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「猿岩石」から「旅猿」へ。海外旅行バラエティ番組は「長期旅行」から「弾丸旅行」の時代を映している?

「東野・岡村の旅猿 プライベートでごめんなさい…」(以下、「旅猿」)という番組をご存じでしょうか。タレントの東野幸治と岡村隆史がプライベートで海外自由旅行をする、という設定のバラエティ番組です。事実上の第1回はインドで2008年放送、以後、不定期で中国、ベトナム、韓国、台湾、パラオなどへ旅をしています。

この番組、筆者も見始めたのは昨年頃からですが、なかなか面白い番組です。視聴率も手堅く、スペシャル版で10%前後を取っていますので、人気番組といっていいでしょう。

画像:日本テレビホームページ

ところで、タレントが旅をする旅番組といえば、「進め!電波少年」内の猿岩石「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」を思い出します。猿岩石は約半年をかけて、香港からイギリスまでバックパッカー旅行をしました。

「猿岩石」と「旅猿」は、同じ旅番組といっても、コンセプトはかなり異なります。猿岩石は長期の本格的バックパッカー志向。一方、旅猿はせいぜい現地2、3泊程度の自由旅行です。猿岩石は徹頭徹尾「自力での移動(ヒッチハイク)」にこだわりますが、旅猿はバックパッカー旅行をしながらも、適宜現地ガイドを入れて、タクシーなども織り交ぜています。

猿岩石のブームの後には、長期旅行の日本人バックパッカーが激増したようです。データがないのではっきりしたことは言えませんが、バックパッカーの長期旅行が一般化したのは、たしかに猿岩石ブームの後でした。それだけテレビの影響力というのは大きいのですが、では、「旅猿」は旅行のトレンドにどういう影響を及ぼすでしょうか。

「旅猿」は現地2、3泊程度の弾丸旅行が特徴です。番組内容はそれなりに濃く、「これだけの旅をたった2泊で実現してしまうのか」と驚くようなスケジュールです。つまり、「たった2泊でこれだけの旅ができる」と視聴者に思わせる力があります。とくに、ベテランの旅行者ほど、そうした感想をもつのではないでしょうか。

たとえば、第1回の「インド」では、JALの直行便で午前に成田を発ち、夕方にデリー到着。翌日アグラへ日帰りし、その夜の夜行列車でバラナシへ。早朝にガンガーで沐浴して番組は終わります。ガンガー沐浴後のスケジュールはわかりませんが、おそらくはバラナシに泊まらず飛行機でデリーに戻り、その夜のJAL便で帰国したと思われます。現在の航空ダイヤに当てはめるなら、1日目の午前11時25分に成田を出て、4日目の7時10分に成田に帰ります。

これは、サラリーマンなら土曜日の朝に東京を出て、火曜日の午後には会社に出勤できるような旅です。週末絡みの3連休に、半休1日を足せばできてしまうインド旅行。しかも、タージマハルとガンガー沐浴という2大観光を達成しています。これにはちょっとした衝撃を受けました。

最近の海外旅行のトレンドの一つに「弾丸ツアー」があります。現地1泊や0泊など、週末で行って帰ってくるような短期旅行です。「旅猿」は、こうした「弾丸ツアー」を後押しする番組といえます。「猿岩石」の後に海外バックパッカーが増えたことと同じことが「旅猿」にも起こるとすれば、超短期旅行者を増やす結果になるかもしれません。

ところで、「旅猿」の主な過去番組はDVD化されていて、購入して見ることができます。筆者も以前の番組をDVDで見ましたが、そこで感じたのは、「だんだん旅の内容がぬるくなっている」ということです。


東野・岡村の旅猿 インドの旅 DVD

第1回放送の「インドの旅」では、わりと本格的なバックパッカー旅にチャレンジしています。デリーの空港からローカルバスで市街地へ向かい、トイレの水の流れないようなバックパッカー宿に泊まります。往復にJALのビジネスクラスを利用したり、途中チャーターのクルマで長距離移動したりしているのはテレビ番組的ですが、全体を通して「バックパッカー志向」なことはわかります。

ところが、回を追うことに、こうした「バックパッカー志向」は薄れてきます。第2回目の「中国の旅」、第3回目の「ベトナムの旅」あたりまではまだその余韻があるものの、インドのようなハードさはなく、レギュラー放送となったシーズン1以降は、国内旅行が増えていきます。

最新のシーズン2では、「岩手・八幡平でキャンプと秘湯の旅」「北海道・屈斜路湖カヌーで行く秘湯の旅」となっています。バックパッカー志向はなくなり、アウトドア志向がそれに取って代わっています。しかも、だんだんグルメに奔るようになってきました。グルメと温泉がテーマになりつつあるのです。

「グルメ秘湯旅」は、いまさら新しくはありません。ただ、つらい海外貧乏旅行を続けた旅人の多くも、歳を取るにつれて、国内の温泉旅行をするようになるものです。「旅猿」も、またそれを体現しているかのようです。

いろんな意味で、テレビ番組は世相に影響を及ぼしつつ、世相を反映してもいるものです。「旅猿」のヒットは「弾丸ツアー」のブームを予言し、「グルメ秘湯旅」のトレンドを反映しているのかもしれません。

東野・岡村の旅猿 プライベートでごめんなさい・・・インドの旅

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