「青春18きっぷ」の2025年夏季の発売が発表されました。ルール変更はなく、春季と同様、「3日間」「5日間」の連続利用の設定になりました。例年からの変更点は、利用開始日を1日前倒しし、7月19日からとしたことです。3連休に対応したようですが、連休にあわせての前倒しは、これまでに例がありません。
連続利用のルールを維持
JRグループは、2025年夏季の「青春18きっぷ」の概要を発表しました。2024年冬季以来の「連続利用」のルールを維持し、3日間用と5日間用の2種類を設定しました。
価格は据え置きで、5日間用が12,050円、3日間用が10,000円です。利用期間は7月19日~9月9日で、例年より1日繰り上げており、7月の3連休で使えるようになっています。
「青春18きっぷ」2025年夏季の概要
「青春18きっぷ」2025年夏季設定分の概要は以下の通りです。
●発売期間
[3日間用]2025年7月4日~2025年9月7日
[5日間用]2025年7月4日~2025年9月5日
※発売期間内に利用開始日の 1 ヵ月前より発売
●利用期間
2025年7月19日~2025年9月9日
●価格
[3日間用]10,000円
[5日間用]12,050円
※大人、子供とも同額
●販売場所
全国のJRの主な駅や旅行センター、主な旅行会社
●効力
全国のJRの普通・快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーが乗り放題。
青春18きっぷ北海道新幹線オプション券
「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」も発売されます。普通列車が運転していない津軽海峡区間で利用できるきっぷです。
青春18きっぷと組み合わせて、北海道新幹線新青森~木古内間と道南いさりび鉄道木古内~五稜郭間を連続して利用できます。
概要は以下の通りです。
■青春18きっぷ北海道新幹線オプション券(2025年度夏季)
●発売期間
2025年7月4日~2025年9月9日
●利用期間
2025年7月19日~2025年9月9日
●運賃:4,650円
●発売場所
全国のJRの主な駅や旅行センター、主な旅行会社
3連休で初の繰り上げ
以上が、2025年夏季の青春18きっぷの概要です。2024年度冬季から導入された「連続化」が維持され、分割利用はできないままです。
これまでにない取り組みとしては、利用開始日を、例年より1日繰り上げたことでしょう。7月19日から21日にかけての、海の日の3連休に使えるようにしています。
利用開始日を1日繰り上げたからか、終了日も、例年の9月10日から1日繰り上げて、9月9日までとしました。
異例の措置
青春18きっぷの夏季の利用期間は、1985年以来、7月20日から9月10日までの53日間で固定されてきました。
たとえば、2014年は、7月19日が土曜日、21日が振替休日で、2025年と同じ日並びの3連休でしたが、青春18きっぷの利用開始日は7月20日で、繰り上げはおこなわれていません。
その点で、今回、海の日の3連休に対応して、利用開始日を1日繰り上げたことは、これまでにない異例の措置といえます。
冬季は繰り下げなかったが
繰り上げの背景にあるのは、青春18きっぷの制度変更でしょう。連続利用の3日間用を設定したので、それを3連休に利用できるようにした、ということです。
3日間有効の企画乗車券を、3連休にぶつけるのは、当然といえば当然の話なので、それ自体、違和感はありません。
ただ、青春18きっぷで初めて3日間用が販売された2024-25年冬季では、成人の日絡みで、1月11日から13日まで3連休がありました。このとき、利用期間の繰り下げはおこなわれず、1月10日で期間を終了しています。
繰り下げるとなると3日間も期間を後ろ倒しにしなければならなくなりますので、「無理に合わせる必要はない」と判断されたのでしょう。
これに対し、夏季は、1日間前倒しにしただけなので、冬とは事情が違いますが、これまで、かたくなに守ってきた「7月20日利用開始」を変更する大転換に違いありません。
販売が厳しいのか
きっぷの利用期間を連休にあわせてくれることは、利用者からすれば悪い話ではありません。
ただ、これまでにない大転換ですので、「3連休にあわせないと、売上げが伸びないくらい、販売状況が厳しいのではないか」と勘ぐりたくもなります。
青春18きっぷが「連続化」されたことで、どれだけ販売枚数が減ったのかは、明確な数字は発表されていません。
断片的な話として、青春18きっぷ期間中に東海道線の混雑が見られなくなった、といった情報はSNSなどで伝えられています。JRアクセスのいい観光地では、青春18きっぷシーズンの人出が減った、といった声も耳にします。
「連続化」により、青春18きっぷの利用者が大きく減少し、JRで収入減が生じているだけでなく、観光地の人出にも影響が出ている様子です。そうした状況を受け、JRとして、青春18きっぷを3連休に合わせることで、需要の創出を試みた、という側面もありそうです。
連休なんて関係なかったのに
青春18きっぷは、例年、2月頃に翌年度の春・夏・冬の設定期間がまとめて発表されてきました。しかし、2025年度は、各シーズン毎の発表になっています。
おそらく、連続化を受けて、販売状況を見ながら、各シーズン毎の設定に修正を加えられるようにしたのでしょう。その結果として、夏は1日繰り上げが決まったのかもしれません。
本来、夏の青春18きっぷは、連休なんて関係ないくらい、飛ぶように売れていた人気商品です。しかし、「連続化」により、その勢いは失われてしまいました。
日程繰り上げにより、3連休でどれだけ売れるのか。「連続化」をして初めての夏は、青春18きっぷの一つの正念場かもしれません。(鎌倉淳)