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三峰口駅維持のカギを考える。「三峰ロープウェイ復活」で秩父鉄道は救えるか【2】

観光的にどう位置づけるか

ここまで、三峰ロープウェイの再架設のルート案について見てきました。バランスがよさそうなのは大滝案ですが、秩父鉄道の活性化を狙うなら三峰口案が望ましいでしょう。

現在の三峰口駅は、三峯神社参拝の拠点としての機能を失っていますが、ロープウェイが三峰口駅発着で復活すれば、拠点機能も回復できます。ただ、それで鉄道維持に必要な利用者数を確保できるのかという問題もあります。

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三峰ロープウェイ復活で秩父鉄道は救えるか。検討3ルート案を比較する

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秩父鉄道に存在感なく

さて、筆者は三峯神社の参拝を終えて、15時30分発の西武秩父駅行きバスで下山しました。満席で立ち客も多く、筆者も三峰口駅まで50分ほどを立ちました。

三峰口駅からは、秩父鉄道で御花畑駅まで行けば、歩いて西武秩父駅に到着できます。しかし、三峰口駅で下車して、列車に乗り継いだのは、筆者を除くと一人だけでした。

すなわち、立ち客のほとんどは三峰口駅で下車せず、西武秩父駅まで立ち続けることを選んでいるわけです。秩父鉄道に乗り換えれば座って行けるのですが、そういう選択をしませんでした。

乗換案内アプリを利用した場合、三峰口駅乗り換えルートは優先表示されません。そのため、秩父鉄道でも西武秩父駅に行けて、到着時間も大きくは変わらないことに、気づかない人が多いのかもしれません。

あるいは、気づいていても乗り換えが面倒と感じたのかもしれません。いずれにしろ、三峯神社参拝における秩父鉄道の存在感は、非常に小さいことがうかがえました。

三峰口駅

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起点の機能なく

往路を思い返せば、三峯神社方面行きのバスも、ほぼ満席でした。つまり、三峰口駅から乗車すると、満席で座れない可能性が小さくありません。そうなると、秩父鉄道の存在を認識している利用者でも、西武秩父駅からの乗車を選択するでしょう。

こうした点からも、三峰口駅は、すでに三峯神社参拝の起点の機能を果たしていないように感じられます。

かつては西武線池袋~三峰口間の直通列車も走っていたのですが、現在、西武線方面は、土休日に飯能発三峰口行きと三峰口発西武秩父行きが、それぞれ1日1本運転されるだけになっています。

もはや、参拝客の視野に、秩父鉄道は入っていないのでしょう。

三峰口駅

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都内直通列車の有無の差

三峰口駅16時42分発の列車で出発します。列車はガラガラで、山間の区間をゆっくり走り、少しずつ客を乗せていきます。客がどっと増えたのは影森駅からで、ようやく郊外電車らしくなりました。

次の御花畑駅で下車。西武秩父駅まで歩いて、特急「ラビュー」で帰京します。西武秩父駅には観光客が多く、構内の土産物屋は賑わっていました。

三峰口駅の閑散ぶりとはまるで違います。都内から直通特急が来ているかどうかは、非常に大きな差をもたらす、ということでしょう。

ラビュー

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秩父鉄道再構築とリンク

さて、今回の「三峰ロープウェイ再架設可能性調査」の結果報告は、秩父鉄道影森~三峰口間の「鉄道事業再構築調査事業」の着手と、同時に発表されました。

これは、二つの調査がリンクしていることを意味します。すなわち、三峰ロープウェイの再架設を、秩父鉄道の影森~三峰口間の維持につなげる狙いが透けて見えます。

影森~三峰口間は沿線人口が少なく、秩父鉄道でも特に利用が限られる区間で、最近の輸送密度は378人にとどまっています。

かつては三峯神社への観光客の利用も多かったようですが、現在、参拝客は自家用車利用が一般的です。数少ない公共交通利用者も、西武秩父駅からのバス利用が主流となってしまったため、秩父鉄道の利用者は限られるのです。

しかし、三峰口駅をロープウェイの起点にできれば話は変わり、利用者の大幅増も見込めます。そのため、ロープウェイ再架設と秩父鉄道再構築は、切り離して議論できないのです。

秩父鉄道路線図
画像:秩父鉄道

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鉄道を維持するには

現状の三峯神社へのバスは、平日に6往復、土休日に9往復しているだけです。

バスの座席定員を考えると、1日の利用者数は200~400人程度でしょう。ロープウェイが三峰口駅発着となり、バス利用者がすべて鉄道・ロープウェイ利用に移行したとしても、秩父鉄道の利用者増はその範囲にとどまります。

すなわち、300人台の輸送密度が600人台程度になるだけでしょう。その場合に、鉄道を永続的に維持できるかはなんともいえません。

ただ、三峯神社の参拝客数は、年間60万人程度もいます。1日平均で1,500人以上の訪問者がいるわけで、公共交通利用者の割合を高めれば、鉄道を維持しやすくなります。

そのためには、ロープウェイを三峰口発着にするだけでなく、都内から三峰口までのアクセス向上が必要になるでしょう。

たとえば西武秩父駅で西武特急と接続する三峰口行き列車を設定するなどの施策で、特急+秩父鉄道+ロープウェイという軌道系アクセスルートをPRすれば、利用者を増やせるかもしれません。

三峰口駅

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カギはインバウンド

カギを握るのは、インバウンドでしょう。訪日観光客は公共交通機関を利用する傾向が強く、とくに軌道系交通機関が好まれるからです。

筆者がみたところ、三峯神社の参拝客は日本人がほとんどで、外国人はわずかでした。つまり、いまのところ、三峯神社の魅力は、インバウンドにあまり知られていないということです。

逆にいえば、インバウンドの伸びしろはあります。そして、インバウンドを誘致するには、ロープウェイの発着地は、軌道系アクセスだけで完結する三峰口駅案が好ましい、と考えることもできます。その場合、三峰口駅を観光拠点として再整備することになります。

三峰口駅前

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インバウンドをあてにしないなら

しかし、インバウンドを誘致しても、どれほど客が増えるのかはわかりません。したがって、インバウンドはあてにせず、現状の利用者数を前提に、日本人を主なターゲットとするという考え方もあるでしょう。その場合に最適なのは、道の駅大滝温泉案でしょうか。

日本人の多くは自家用車で訪れますので、ロープウェイのアクセスには、それなりの広さの駐車場が確保できれば十分で、鉄道駅に直結している必要はありません。温泉施設とロープウェイ乗り場をセットにすることで、大滝エリアの観光地としての価値を高めることにもつながります。

大滝をロープウェイ乗り場とした場合、西武秩父駅からのバスが設定されるでしょうから、秩父鉄道の末端区間の活用は難しいでしょう。そのため、影森~三峰口間の利用者増には、ほとんど寄与しません。

三峯神社

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観光的にどう位置づけるか

結局、ロープウェイの発着地をどうするかは、秩父市が三峯神社を観光的にどう位置づけるか、という点にかかっているように感じられます。

山岳信仰の霊峰として、現在程度の賑わいにとどめるのであれば、道の駅大滝温泉案が妥当でしょう。その場合、秩父鉄道の末端区間の廃止は避けられないかもしれません。

インバウンドを積極的に誘致して、観光客を増やす方針なら、三峰口駅案でしょう。その場合、ロープウェイを架設するだけでなく、西武秩父駅からの直通列車を増やすなど、公共交通のアクセスを充実させることが重要になります。

なお、ロープウェイ架設3案の事業費は65億円~100億円程度で、いずれのルートも事業採算性は赤字となるとのこと。ただ、採算性だけを考えるならバスで十分なわけですから、さまざまなクロスセクター効果を考慮のうえ、地域にとって最適な判断をしてほしいところです。(鎌倉淳)

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