鎌倉市の旧市街地に、初のシティホテルが誕生します。JR東日本系列の「ホテルメトロポリタン鎌倉」(仮称)です。宿泊施設の少ない鎌倉市内では、貴重な存在となりそうです。
鎌倉警察署跡地に建設
「ホテルメトロポリタン鎌倉」は、鎌倉駅から徒歩3分、若宮大路に面した旧鎌倉警察署跡地に建設されます。土地の保有者は大巧寺という宗教法人で、ニッセイ・リースが建物を所有し、日本ホテルが運営します。日本ホテルはJR東日本の100%子会社ですから、「ホテルメトロポリタン鎌倉」は、JR東日本系列のホテルです。
建物は地下1階地上5階で、敷地面積は約2,332平方メートル、延床面積は約8,800平方メートルです。客室数はツイン125室、ダブル 13室の計138室。各室の定員を2名とすると、収容人員は276人となります。
ホテルメトロポリタンとしては小規模
運営する日本ホテルには、ホテルメトロポリタンのほか、ホテルメッツというブランドがあります。前者がシティホテル、後者がビジネスホテルという位置づけで、上位ブランドのホテルメトロポリタンは、すべてが新幹線駅のある都市に立地しています。
そうしたブランドイメージや、規模を考えれば、鎌倉はホテルメッツのほうが適当な気もします。
しかし、高価格帯のホテルが鎌倉中心部にないこと、ホテルメッツは2つ隣の大船駅近くにあることなどから、高い客単価を期待できるホテルメトロポリタンブランドで展開することにしたのでしょう。新幹線駅のない都市に、ホテルメトロポリタンがオープンするのは初めてです。
鎌倉市中心部では最大級
鎌倉市には、大型ホテルとして鎌倉パークホテルと鎌倉プリンスホテルがあります。しかし、いずれも旧市街からは離れた海沿いで、どちらかといえばビーチリゾート向け。古都巡りにはあまり向きません。
ホテルメトロポリタンが建設される鎌倉駅周辺には宿泊施設が少なく、この規模のホテルは他にありません。つまり、鎌倉市中心部では最大級のホテルが誕生することになります。
駅徒歩3分とありますが、感覚的には駅前といっていい立地です。旅行者にはとてもわかりやすいでしょう。レストランも併設されます。
宿泊観光客1.5%
鎌倉市は、日本を代表する古都の1つであり、首都圏有数の観光地であるにも関わらず、宿泊する旅行者はほとんどいません。
2016年度の「鎌倉市の観光事情」という資料をみると、年間2,293万人もの観光客が訪れるにもかかわらず、宿泊したのは34.4万人にとどまります。観光客のうち、市内に宿泊した人は、わずか1.5%にすぎないのです。
その理由として、東京や横浜から容易に日帰りできることが挙げられます。それもあるでしょうが、そもそも宿泊施設が非常に限られているため、泊まりたくても泊まれない、という事情のほうが大きいように思われます。
旅行者には待望のホテル
みなさんご存じのとおり、鎌倉は周囲を山と海に囲まれた天然の要塞です。この要塞には7つの入口があり、「鎌倉七口」といわれます。鎌倉七口の内側が「旧鎌倉」で、その中心が由比ヶ浜から鶴岡八幡宮に至る若宮大路です。
歴史ある旧鎌倉に宿泊してみたいという人は多いと思います。しかし、その要望に応えられる宿泊施設は少なく、ホテルはさらに少なく、高級ホテルとなると現状では皆無です。
その意味で、ホテルメトロポリタン鎌倉は、鎌倉観光をじっくり楽しみたい旅行者にとっては、待望の宿泊施設といえそう。開業予定は2020年春です。(鎌倉淳)