国土交通省は、2027年度予算の概算要求に「在来線の高速化」を主要施策として盛り込みました。政府は7月に決定した「骨太の方針2026」で在来線高速化を明記しており、概算要求で具体的な予算措置を求めた形です。具体的には、山形新幹線米沢トンネルに適用されそうです。
「在来線の高速化」を主要施策に
国土交通省は、2027年度(令和9年度)鉄道局関係予算概算要求に、「在来線の高速化」を主要施策として盛り込みました。
「鉄道ネットワークの整備の推進」の一環で、整備新幹線に続く項目として記載しています。
国交省は、「広域的な地域間の連携の強化や地域の活性化に資する高速輸送体系の形成に向けて、地域の実情を踏まえつつ、在来線の高速化を促進する」としています。
予算として、鉄道整備等基礎調査委託費4億9500万円の内数を充てます。さらに、幹線鉄道等活性化事業費補助(事業費19億1300万円、国費5億7900万円)の内数を充てる方針です。

骨太にも明記
在来線の高速化自体は、新たに登場した施策ではありません。
国交省はこれまで、「幹線鉄道ネットワーク等に関する調査」などで、基本計画路線を含む幹線鉄道について、効果的、効率的な整備・運行手法や「高機能化」を検討してきました。
そうした検討を経て、政府が2026年7月に決定した「骨太の方針2026」では、「在来線の高速化」を初めて明記しました。今回の概算要求では、それを具体的な予算措置につなげた形です。
幹線鉄道等活性化事業費補助
今回、概算要求に盛り込まれた「幹線鉄道等活性化事業費補助」も、以前から存在する制度です。在来の幹線鉄道を高速化するための鉄道施設整備を対象とし、国が地方公共団体と協調して事業費の一部を補助します。
ただ、適用事例は少なく、現在実施中の事業はありません。最近の事業例としては、2011年度に完了したJR北海道札沼線の桑園~北海道医療大学間が挙げられます。電化などにより高速化を図った事業でした。
今回の概算要求では、同補助の国費を5億7900万円の内数としています。一部を貨物鉄道ネットワークの強化にも使うようですが、大部分は在来線高速化に使われるとみられます。
米沢トンネルに活用か
国交省は現時点で、「幹線鉄道等活性化事業費補助」をどの路線に配分するかを明らかにしていません。
ただ、有力な候補として浮かぶのが、山形新幹線の福島~米沢間で計画されている「米沢トンネル(仮称)」です。総事業費は約2,300億円と見積もられています。
山形県は以前から、米沢トンネルの整備スキームとして同補助の活用を検討してきました。
さらに、山形県の吉村美栄子知事は、今回の概算要求を受け、「在来線の高速化」を促進するための支援の充実・強化が盛り込まれたとして、「山形新幹線米沢トンネル(仮称)の整備実現に大きく寄与するもの」とコメントしました。
こうした経緯や状況から、今回、主要施策として盛り込まれた「在来線高速化」は、米沢トンネルが具体的な適用対象である可能性が高そうです。つまり、米沢トンネルの建設が、在来線高速化事業として、本格的に動き出すことを意味しています。(鎌倉淳)





















