寝台特急「サンライズ」厳しく。JR特急利用者数ランキング・2023年お盆版

首位「あずさ」快調

JR各社が2023年お盆の列車利用状況を発表しました。台風7号の上陸で近畿地方を中心に多くの列車が運休しましたが、全国的には新型コロナ禍からの回復傾向がみられました。詳細をランキング形式で見ていきましょう。

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2023年お盆の利用状況

JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表しています。当サイトでは、JR各社が発表した統計をまとめて、各期ごとにランキングにしています。

今回は、「2023年お盆の在来線特急利用者数ランキング」です。2023年8月10日~17日の8日間の統計です。

サンライズ出雲・瀬戸

2023年お盆JR特急利用者数ランキング
順位 列車名 区間 利用者数(万人) 前年比 18年度比
1 あずさ・かいじ・富士回遊 八王子~相模湖 25.6 140% 92%
2 ひたち 我孫子~土浦 19.9 142% 79%
3 ひたち 土浦~水戸 18.3 144% 78%
4 サンダーバード 京都~敦賀 16.7 145% 85%
5 リレーかもめ、みどり 鳥栖~江北 16.3 136% 73%
6 あずさ・かいじ 甲府~上諏訪 13.0 135% 88%
7 マリンライナー 児島~宇多津 12.5 134% 81%
8 ソニック 小倉~行橋 11.3 138% 78%
9 成田エクスプレス 千葉~成田空港 11.1 382% 89%
10 ひたち 水戸~高萩 8.8 144% 85%
11 しおかぜ・南風 岡山~児島 7.9 126% 81%
12 踊り子・湘南 横浜~熱海 7.8 130% 120%
13 はるか 日根野~関西空港 7.4 538% 96%
14 カムイ・ライラック・オホーツク・宗谷 札幌~岩見沢 6.5 135% 79%
15 しなの 名古屋~多治見 5.6 128% 75%
16 しらさぎ 米原~敦賀 5.6 134% 74%
17 北斗・すずらん 東室蘭~苫小牧 5.4 167% 92%
18 しおかぜ 児島~宇多津 5.4 141% 90%
19 しおかぜ・いしづち 多度津~伊予三島 5.3 138% 90%
20 ひたち 高萩~いわき 5.1 144% 97%
21 くろしお 和歌山~箕島 4.4 110% 64%
22 しなの 長野~松本 3.6 130% 78%
23 わかしお 蘇我~大網 3.5 118% 70%
24 きのさき・まいづる 二条~亀岡 3.5 109% 65%
25 いなほ 新潟~村上 3.2 174% 86%
26 やくも 岡山~新見 3.1 121% 96%
27 南風 児島~宇多津 2.7 110% 71%
28 おおぞら・とかち 南千歳~トマム 2.5 137% 87%
29 ひだ 美濃太田~下呂 2.4 135% 139%
30 南風・しまんと 多度津~阿波池田 2.4 109% 68%
31 しおさい 千葉~佐倉 2.1 125% 73%
32 こうのとり 大阪~三田 1.9 98% 58%
33 スーパーはくと 姫路~上郡 1.9 134% 72%
34 うずしお 高松~徳島 1.9 122% 75%
35 宇和海 松山~宇和島 1.9 129% 106%
36 しらさぎ 名古屋~大垣 1.7 131% 76%
37 スーパーはくと 智頭~鳥取 1.6 135% 70%
38 ひたち いわき~原ノ町 1.1 140%
39 草津・四万 高崎~渋川 0.9 112% 75%
40 ひたち 原ノ町~仙台 0.8 140%
41 しらゆき 直江津~長岡 0.7 157% 73%
42 さざなみ 蘇我~五井 0.6 131% 59%
43 南紀 松阪~紀伊長島 0.6 98% 48%
44 ふじかわ 富士~富士宮 0.6 108% 66%
45 しまんと・あしずり 高知~窪川 0.6 89% 54%
46 いなほ 酒田~秋田 0.5 208% 78%
47 つがる 弘前~青森 0.5 95%
48 ふじさん 山北~御殿場 0.5 105% 87%
49 スーパーいなば 智頭~鳥取 0.4 129% 68%
50 スーパーおき 新山口~益田 0.4 146% 73%
51 リゾートしらかみ 秋田~青森 0.4 81%
52 サンライズ出雲・瀬戸 静岡~浜松 0.4 73% 78%
53 うずしお 児島~宇多津 0.2 147% 90%
54 伊那路 豊川~本長篠 0.1 120% 61%

 

上記のランキングは、JR各社から広報発表された数字をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。

ランキング下位では、百人単位の四捨五入が順位に影響している場合も多くなっています。四捨五入の単位が発表元の各社・支社により異なることもあり、1万人以下のランキングの細かい順位の違いにあまり意味がない点も、ご留意ください。

なお、「ひたち」のいわき以北は、2020年3月まで長期運休をしていたため、2018年比がありません。「つがる」「リゾートしらかみ」は、2022年のお盆は大雨の影響で運休していました。

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「リレーかもめ、みどり」の意外

2022年のお盆の特急列車利用者数でトップに立ったのは、中央東線特急「あずさ、かいじ、富士回遊」です。例年、夏に利用者の多い列車で、今年も変わりませんでした。次いで常磐線特急「ひたち、ときわ」が2位に付けましたが、この順位も例年どおりです。

3位も「ひたち、ときわ」(土浦~水戸)で、つづく4位に北陸線特急「サンダーバード」が入りました。

前年4位は長崎・佐世保線特急「かもめ、みどり」でしたが、「サンダーバード」に抜かれた形です。西九州新幹線が開業したにもかかわらず順位を下げたのは、やや意外です。

空港特急がコロナ前に近づく

対前年比が高かったのは東西の空港特急で、関空特急「はるか」が538%、「成田エクスプレス」が382%です。インバウンドが急回復するのにあわせて、空港特急も急回復しました。

なかでも「はるか」は、対2018年度比で96%となり、ほぼコロナ前まで回復しました。「成田エクスプレス」も89%と、コロナ前まであと少しです。

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「ひだ」快調

対前年比で好調な数字となったのは、羽越線特急「いなほ」。ただし、これは対前年が大雨の影響を受けたからで、その反動です。対2018年では、まだ8割程度の回復にとどまります。信越線特急「しらゆき」、函館線特急「北斗」も、前年に大雨の影響を受けた反動です。

対2018年比で好調さが目立ったのは「ひだ」。139%となっていて、新型コロナ禍以前の数字をおおきく超えています。33年ぶりの新型車両HC85系の導入効果が持続しているとみられますが、インバウンドを中心に、飛騨高山人気が高まっている側面もありそうです。

東海道線特急「踊り子・湘南」も、対2018年比の数字が高いですが、当時は特急「湘南」がなかったためです。通勤ライナーから格上げという「上げ底」数字なので、参考記録にとどまります。

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「サンライズ」台風に泣く

伸び悩んだのは、寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」。対前年比73%にとどまりました。いうまでもなく、台風7号の直撃で運休が生じたことが原因です。

対前年比で100%を割った列車として、他に、土讃線特急「しまんと・あしずり」、紀勢線特急「南紀」、福知山線特急「こうのとり」が挙げられます。いずれも、台風7号の影響を受け運休が生じたことが理由とみられます。

「南紀」は対2018年比で48%に落ち込み、唯一の50%割れとなりました。7月1日に新型車両HC85系を導入したばかりですが、「ひだ」のような効果は出ていません。台風の影響もあるのでしょうが、並行する高速道路整備が進んでいるのも理由でしょうか。長期的な利用者減小に歯止めがかかっていないようで、心配です。(鎌倉淳)

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