バニラエアが運賃値下げで、手数料を値上げ。LCCはやはり「見た目の価格」が大事なのか?

バニラエアが2014年冬期スケジュールと運賃・手数料制度を発表しました。新制度では、運賃本体を値下げする一方で、手荷物料金を別途徴収し、手数料も値上げします。

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シンプルバニラで手荷物を有料化

バニラエアには、「シンプルバニラ」と「コミコミバニラ」の2つのレギュラー運賃と、バーゲン用の「わくわくバニラ」の3つの本体運賃があります。このうち「シンプルバニラ」の新運賃では、最低価格を最大3,500円の値下げとしました。また、「コミコミバニラ」では、最低価格を最大4,500円値下げします。

同時に、「シンプルバニラ」で受託手荷物料金を有料化しました。20kgまで2,000円です。また、手数料ではレギュラーシートの座席指定料を300円から500円に値上げ。支払手数料も200円を400円に値上げします。一方、リラックスシートの座席指定料は1,200円から1,000円に値下げします。

バニラエア

バニラエアの新運賃

本体運賃の最低価格の変化は以下の通りです。コミコミバニラ/シンプルバニラの表記で、→の左側が2014年夏期運賃、右側が冬期運賃です。

  • 成田~札幌  9,000円/ 6,500円→6,300円/4,800円
  • 成田~那覇 11,000円/ 8,500円→7,400円/5,900円
  • 成田~奄美 10,500円/ 8,000円→7,000円/5,500円
  • 成田~台北 12,500円/10,000円→8,500円/7,000円
  • 成田~仁川 10,000円/ 7,500円→5,500円/4,000円

支払手数料の値上げを勘案しても、全体的には値下げになっています。荷物を預けない人には文句なく値下げですし、シンプルバニラで荷物を預けていた人は、コミコミバニラを選択すれば値下げになります。たとえば那覇の場合、これまで8,500円+200円=8,700円かかっていたのが、7,400円+400円=7,800円で済むわけです。コミコミバニラとシンプルバニラの運賃差を縮小させたので、こうした現象が起きています。

新運賃制度の狙いは何か?

この運賃変更の狙いはなんでしょうか。まず、手荷物料金が含まれていない運賃を常設することで、「見た目の価格」を下げることができます。バニラエアはこれまで、最低価格がジェットスターに比べて高いという弱点がありました。それでは販売のハンディになるので、見た目の価格を下げよう、という狙いがあるとみられます。

また、同社の航空券販売におけるシェアは、「わくわくバニラ」が1割、「コミコミバニラ」が1割、「シンプルバニラ」が6割、旅行会社が2割とのことで、直接販売ではシンプルバニラのシェアが圧倒的です。今回の運賃変更で、手荷物のある人はコミコミバニラを選ぶでしょうから、そのシェアがかなり増えると思われます。一方、シンプルバニラの利用者は減少するでしょう。

これが同社の狙いとするならば、客単価を下げてでもコミコミバニラを主力商品としたいという意図が、新運賃に反映されていると考えていいでしょう。

コミコミバニラは、受託手荷物のほか、座席指定も無料で、手数料を支払えば日付や便の変更、キャンセルも可能です。これではフルサービスキャリアと大差なく、要するにバニラエアは、フルサービスキャリア的なシステムのLCCを目指す、ということのようです。実際、同社は就航当初からその方向性を示唆しています。

また、キャンセル可能な料金であれば、キャンセルされた座席はキャンセル料が入ったうえに再販売ができます。キャンセル不可の座席は旅客が乗らなかった場合でも再販売ができませんから、キャンセル可能な運賃を売ったほうが航空会社には有利、という計算があるのかもしれません。

バニラエアは、もうすぐ就航1年になりますが、知名度は高いとはいえず、搭乗率も伸び悩んでいるようです。低価格を前面に出すことで客への訴求力を上げて、まずは搭乗率の向上を目指したのが今回の改定と思われます。シンプルな商品・サービスを掲げて登場したバニラエアですが、やはりLCCは「見た目の価格が大事」ということなのでしょうか。

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