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京急久里浜線、複線化を凍結。急激な人口減少で必要性薄れ

減便の可能性も

京浜急行は、久里浜線の単線区間を複線化する計画を凍結すると発表しました。事実上の断念とみられます。沿線で急激な人口減少が進んでいて、輸送力強化の必要性が薄れたためです。久里浜線では油壺延伸計画も凍結となっており、拡張計画がなくなりました。

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6.2kmの複線化計画

京浜急行電鉄は2026年3月期決算で、久里浜線複線化事業を凍結し、20億円の減損損失を計上したと発表しました。

京急久里浜線は堀之内~三崎口間の13.4kmです。このうち京急久里浜~京急長沢間4.0kmと、三浦海岸~三崎口間2.2kmの計6.2kmが単線区間として残っていました。

これらの区間を複線化する計画があり、用地も一部で確保していましたが、事業そのものを凍結すると発表したわけです。

京急久里浜線は油壺への延伸計画もありましたが、2016年に凍結を発表し、30億円の減損損失を計上しています。今回の複線化凍結により、久里浜線で残されていた拡張計画がすべて凍結となります。

京急久里浜線

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19年で27%減少

事業凍結の背景にあるのは、利用者の減少です。とくに久里浜以南(YRP野比~三崎口間)の利用者減少は急激で、乗車人員は2005年の34,023人が、2024年に24,940人となりました。19年間で約27%も減少しています。

新型コロナ禍で利用が大きく落ち込み、回復が進んでいません。下表をみると、逗子線は新型コロナ前(平成27年=2015年)に比べて90%近くまで回復していますが、久里浜線は80%程度にとどまっています。

京急久里浜線乗車人員
画像:神奈川県交通関係資料集 令和7年版

 
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人口減少激しく

利用者回復を阻んでいるのは人口減少です。三浦半島は神奈川県のなかでも人口減少が進んでいるエリアで、2000年と2025年の人口を比較すると、三浦市は5.2万人が3.8万人になっていて、約35%も減少しています。横須賀市も42万人が36万人に減少していて、約15%の減少です。

今後、久里浜線で利用者が増える余地があるとすれば、インバウンドを含む観光客です。しかし、急激な人口減少を補うほどの利用増は見込めません。

こうしたことから、久里浜線の輸送力を増強しなければならない理由は乏しくなりました。そのため、京急は久里浜線の単線区間の複線化を凍結したわけです。凍結という表現ですが、減損処理を実施したことから、事実上の断念とみてよさそうです。

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利用者数は1.7万人程度に

三浦半島の人口減少はこの先も続き、2050年には、三浦市が2.3万人に、横須賀市が27万人に減少することが見込まれています。

2025年と比較すれば、おおむね40%と25%減です。京急久里浜線の利用者数が人口に比例するならば、久里浜以南の乗車人員は、2024年の2.4万人が、2050年に1.7万人程度になりそうです。

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さらなる減便、単編成化も

京急久里浜線は、以前はほぼ終日で毎時6本以上を運行していました。しかし、利用者減少を受けて、2021年10月のダイヤ改正で、平日の日中時間帯は毎時3本に減便しています。

今後の人口動態をみると、これでも輸送力過剰になる可能性がありそうです。現状で、平日の運転本数は片道87本ですが、乗車人員が1.7万人に減った場合、1列車あたり約200人になってしまいます。すべて8両編成で運転すると、編成定員は1,000人程度なので、平均乗車率は20%程度です。

こうなると輸送効率が悪いので、今後、とくに観光利用の少ない平日は、さらなる減便や、京急久里浜での系統分離による短編成化が検討される可能性もありそうです。(鎌倉淳)

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