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近鉄「夢洲特急」の課題と可能性。万博・IRから奈良、京都、名古屋へ直行!

集電方式の違いを乗り越えて

近鉄が夢洲への直通特急を検討しています。大阪メトロ中央線と近鉄奈良線を直通運転できる車両を開発し、奈良からの特急設定を目指しているとのこと。実現への課題と、可能性を考えてみましょう。

異なる集電方式

2025年の大阪万博会場となる夢洲へは、大阪メトロ中央線の終点コスモスクエアからの延伸が予定されています。夢洲にはカジノなどを備える統合型リゾート(IR)の誘致も進められており、実現すれば新しいリゾート地になります。

メトロ中央線には近鉄けいはんな線が乗り入れていて、両線の電化方式は直流750V第三軌条です。けいはんな線は生駒駅で近鉄奈良線と接続していますが、奈良線は直流1,500 V 架空電車線方式で、集電方式が異なるため、両線の直通運転は行われていません。

近鉄路線図
画像:近鉄路線図の一部を拡大

新型車両を開発

ところが、夢洲にIRが建設された場合、近鉄が、奈良線とけいはんな線・中央線との乗り入れを検討していることが明らかになりました。

各社報道によると、生駒駅でけいはんな線と奈良線をつなぐ渡り線を設置。第三軌条と架線の両方式で集電できる新型車両を開発し、近鉄奈良と夢洲を結ぶ特急列車を運転するという計画です。

産経新聞2019年1月19日付によりますと、「2つの集電方式を備えた車両の開発について、グループの近畿車輌などと検討を始めた」とのことで、IRの開業目標である2024年度の実用化を目指しています。

近鉄特急

小さな車体

複数の集電方式に対応する車両は、海外では実用化されています。となると日本でも作れそうですが、コスト的に高くなるのは避けられず、通勤用車両では割にあいません。しかし、料金を取る特急用車両なら実現可能、と判断しているのでしょうか。

奈良線を走る8000系とけいはんな線の7000系車両とを比べると、7000系のほうが車体幅が100mm小さく、車体高が405mm低くなっています。狭い地下鉄トンネル内を走る車両は、サイズが小さいのです。

直通運転用の車両を作るなら、その小さな車体に、パンタグラフなどをどう収めるかという問題を解決する必要があります。課題は少なくなさそうです。

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フリーゲージトレインに比べれば

とはいえ、両線の軌間はいずれも1,435mmの標準軌であるため、集電方式と車両サイズさえ解決できれば、直通運転は実現できそうです。

近鉄は軌間の異なる大阪線系統と南大阪線系統を直通できるフリーゲージトレインの開発にも乗り出していますが、それに比べれば技術的ハードルは低いでしょう。

待避はどうする?

残る問題は、地下鉄線内の待避でしょうか。

近鉄けいはんな線、大阪メトロ中央線ともに、優等列車の設定はありませんので、現在は待避は行われていません。しかし、特急運転となれば、速達性を実現するために、できれば普通列車を追い越したいところです。となると、普通列車の待避が求められます。

さいわい、けいはんな線・中央線では、新石切駅と森ノ宮駅が2面3線です。かつては快速運転が検討されたこともあり、設備を整えれば待避できそうです。

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京都、名古屋、伊勢志摩へも

仮に、この「二重集電特急車両」が実現すれば、夢洲から奈良だけでなく、京都や名古屋、伊勢志摩方面へも直通できます。

IRができれば、夢洲には外国人向けのホテルが多数できるでしょうから、その滞在客を奈良や京都など近鉄沿線の観光地へ運ぶ役割を果たせます。本町など大阪市中心部から近鉄沿線への特急を設定できるというメリットもあるでしょう。

もちろん、近鉄沿線から万博・IRへの輸送手段としての役割も果たせます。

本当に実現するのかはわかりませんが、先述したフリーゲージトレイン特急とあわせ、近鉄の積極的な姿勢が感じられる計画です。(鎌倉淳)