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屋久島の安房森林軌道が旅客化に向け調査される。縄文杉観光をトロッコ列車で行える時代は訪れるか?

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日本最後の森林鉄道として知られる鹿児島県屋久島の安房森林軌道について、旅客化に向けた調査が進められていることがわかりました。実現にはハードルも高そうですが、鉄道利用で縄文杉観光ができるようになるのでしょうか。

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地元有志の視察会が行われる

安房森林軌道は、屋久杉の運搬を目的に1923年に開業した森林鉄道です。最盛期の軌道総延長は約26kmに及びました。現在、どれだけの区間が走行可能な状態で残されているのかははっきりしませんが、苗畑~荒川分岐点の約11kmと、荒川~小杉谷分岐~石塚の約4.5km、小杉谷分岐から縄文杉方面に延びる支線約6kmなどは軌道が現存しています。

2012年8月16日には、地元の関係者の有志が実際にトロッコ列車に乗車する「視察会」が行われています。(写真)。実際にトロッコ列車を走らせてみることで、旅客化に向けた問題点を洗い出しているようです。

安房森林鉄道の視察会

視察会は2両のトロッコを連結して実施

苗畑~荒川分岐点を調査

視察会が実施された区間は苗畑~荒川分岐点です。この区間は屋久島電工が保有しており、最近まで発電所などの維持管理専用軌道として利用されてきました。木材の運搬もときおり行われていたようですが、この日の参加者によりますと、昨年で終了したとのこと。旅客化についても、当面は同区間での実施が目標とされているようです。

ただ、旅客化へのハードルは低くはありません。線路や路盤の強化を行う必要があり、駅設備も新設しなければなりません。トロッコ列車の車両の新造も必要です。こうした総費用がいくらかかるのかははっきりしませんが、数十億円は必要と思われます。これをどこから捻出するかのメドは立っていません。

終点とされる荒川分岐点は縄文杉登山の起点でもあり、森林軌道の旅客化が完成すればトロッコ列車が縄文杉観光へのメインルートになる可能性もあります。ただ、荒川分岐点までは現在もバスルートがありますので、森林軌道が旅客化されたとしても、バスのほうが便利かもしれません。

大株歩道入口までトロッコが走れれば

観光的な視点からみれば、荒川分岐点までではなく、さらに小杉谷や大株歩道入口まで旅客化すれば、縄文杉観光がかなり楽になります。仮に大株歩道入口までトロッコ列車が走れば、縄文杉観光に必要な歩行時間10時間が5時間程度にまで短縮されます。現在、縄文杉登山は健脚向けですが、大株歩道までトロッコ列車に乗れるようになれば、普通の体力があれば誰でも行けるようになるでしょう。

ただ、荒川分岐点から大株歩道入口までは、現存の森林軌道敷が徒歩の登山路を兼ねています。そのため、この区間を旅客鉄道化すれば、徒歩登山者を閉め出すか、歩道を併設しなければならなくなります。併設するにはスペースの問題があり、大規模な工事が必要になりそうです。また、荒川分岐点以降は屋久島森林管理所の保有区間で、屋久杉電工区間に比べれば路盤の状態が見劣りし、整備費用が高く見積もられます。そうしたこともあり、とりあえず苗畑~荒川分岐点までの旅客化が目標とされているのでしょう。

まんざら妄想ではない

この日の参加者には、地元の町議も含まれていました。町議まで視察しているのですから、安房森林鉄道の旅客化はまんざら妄想ではなさそうです。越えなければならないハードルは高そうですが、ぜひ乗り越えて実現させてほしいものです。

日本の森林鉄道はほぼ絶滅しました。安房森林軌道は最後に残された森林鉄道です。それが、保存・旅客化に向けて動き出しているのであれば、これほど喜ばしいことはありません。寄付でも募れば、それなりに集まるのではないか、という気もするのですが。


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