「東京人」は海外旅行を好み、「大阪人」は関西旅行を好む。そんな傾向が見て取れました。購入エリア別の、旅行関連本の売れ行き分析です。
購入エリア別 旅行関連本ランキング
楽天ブックスは、2019年1月から3月の売り上げデータをもとに、「購入エリア別 旅行関連本ランキング」を発表しました。同サイトで販売されている旅行関連本について、購入エリア別にトップ20を抽出したものです。
結果として、東京では海外旅行関連本が多数を占める一方、大阪では地元・関西に関する旅行本が多数を占めました。
購入エリア別 旅行関連本ランキング
最初に、「東京都」と「大阪府」で販売された旅行関連本ランキングトップ20を較べてみましょう。
「東京都」は13タイトルが海外旅行本となりました。トップは「Lea Lea 2019 新しい自分に出会う、ハワイ旅」。以下、「春Walker首都圏版」「るるぶ沖縄」「子連れGUAM」「御朱印でめぐる東京の神社」と続きます。ベスト5のうち、2つが海外、1つが沖縄で、地元首都圏の旅行関連本は2冊だけでした。
「大阪府」では、「関西春Walker2019」がトップで、「Lea Lea 2019 新しい自分に出会う、ハワイ旅」が2位。「Kansai Walker特別編集NMBスペシャル!」「関西ウォーカーザ・ベスト!」「関西ファミリーWalker」と続きます。
「NMBスペシャル」はNMB48が関西エリアをガイドするという企画なので、旅行関連本としては特殊ですが、それでも上位5冊のうち4冊を地元・関西関連本が占めました。
エアライン事情も反映?
トップ20にランクインした本を「海外旅行本」、「国内旅行本」、「地元旅行本」に分け、ランキングの売り上げ総冊数からそれぞれの分類の比率を算出したところ、「東京都」では「海外旅行本」が66%を占めたのに対し、「大阪府」では「地元旅行本」が69%を占めています。
「海外旅行本」の行き先を見ると、東京ではハワイ、グアムのほか、台湾、韓国、ベトナム、ネパール、イタリア、ベネルクス、オーストリアと、幅広いエリアが売れています。それに対し、大阪では、ハワイのほか、グアム、台湾、韓国、ベトナムと近場が目立ちます。
成田・羽田両空港には、欧米便が多数就航していますが、関西空港はアジア便が圧倒的、というエアライン事情もありそうです。
大阪では「Kansai Walker」のシリーズが上位に目立つのも特徴です。伝統的に関西ではエリア情報誌が強く、大阪における「Kansai Walker」は、東京の「Tokyo Walker」にくらべ存在感が段違い、という出版事情も、結果に反映しているのでしょう。
関西人は地元愛が強い?
全国の29都道府県を「北海道・東北」、「首都圏」、「東海」、「関西」、「九州・沖縄」に分け、各エリアの売り上げ冊数を元に旅行関連本トップ20を抽出したのが下表です。
「首都圏」では「海外旅行本」がよく売れ、「関西」では「地元旅行本」がよく売れます。他の地方に較べても「関西」での地元旅行本の売れ行きは突出しています。「関西人は地元愛が強い」ともいえますが、京都、奈良をはじめ、地元に魅力的な観光地が多いという理由もあるでしょう。
「九州・沖縄」も海外旅行本の割合が高いです。アジア地域に近いという立地ゆえでしょうか。
「北海道・東北」は、地元旅行への関心が「関西」に次いで高くなっています。北海道が他地域から離れていることと、北海道という地域が持つ観光的魅力が、地元旅行への関心を高めているといえそう。道民も北海道が好きなのでしょう。
「東海」も地元への関心が比較的高く、国内旅行と海外旅行への関心はほぼ半々。ファミリー向けの旅行本が売れているのが特徴で、東海地方では親子で楽しむ旅行先を探している人が多いようでした。
全体として、首都圏と九州・沖縄人はどこか遠くに行きたがり、それ以外の地方の人は、地元愛が強い、という印象を受ける調査結果でした。