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北陸新幹線延伸、滋賀・福井知事が米原ルート不支持。姿勢には温度差も

小浜・京都ルートにもハードル

北陸新幹線の新大阪延伸で、滋賀県と福井県知事が、相次いで米原ルートを支持しない姿勢を改めて明らかにしました。小浜・京都ルート推進の姿勢を示した形です。ただ、両知事の「反対姿勢」には多少の温度差もありました。

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滋賀県知事も小浜・京都ルート

自民党と日本維新の会は2026年4月8日、北陸新幹線敦賀~新大阪延伸を議論する与党整備委員会の会合を開き、滋賀県の三日月大造知事から意見聴取しました。

会合後の記者会見で、三日月知事は現行の小浜・京都ルートの支持を改めて表明。その理由として、早期着工・早期開業の可能性が最も高いことを挙げました。

米原ルートや湖西ルートについては、財政負担や環境への影響・並行在来線の扱いなどの懸念があるため、滋賀県から求めることはないことも明確にしました。

ただ、仮に国家プロジェクトとして米原ルートに決定される場合は、「条件を確かめたうえで県の立場を伝える」とし、協議には応じる姿勢も示しました。

北陸新幹線白山

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福井県知事は強硬姿勢

いっぽう、福井県の石田嵩人知事は、4月9日の記者会見で、「小浜市付近を通らないルートには同意できないと伝える」と述べました。

福井県知事は、4月16日に与党整備員会のヒアリングが予定されていますが、その場で小浜・京都ルートでの建設を強く求める姿勢を示した形です。

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両県とも米原ルートを求めず

北陸新幹線の新大阪延伸については、2016年に小浜・京都ルートで決定して、すでに調査が進められています。

ただ、決定から10年経っても詳細ルートが決定しておらず、費用便益費の最新の数字も開示されていません。すなわち、着工5条件を満たしているとはいえない状況に陥っています。

そのため、与党入りした日本維新の会が再検討を求めて議論が進められているわけですが、代案となりうる米原ルートや湖西ルートについて、沿線の滋賀県・福井県がいずれも建設を求めない姿勢を示した形です。

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敦賀終点で固定も

ただ、両県の姿勢には温度差もあり、滋賀県は国策として決定した場合、県内を通るルートの議論に応じる余地を残しました。

つまり、並行在来線の移管をせず、建設費の負担についても相当の配慮があるなら、米原ルートや湖西ルートに応じる可能性があることを示したといえます。

いっぽう、福井県は、小浜を経由しないルートなら建設に応じないという強い姿勢です。米原ルートや湖西ルートに決定しても、福井県は受け入れいないという立場です。

その場合、北陸新幹線は敦賀が終点のまま、事実上固定されることを意味します。米原ルートや湖西ルートを建設するくらいなら、敦賀打ち切りのほうがマシ、という方針です。

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新たな議論も

与党整備委員会で結論が出るのは夏ごろになる見込みです。沿線自治体の意向に反してルートを決定するのは、新幹線の建設スキームからみて難しく、米原ルートや湖西ルートで決定する可能性は小さくなりました。

ただ、再試算で小浜・京都ルートの費用便益費が着工5条件を満たさなかった場合には、新たな議論が起こる可能性もあります。政治家が状況により姿勢を変えることはよくあるので、他ルートで建設する可能性がなくなったとまではいえません。

なにより、小浜・京都ルートは、決定から10年を経て未着手という現実があります。京都市内を経由するルートの工事の難しさや、それにともなう事業費の高さ、さらには環境問題などもあり、再決定しても、本格的な着工にはハードルが残されています。

確かなのは、どういう結論になるにせよ、開業までに相当の時間がかかるということです。(鎌倉淳)

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旅行総合研究所タビリス代表。旅行ブロガー。旅に関するテーマ全般を、事業者側ではなく旅行者側の視点で取材。著書に『鉄道未来年表』(河出書房新社)、『大人のための 青春18きっぷ 観光列車の旅』(河出書房新社)、『死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡』(洋泉社)など。雑誌寄稿多数。連載に「テツ旅、バス旅」(観光経済新聞)。テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ルート検証動画にも出演。