北海道新幹線「旭川延伸」と「南回り」を議論へ。「次の整備新幹線」競争激しく

全国各地で昇格運動が

北海道知事が、北海道新幹線の札幌以遠の延伸について議論を始める考えを示しました。四国や山陰など、他地域での新幹線基本計画路線の建設運動を意識した動きです。「次の整備新幹線」へ向けた格上げ競争が激しくなってきました。

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「次の整備新幹線」建設運動

北海道の新幹線計画としては、建設中の北海道新幹線札幌延伸のほか、同新幹線の「旭川延伸」と、室蘭を経由する「北海道南回り新幹線」があります。札幌延伸は整備新幹線として建設が決定していますが、「旭川延伸」と「南回り新幹線」は基本計画路線で、建設は具体化していません。

全国を見渡すと、整備新幹線については、北陸新幹線の敦賀~新大阪間のルート決定を受けて、未確定なのは九州新幹線長崎ルートの新鳥栖~武雄温泉間だけになりました。そのため、「次の整備新幹線」を目指し、各地で基本計画路線の建設運動が高まっています。

北海道新幹線H7系

動きがないのは「北海道」「九州横断」

動きが目立つのは、山形・秋田県を中心とした「奥羽・羽越新幹線」、鳥取・島根県を中心とした「山陰・中国横断新幹線」、四国4県による「四国・四国横断新幹線」、大分・宮崎県を中心とした「東九州新幹線」です。

このほか、福井県は「北陸中京新幹線」について運動を始めていますし、大分県は「豊予海峡新幹線」(四国新幹線の一部)の独自調査を終えています。

ざっとみたところ、新幹線基本計画路線で建設運動の動きがみえないのは、「北海道新幹線旭川延伸」「北海道南回り新幹線」「九州横断新幹線」の3路線のみです。

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「稚内」と「新千歳空港」

こうした状況に危機感を持ったのか、北海道の高橋はるみ知事は、2018年5月18日の記者会見で、北海道新幹線札幌延伸の開業時期前倒しに意欲を示した後、「その先をどうするかということも大いに関心があります」と述べました。

知事は、「できれば稚内までと思いますけれども、それだと道東の方々はどう思われるのか」「収益を上げるという意味では、新千歳空港までつないだほうが良い」と続け、具体的な地名として「稚内」と「新千歳空港」の2つを挙げました。

「稚内」という発言は宗谷海峡トンネル構想を意識したのかもしれませんし、最果てという意味に過ぎないかもしれません。宗谷方面は新幹線の基本計画路線に含まれていませんが、旭川までは含まれます。

札幌~新千歳空港間は、北海道南回り新幹線のルートで、過去、リニアモーターカーの建設が検討されたこともあります。同区間を走る在来線の千歳線は、北海道内では最も線路容量が逼迫しており、「線増」という意味で必要性が高い区間です。

「そろそろ議論を始めていい」

さらに知事は「四国の方々であるとか、山陰の方々であるとか、今、新幹線の具体的な工事などが全く進んでいないけれども、新幹線を走行させたいという思いを持っておられる地域の方々と、いろいろな所でお話をしますと結構盛り上がっておられるところもあります」と続け、他地域の動向に関心を寄せました。

そして「私どもも札幌延伸の早期実現ということの運動をしっかり盛り上げると同時に、その先をどうするかということも、そろそろ議論を始めていい」と述べ、道庁内で北海道新幹線延伸の検討を開始することを明らかにしました。

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各地で運動激しく

新幹線建設にはいろんな意見がありますし、現在の整備新幹線の建設スキームにも問題がありますが、それを整理するのは国の仕事です。

全国的に新幹線基本計画路線の整備新幹線昇格運動が広まるなか、北海道だけが指をくわえているわけにいかないのは、自治体の長として当然のことでしょう。

「北海道新幹線旭川延伸」と「北海道南回り新幹線」の建設運動が始まれば、基本計画路線で動きが見られないのは、「九州横断新幹線」のみとなります。

「山陰新幹線」や「四国新幹線」「東九州新幹線」は、すでに概算事業費の算出も終えています。「次の整備新幹線」の議論はこれからが本番で、激しい政治運動が巻き起こりそうです。(鎌倉淳)

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