日本最大のスキー場」として「HAKUBA VALLEY」をPRへ

長野県白馬エリア(大町市・白馬村・小谷村)の11スキー場で構成される「HAKUBA VALLEY」(白馬バレー)で、共通ICリフト券が発売されることになりました。

2016-2017シーズンからエリア内共通の自動改札システムを投入し、全エリアで滑れるICリフト券として共通シーズン券の販売も開始。白馬バレーを「国内最大のスキー場」としてPRしていきます。

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共通の自動改札システムを導入

「HAKUBA VALLEY」は、白馬エリアの11のスキー場、15の索道事業者で構成されるスキーエリアです。2016-2017シーズンより、この11スキー場共通の自動改札システムを導入します。

共通自動改札システムによって、「HAKUBA VALLEYチケット」(スキー場共通券)を購入した利用者は、チケットの有効期限内であればHAKUBA VALLEY内の11のスキー場どこでも、窓口に並ばずに直接リフトに乗車することができるようになります。

当初は、一部スキー場で窓口での各スキー場チケットとの引き換えが必要ですが、将来的に解消されていく予定のようです。

白馬

「一つのスキー場」としてPR

白馬エリアは日本有数のスキーエリアですが、これまで共通したインフラを持たず、個別のスキー場が散在している印象でした。しかし、近年は索道事業者間の連携を強化しつつあり、今回の共通システムの導入を機に「一つのスキー場」としてPRしていく姿勢を明らかにしています。

白馬エリア11スキー場では、リフト・ゴンドラはあわせて111本あり、滑走可能面積は956haにのぼります。HAKUBA VALLEYのプレスリリースによりますと、志賀高原は400ha、苗場+かぐら(Mt Naeba)は396haで、HAKUBA VALLEYはその2倍以上の規模であり、「国内二位の二倍以上の規模を誇る『一つのスキー場』」としています。

スキー場面積

HAKUBA VALLEYは接続しているスキー場が少ないので、志賀高原やMt Naebaと比較するのはやや無理がある気もしますが、理屈はどうあれ、白馬がまとまってきたことは、利用者にとってもメリットがありそうです。

ちなみに、HAKUBA VALLEYでは、「一つのスキー場」の定義として、「同一エリア内にあって単一のチケットを利用して滑走できるゲレンデ群」としたそうです。

共通シーズン券は13万円

白馬エリアでは、共通自動改札システム導入により、一枚の共通ICチケット(HAKUBA VALLEYチケット)を持つだけで、HAKUBA VALLEY内の全てのゲレンデを自由に滑走できるようになります。

2016年6月1日には、共通ICカードを利用した「HAKUBA VALLEY SEASON PASS」(白馬エリア共通シーズン券)を大人13万円、子供7万円で販売開始しました。シーズンに入ってからは、現在発売されている共通リフト券「HAKUBA VALLEY TICKET」もIC化されるとみられます。

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そんなに何カ所もまわれない

ただ、正直な印象を書くと、白馬エリアのチケットがICで共通化されたといっても、多くの日本人スキー客にとっては、あまり意味がなさそうです。首都圏や関西圏からスキー客の多くは週末に1泊か2泊で訪れるだけですし、スキー場をはしごする時間的余裕はあまりありません。

スキー場が接続している志賀高原ですら、1度の滞在でにそんなに何カ所もまわれないのに、スキー場が離れている白馬ならなおさらです。

狙いはインバウンド

実際、HAKUBA VALLEYの狙いは、日本人よりは外国人スキー客のようです。白馬はすでにニセコに次いで国内で2番目に外国人スキー客数の多いエリアとなっていて、積雪不足でスキー入り込み客が激減した2015-2016年シーズンでも外国人スキー客は前シーズンと比べ約30%増加したそうです。

外国人スキー客は平均8-9日程度の長期滞在が特徴で、共通自動改札システムも、長期滞在者に向けてHAKUBA VALLEY内の流動性を高めるのが目的の一つとみられます。各スキー場間を結ぶシャトルバスも充実させていくとしており、インバウンド需要の活性化を進めていくそうです。

最近の白馬は国際化が進んでいて、スキーシーズンには日本人より外国人の姿のほうが目立つようになってきました。ニセコに比べれば東京からのアクセスは良く、これからも日本を代表するスノーリゾートとしての成長を期待したいところです。(鎌倉淳)

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