ルーブル美術館展に行ってきました。ルーブル展は過去何度も行われていますが、今回のテーマは「肖像芸術——人は人をどう表現してきたか」。テーマ通り、人物の顔や姿の絵画や彫像がずらりと並んでいました。しかも“登場人物”は歴史的人物のオールスター級。なかなかの見応えです。レビューしてみました。
ルーブル美術館展の概要
2018年のルーブル展のタイトルは、「ルーブル美術館展 肖像芸術——人は人をどう表現してきたか」。国立新美術館で2018年5月30日~9月3日に開催されています。
その後、大阪市立美術館に場所を移して、2018年9月22日から2019年1月14日まで開催されます。2箇所あわせて半年以上に及ぶロングラン展覧会です。
ルーブル展は、過去何度も日本で開かれていますが、今回のテーマは「肖像の社会的役割や表現上の様々な特質を浮き彫り」にするというもの。展示総数は約110点で、27年ぶりに来日したヴェロネーゼの傑作『女性の肖像』(通称『美しきナーニ』)が最大の目玉でしょうか。
そのほか、古代エジプトの棺を飾ったマスク、ローマ皇帝やナポレオンなどの君主像、女性や子どもたちの肖像などが展示されます。
アリストテレスもマリーアントワネットも
実際に訪れてみて「さすがルーブル美術館」と感じたのは、展示された肖像の人物に、歴史的な有名人が多いこと。アリストテレス、ハンムラビ王、アレクサンドロス大王、アウグストゥス、ティベリウス、カール5世、ルイ14世、ヨーゼフ2世、マリーアントワネットなどなど。
無名の人物の肖像を展示されても、さほど興味が湧かないものですが、これだけの歴史的スターが揃うなら、話は別。
「アレクサンドロス大王、ちょっと貧相だなあ」とか、「ティベリウス賢そう」、「ルイ14世は風格あるな」、「マリーアントワネットは冷たそう」などなど、肖像の顔立ちを見ているだけで、その時代に想いを馳せることができます。
ナポレオンが充実
何よりも目を引いたのが、ナポレオン関連。パンフレットの巻頭を飾っているジャン・グロ『アルコレ橋のボナパルト』に描かれたそのお姿は、とってもイケメンです。
ナポレオンは他にも戴冠式の彫像あり、デスクマスクありと、展示数豊富。さすがフランスの博物館だけあり、立派なものを惜しげもなく貸してくれています。
こうしたオールスター的な展示物の集め方は、ルーブル級の大型博物館の企画展でないとできないことでしょう。そして本場ルーブルに行っても、こういう展示手法を見ることはできません。
美術に詳しい方はもとより、美術にさほど興味のない方でも、西洋史が好きなら今回の展示は楽しめそうです。
お気に入りはヴィジェ・ル・ブラン
画家も巨匠が。ベラスケス、レンブラント、ティッツアーノ、アルチンボルドなどが見られます。
目を引いたのは、ヴィジェ・ル・ブランの『エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像』でしょうか。
ヴィジェ・ル・ブランは、フランス革命の時代の人物で、当時、非常に人気のあった肖像画家だそうです。こんな美人に描いてくれるなら、それはたしかに人気が出るでしょうね。
それと、メッサー・シュミットの自分をモデルにした頭像も、印象深かったです。
会期後半は混雑しそう
ルーブル美術館展で気になるのは混雑です。
筆者の場合、平日の16時半ごろに行きましたが、入場に待ち時間はなく、展示会場でも思う存分に見学できました。ルーブル級の大型企画展としては、奇跡のような空き具合でした。
他の訪問者のツイッターを見ても似たような感じなので、いまなら平日は空いていて狙い目かもしれません。開館時間は18時までです。(金曜日のみ、6月は20時まで、7月以降は21時まで)。
会期が長い分、前半は空いているのでしょうが、会期後半になると混雑するのは目に見えています。興味のある方はお早めに。
空いている状況で、見学所要時間は1時間半ほどでした。110点という展示数は、なかなか見応えがあります。混んでいたら、1時間半で見終えることは、とてもできないでしょう。(鎌倉淳)