伊豆半島「3大水族館」を比較する。広くてレトロで個性的

ゆったり楽しめる

伊豆半島の「3大水族館」ともいえる、三津シーパラダイス、あわしまマリンパーク、下田海中水族館を訪れて比較してみました。いずれも広くゆったりした敷地で、ちょっとレトロで個性的です。

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伊豆・三津シーパラダイス

伊豆半島の水族館の筆頭格は、伊豆・三津(みと)シーパラダイス。1930年開業で、現存する水族館のなかでは、富山県の魚津水族館に次いで2番目の歴史を誇ります。西武鉄道系列の伊豆箱根鉄道が運営している、電鉄系の観光施設です。

日本で初めてイルカが飼育された水族館としても知られていて、イルカショーはいまも名物のひとつ。バンドウイルカ、カマイルカ、オキゴンドウなど、種類の違うイルカショーがみられます。

伊豆三津シーパラダイス

駿河湾の入り江の地形を活かして場所でのショーもあります。この広さと開放感は、大都市圏の水族館にありません。

伊豆三津シーパラダイス

アシカ、アザラシに餌やり

飼育場は天然の海の一部をせき止めています。

伊豆三津シーパラダイス

海に向かってアシカやアザラシに餌やりもできます。餌は生のアジ1匹など。アジを餌として海獣に与えられる施設は、全国でも多くないでしょう。

伊豆三津シーパラダイス

屋内展示の規模は大きくありませんが、クラゲ大水槽や深海大水槽などが目玉です。

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キッズ向け施設も充実

キッズ向けの施設が充実しているのも、三津シーパラダイスの特徴。「いそあそビーチ」では、磯に見立てた浅いプールに小魚を放流していて、子供が裸足で追いかけることができます。

伊豆三津シーパラダイス

また、ボールプールやトランポリンなどの屋内遊戯場も設置。水族館を見終わった後、子供が疲れるまで遊べます。たんなる水族館ではなく、ファミリーがしっかり遊べるレジャーランドとしての機能があるのが、大きな特徴と言えます。

伊豆三津シーパラダイス

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あわしまマリンパーク

続いて、あわしまマリンパークに行ってみます。伊豆・三津シーパラダイスから2kmほどしか離れておらず、両施設を1日で回ることもできます。

あわしまマリンパークは、三津の沖合に浮かぶ小さな島(淡島)が丸ごとリゾート施設になっているのが特徴です。1963年に淡島海洋交園として開業し、1984年にあわしまマリンパークに改称しました。

もとは東京相和銀行の創業者一族が開発した施設で、現在は経営についていろいろあるようですが、ここで深入りしません。

あわしまマリンパーク

かつてロープウェイも

島へのアクセスはボートです。ボートに乗って島へ渡るのは、それだけでワクワクします。

海峡部は200mほどなので、乗船時間は10分もかからず、船酔いの心配もないでしょう。

かつては半島と島とを結ぶロープウェイがあり、半島側の重寺(しげでら)駅と島側の淡島駅間の約330mを海上で結んでいました。全国でも希少な海上ロープウェイでしたが、設備の老朽化で2008年8月に運行を停止。これを最後に、日本で海上ロープウェイは全て姿を消しています。

いまは索道設備は取り除かれ、駅跡を海上から望むことができます。

あわしまマリンパーク

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カエル館、釣り堀も

水族館の展示水槽は小規模で、淡島近海の魚の展示が主です。生態展示に力を入れているそうで、ふれあい水槽などもあります。

あわしまマリンパーク

カエル館も目玉で、日本と世界のカエル50種類を展示。日本有数のカエル展示施設だそうです。

あわしまマリンパーク

意外に楽しいのが、釣り堀。古いプールを釣り堀に転用して、アジ釣りが楽しめます。釣り上げたアジは、施設内のレストランで刺身などにして食べることができます。「釣って、食べる」というのは、子供連れにはいい体験になりそうです。

あわしまマリンパーク

イルカ・アシカショーも行われていますが、伊豆・三津シーパラダイスに比べると小規模です。

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下田海中水族館

そして最後が、下田海中水族館。1967年開業の、藤田観光系列の施設です。

何より、「海中」というネーミングが興味を引きます。

行ってみると、自然の入り江の真ん中に船が浮いています。「アクアドームペリー」号というそうで、総排水量1,300トンの船です。この喫水線下に水量600トンの大水槽があるので、「海中水族館」というそうです。

下田海中水族館

水量600トンは、伊豆最大級の規模でしょう。伊豆近海の生物を展示しています。

下田海中水族館

船へは浮き桟橋を渡ります。風が強いときは、揺れてちょっと怖いです。船を越えると対岸にペンギンプールやスタジアムがあり、ショーなどが見られます。

体験イベントが豊富

下田海中水族館の入り江内では、イルカが泳いでいます。「イルカが海で泳ぐ姿を見られる日本でも珍しい天然水族館」がキャッチフレーズ。イルカへの餌やりや、ドルフィンスノーケル(イルカと泳ぐ)、触るといった体験もできます。

こうした体験イベントが多数用意されているのも、下田海中水族館の特徴といえます。イルカショーも、水上のボートに乗って間近で見るという「体験」ができます。

下田は、三津、淡島に比べて東京から遠いこともあり、来場者は少なめなのでしょう。だからこそ、こうした体験型イベントを実施しやすいのかもしれません。

下田水中水族館

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レトロ感漂う

3つの水族館のうち、もっともバランスが取れているのは三津シーパラダイスでしょう。伊豆半島でどの水族館に行こうか、と迷われているのであれば、三津シーパラダイスをおすすめします。

船で島に渡るというエンターテインメント性を求めたり、カエルに興味があるならあわしまマリンパークでしょう。

イルカと触れあったり遊んでみたいなら、下田海中水族館でしょう。船上の水族館という意味でも珍しいです。

いずれの水族館も、昭和時代の施設をほぼそのまま使っている印象で、レトロ感が漂います。近年の大都市圏の洗練された水族館をイメージしていくと、肩すかしを食らうでしょう。

いっぽうで、自然の入り江を活用した広い飼育場で泳ぐイルカの姿を見ると、水族館は本来、このくらいのゆとりがあったほうがいいのだろうな、とも思います。

首都圏の水族館ほどは混雑しないので、ゆったりとした楽しみ方ができるのも魅力。伊豆に来たときは、ぜひ足を伸ばしてみてください。(鎌倉淳)

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