JR西日本は、「新幹線 近トク1・2・3」「新幹線 直前割きっぷ」を2021年4月以降に発売します。「近トク」は継続発売、「直前割きっぷ」は「直前割50」から名称変更です。いずれも割引幅は3月までより縮小し、値上げとなります。
2020年初設定
「新幹線 近(ちか)トク1・2・3」「新幹線 直前割きっぷ」は、新型コロナ感染症による利用者急減を受け、JR西日本が2020年に初設定した山陽新幹線の割引きっぷです。「近トク」は2020年12月に初設定、「直前割」は「直前割50」という名称で2020年9月に初設定され、それぞれ継続発売されてきました。
JR西日本は、この2つの割引きっぷについて、2021年4月2日から6月27日までの利用期間で発売を継続すると発表しました。利用できるのは金土日祝のみで、これまでと同じです。
割引幅については「近トク」は一部区間で縮小。「直前割」は、きっぷの名称変更が示すように、全区間で縮小となりました。言い換えれば「値上げ」となります。
「新幹線 近トク1・2・3」
「新幹線 近トク1・2・3」は、山陽新幹線の1~3駅区間で、自由席が割引価格になります。JR西日本のインターネット列車予約「e5489」およびJJR西日本の主要駅の「みどりの券売機」で購入できます。発売は1ヶ月前から前日までです。
主要区間の新旧価格は以下の通りです(大人1名自由席)。旧価格で1,000円、1,500円の区間は価格据え置きですが、2,000円だった区間が2,500円になります。新大阪~姫路、新山口~小倉などが値上げとなります。
設定区間 | 新価格 | 旧価格 |
---|---|---|
新大阪~新神戸 | 1,000 | 1,000 |
新大阪~西明石 | 1,500 | 1,500 |
新大阪~姫路 | 2,500 | 2,000 |
姫路~岡山 | 2,500 | 2,000 |
岡山~福山 | 1,500 | 1,500 |
広島~東広島 | 1,000 | 1,000 |
広島~徳山 | 2,500 | 2,000 |
徳山~新山口 | 1,000 | 1,000 |
新山口~小倉 | 2,500 | 2,000 |
※上記以外にも設定区間は多数あります。
「新幹線直前割きっぷ」
「新幹線直前割きっぷ」は、山陽新幹線の中長距離区間で、「こだま」「ひかり」の指定席が割引になります。JR西日本のインターネット列車予約「e5489」でのみ購入できます。発売は3日前から前日までです。
主要区間の新旧価格は以下の通りです(大人1名指定席、こだま・ひかり限定)。「直前割50」は文字通り一律半額でしたが、「直前割きっぷ」では、約35~45%の割引額になっています。距離が長いほど割引率が高い形に変更されました。
区間 | 新価格 | 旧価格 |
---|---|---|
新大阪~岡山 | 3,900 | 3,070 |
新大阪~広島 | 6,200 | 5,210 |
新大阪~新山口 | 7,500 | 6,420 |
新大阪~小倉 | 8,200 | 7,190 |
新大阪~博多 | 8,400 | 7,630 |
岡山~広島 | 3,900 | 3,070 |
広島~小倉 | 4,900 | 3,830 |
広島~博多 | 5,800 | 4,540 |
※上記以外にも設定区間は多数あります。
中距離の値上げ幅大きく
「近トク」は距離の短い1、2駅区間で価格を据え置き、距離の長い3駅区間を値上げしました。「直前割」は、中距離区間の値上げ幅が大きく、遠距離区間の値上げ幅が小さくなっています。
新幹線の競争力が高い中距離区間の値下げは控えめにして、近距離区間での需要を掘り起こしながら、対航空機との争いとなる遠距離区間で低価格商品を設定する、という狙いのようです。
値上げは残念ですが、それでも、新型コロナ前には、割引きっぷが乏しかった山陽新幹線の中距離区間で、1人利用可の「直前割」が残されことは、利用者にとっては助かることでしょう。近距離区間での利用もしやすく、新幹線をより気軽に使えそうです。(鎌倉淳)