格安航空会社(LCC)の新規参入が相次ぐ成田空港。ジェットスター・ジャパンにくわえ、8月にはエアアジア・ジャパンが就航。さらに、スカイマークもすでに国内各地に格安路線を運航しています。
こうした動きに合わせて、成田までの格安バスも次々登場。京成バスと成田空港交通が「東京シャトル」の運行を開始したほか、8月10日には平和交通の「THE アクセス成田」も登場します。
選択肢が多いのは歓迎すべきことですが、いっぽうで「どれが一番お得なの?」という疑問も湧いてきます。そこで、都内から成田空港へ格安で行く方法をまとめてみました。
まず、事前割引などを考慮しない「普通運賃」で比較すると以下のようになります。
都内発(普通運賃)
東京シャトル 東京駅から800円(期間限定。9月中旬以降は2000円)
THEアクセス成田 東京駅から1000円
京成電鉄特急 日暮里駅などから1000円
京成電鉄アクセス特急 日暮里駅などから 1200円
JR総武線エアポート成田 1280円
次に、割引運賃を含めた最安値を考えます。
都内発(最安値)
東京シャトル 東京駅から800円(期間限定。9月中旬以降は事前購入で1000円)
THEアクセス成田 東京駅から1000円
京成電鉄特急 日暮里駅などから850円(株主優待券の都内実勢価格)
京成電鉄アクセス特急 日暮里駅などから 850円(株主優待券の都内実勢価格)
JR総武線エアポート成田 1280円
ということで、結局、期間限定価格を除けば京成電鉄が一番安い、という面白くもない結論になってしまいます。
とはいえ、京成電鉄の弱点はターミナルが日暮里か京成上野という点です。では、東京駅からではどうでしょう。
東京駅発(普通運賃)
東京シャトル 800円(期間限定。9月中旬以降は2000円)
THEアクセス成田 1000円
京成電鉄特急+山手線 1150円
京成電鉄アクセス特急+山手線 1350円
JR総武線エアポート成田 1280円
東京駅発(最安値)
東京シャトル 800円(期間限定。9月中旬以降は事前購入で1000円)
THEアクセス成田 1000円
京成電鉄特急+山手線 1000円(京成は株主優待券利用)
京成電鉄アクセス特急+山手線 1000円(京成は株主優待券利用)
JR総武線エアポート成田 1280円
ご覧のように、最安値で考えると、東京シャトルの期間限定が若干安くエアポート成田が若干高いという結果です。
さらに新宿発では、以下のようになります。
新宿駅発(普通運賃)
東京シャトル+中央線 990円(期間限定。9月中旬以降は2190円)
THEアクセス成田+中央線 1190円
京成電鉄特急+山手線 1190円
京成電鉄アクセス特急+山手線 1390円
JR総武線エアポート成田+中央線 1450円
新宿駅発(最安値)
東京シャトル+中央線 990円(期間限定。9月中旬以降は事前購入で1190円)
THEアクセス成田+中央線 1190円
京成電鉄特急+山手線 1040円(京成は株主優待券利用)
京成電鉄アクセス特急+山手線 1040円(京成は株主優待券利用)
JR総武線快速エアポート成田+山手線 1450円
新宿の最安値で比較すると、東京シャトルの期間限定価格と京成電鉄が50円差になります。
で、まとめると、東京シャトルの期間限定価格がいちばん安いですが、日暮里の乗換のしやすさや定時性などを考えれば、京成電鉄がイチオシ、ということになってしまいます。やっぱり面白くもない結論ですね。
では、それでもなぜ格安バスがこれほどまでに続々登場しているのでしょうか。
それはおそらく、東京駅接続、という点にポイントがあるのでしょう。東海道線や新幹線から成田空港に向かう場合、日暮里まで行って乗り換えるのには心理的な壁があります。東京駅前からバスに乗れば便利、ということになるのでしょう。京成電車は通勤型車両で乗り心地がよくないですし、座れない可能性もありますが、高速バスは乗れさえすれば全員着席です。
「そんなことを気にする客がLCCなんて乗るか?」という声も聞こえてきそうですが、格安バスの利用者がLCCの利用者とは限りません。従来のレガシーキャリアの利用者だってたくさんいますし、むしろ東京駅接続のメインターゲットはそういう客なのではないでしょうか。
要するに、LCCを利用するなら、京成電車を使ってとことん安く! そこまでこだわらずに東京駅から快適に行きたいなら格安バス! という結論になりそうです。
また、上記で東京シャトルの9月中旬以降の価格(定価)も表示していますが、現在の価格競争を見ていると、本当にこの「定価」が9月以降に適用されるかはかなり疑問です。おそらくは「THEアクセス東京」との対抗上、定価が1000円になるのではないでしょうか。実際、成田と東京の距離を考えれば、1000円程度が適正価格ともいえそうです。
そうなると、割を食うのは東京駅発着のリムジンバス、ということになりそうですね。