「ローカル路線バスで鬼ごっこ!」の第10弾が放送されました。太川陽介と松本利夫がチームを率いて対戦する番組です。バスの乗り継ぎ部分について、少しだけ分析してみました。
なお、以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)
小沢真珠、椿鬼奴など参加
テレビ東京の「路線バスで鬼ごっこ!」は、「ローカル路線バスの旅」シリーズの企画の一つです。2024年7月31日に放送された第10弾では、ルイルイこと太川陽介とEXILEの松本利夫がそれぞれチームを率い、栃木、群馬両県で対戦しました。
太川チームには椿鬼奴と和田正人が、松本チームには小沢真珠とつるの剛士が参加しました。
「鬼ごっこ」のルールは、ミッションをこなしながら逃げるチームを鬼チームが追いかけ、写真を撮れば攻守交代するというもの。2日間の勝負で、先にゴールしたチームが勝者となります。
スタート時点で1,000円のタクシー代が与えられ、さらにチェックポイントをクリアすると1,000円が得られるという設定でした。
今回は新ルールが導入され、2日目は逃げ子が選んだミッションをこなしつつ、鬼に捕まった時点で終了となります。気になった局面について、少しだけ乗り継ぎを検証してみましょう。
水バラ ローカル路線バス対決旅 路線バスで鬼ごっこ第10弾 栃木・群馬 夏休み決戦!
【出演】太川陽介、椿鬼奴、和田正人、松本利夫(EXILE)、つるの剛士、小沢真珠
【放送日】2024年7月31日(水) 18時25分~21時54分(テレビ東京系列、見逃し配信あり)
局面ごとに検証
「路線バスで鬼ごっこ」は、鬼と逃げ子が途中で入れ替わり、入れ替わった際に鬼は拘束され、一定時間その場にとどまらなければならない、というルールがあります。そのため、全体の乗り継ぎを検証することに意味はありません。
ここでは、局面ごとに、他の乗り継ぎ方法がなかったかを検証してみます。以下、実際ルートは「▼」、検証ルートは「▽」で示します。
表記しているバス時刻は定時です。また、番組ではっきり表示されなかった乗り継ぎは筆者による推測です。☆はチェックポイントです。距離はGoogleマップでの計測です。
序盤線の攻防
1日目、松本チームは通一丁目バス停を07時41分発のバスで出発し、東武足利市駅に到着しました。しかし、その先、第1チェックポイント方面に向かうバスの時間が合わず、歩いて駅を出発します。
約5kmを歩いて太田東高校南のバス停に至りますが、そこには太川チームの姿が。諦めたのか、逃げもせず、鬼に捕まってしまいました。
▼松本チーム
通一丁目07:41→07:50東武足利市駅08:10頃→徒歩5km→09:40太田東高校南付近(被捕獲)
一方、太川チームは、通一丁目を30分後に出るバスで出発。同じく東武足利市駅に到着しました。タイミングよく矢場川公民館行きのバスに乗り継ぎ、太田東高校南バス停で待っていたところ、歩いてきた松本チームを確保します。
▼太川チーム
通一丁目08:11→08:20東武足利市駅08:38→08:53矢場川公民館→徒歩1.8km→09:23太田東高校南(確保)
※Googleマップのルートは概略です(以下同)。
東武足利市駅から逃げ切れなかったか
この序盤戦で、松本チームが太川チームを逃れる方法はあるのでしょうか。
放送でもちらりと映りましたが、太田東高校南バス停を出発するバスとして、バスターミナルおおた行きが09時16分に出ます。松本チームが第1チェックポイントまで逃げ切るには、この09時16分発のバスに乗らなければならなかったようです。
うまく乗り継げた場合、以下のようになります。
▽松本チーム
東武足利市駅08:00→徒歩5km→太田東高校南09:16→09:46バスターミナルおおた10:05→10:13大田駅南口/北口10:20→10:51ジョイフルホンダ西→徒歩3.1km→11:30助平屋(☆)
東武足利市駅には7時50分に着いていたので、太田東高校南のバス停を目指して、一心不乱に歩いていれば、太田東高校南に9時10分ごろに到着することはできなくはないでしょう。
それが難しい場合でも、タクシーにワンメーター乗って残りを歩けば、09時16分発に間に合います。「とりあえず、駅から逃げるために少しタクシーに乗る」という判断をすれば、第1チェックポイントの助平屋まで逃げ切れる設定になっていた、ということです。
とはいえ、この乗り継ぎを実現するには、足利市駅で太田東高校南のバス停位置を確認していなければなりません。乗り継ぎを狙うなら、バス時刻も把握しておく必要もありました。それが現実的かといえば、難しかったでしょう。
したがって、第1チェックポイントまでの間で、逃げ子が逃げ切るのは難しく、松本チームが捕まってしまったのはやむをえないといえそうです。
第1チェックポイントへ早着できないか
太川チームは太田東高校西バス停を09時43分に出るバスに乗り、イオンモール太田、大田駅、尾島温泉利根の湯と乗り継いで、11時55分に木崎ドラッグストアに到着。12時頃に、第1チェックポイントの助平屋に着きました。
▼太川チーム
太田東高校南09:43→10:00イオンモール太田10:15→10:27太田駅南口/北口10:45→11:25尾島温泉利根の湯11:35→11:55木崎ドラッグストア→徒歩0.1km→助平屋(☆)
ミッションは完遂したものの、後からやってきた松本チームに捕獲されてしまいます。松本チームは矢場町から太田記念病院の一回の乗り継ぎで長命寺西に到着し、約700メートルを歩いて第1チェックポイントに着いたところでした。
▼松本チーム
矢場町10:39→11:14太田記念病院11:40→12:03長命寺西→徒歩0.7km→助平屋(☆)
この局面は、お互いが最善手で到着しており、チェックポイントでの交錯が想定されていたようです。ただ、時刻表上の定時でみると、チェックポイントの想定到着時刻は、太川チームが11時57分頃で、松本チームが12時12分頃と考えられます。
松本チームとしては、もう少し急いでミッションを潰したかったでしょうが、時刻表上では困難ということです。それをあと一歩のところまで追い詰めたのですから、大健闘といえそうです。
第2チェックポイントの攻防
第1チェックポイントで逃げ子になった松本チームですが、第2チェックポイントまでは逃げ切れず、途中で捕獲されます。しかし、第2チェックポイントのゆまーるに先回りして、太川チームを確保しました。
▼松本チーム
助平屋(☆)→木崎ドラッグストア12:17→12:25ジョイフル本田新田店→徒歩2.6km→13:15綿打行政センター(被捕獲)13:35→13:59伊勢崎駅14:20→14:27安堀町→徒歩0.3km→伊勢崎ゆまーる(☆)
この乗り継ぎは、タクシーを使わないのであれば、第1チェックポイントから第2チェックポイントへの最速パターンとなっています。途中、捕らえられてしまったとはいえ、最高の乗り継ぎで乗り切りました。
一方の太川チームは、途中で鬼を捕まえたものの、うまく逃げ切れずに、ゆまーるに到着したところで捕獲されてしまいます。
▼太川チーム
助平屋→木崎ドラッグストア12:50→12:58ジョイフル本田新田店13:08→13:16綿打行政センター(確保)13:20→徒歩2.8km→14:00平井14:25→15:16伊勢崎駅南口→徒歩1.5km→15:54伊勢崎ゆまーる(☆被捕獲)
なんとか逃げ切る方法はないかと検討しましたが、太川チームが第2チェックポイントへ先着する方法は見当たりません。
この局面では、松本チームがサイコロで15分ロックにとどめたことが奏功したといえそうです。
第4チェックポイントの攻防
今回のルールで、重要なのは第4チェックポイントの確保です。第4チェックポイントを制したほうが、翌日の逃げ子になれるからです。
その点でいえば、第2、第3チェックポイントを制した松本チームが、第4チェックポイントを逃したのは痛恨でしょう。
そこで、松本チームが第4チェックポイントに先着する方法がなかったかを検討してみます。
振り返ると、松本チームは、第3チェックポイントのこもれびから、天川原町南のバス停まで1.6kmを歩き、バスで前橋駅に至り、群大病院入口を経て第4チェックポイントのなる花に到達しています。
▼松本チーム
こもれび(☆)→徒歩1.6km→18:14天川原町南18:15→18:30前橋駅18:37→18:48群大病院入口→徒歩0.7km→なる花(☆)
一方の太川チームは、前橋駅行きのバス乗車中に第4チェックポイントの情報を得て、そのまま前橋駅まで乗車。タクシーを投入してなる花に急ぎました。
結局、先手を取ったのは太川チームで、2日目に逃げ子となる権利を獲得しました。
▼太川チーム
伊勢崎駅前16:50→17:09上福島→徒歩→福島橋17:33→18:10前橋駅18:19→タクシー3.3km→18:30頃なる花(☆)
このときの太川チームは効率的に乗り継いでいて、隙が見当たりません。これを松本チームが凌ぐには、どうしたらいいのでしょうか。
17時に第3チェックポイントに着く方法は?
それを検討するには、第4チェックポイント到着前から振り返る必要があります。
第3チェックポイントから第4チェックポイントへの松本チームの乗り継ぎは、以下のような形になっています。
▼松本チーム
伊勢崎ゆまーる(☆)→タクシー+徒歩、5.4km→二之宮町16:33→16:46前橋東警察署入口→徒歩2.2km→ケーキ屋こもれび
こもれびの到着時刻は、番組では明示されませんでしたが、映像に映った時計をみると、17時36分頃のようです。前橋東警察署からの徒歩距離2.2kmに50分近くかかっています。
順調なら、2.2kmは30分もあれば歩けますので、こもれびには17時15分くらいに到着できていたでしょう。放送にはありませんでしたが、バスの遅延か、道迷いなどのアクシデントがあったのかもしれません。
仮に17時15分にこもれびに到着し、ミッションに20分かかったとして、17時35分に出発。すぐにタクシーに乗ると、次のような乗り継ぎが可能です。
▽松本チーム
こもれび17:35→タクシー2.2km→前橋東警察署入口17:50→18:19前橋公園前→徒歩1.2km→18:30頃なる花(☆)
太川チームとほぼ同着です。うまくいけば、松本チームが第4チェックポイントを制していた可能性があるわけです。
野中町ルート
しかし、現実問題として、松本チームは前橋東警察署入口からこもれびまで50分かかっています。では、違うルートはなかったのでしょうか。
可能性として考えられるルートがあるとすれば、以下のような形でしょうか。
▽松本チーム
伊勢崎ゆまーる→二之宮町16:33→16:43野中町→徒歩0.2km→野中十字路16:54→17:02前橋大島駅→徒歩1.7km→17:20こもれび(☆)17:40→タクシー2.2km→前橋東警察署入口17:50→18:19前橋公園前→徒歩1.2km→18:30なる花
二之宮町からのバスを野中町で降り、前橋大島行きのバスに乗り継ぎます。すると、順調に歩けば17時20分ごろにこもれびに着き、タクシーを使えば、前橋東警察署前17時50分発に間に合います。
とはいえ、ここまで来ると机上論も極まれりという話になってしまいます。つまるところ、松本チームが、第3、第4チェックポイントを連取することは難しかった、という結論になりそうです。
最終局面の攻防
2日目は、太川チームが逃げ子、松本チームが鬼としてスタートします。まず、5か所あるチェックポイントの3つを、逃げ子が捕まらずに訪れなければなりません。
2日目に関しては、乗り継ぎがどうというより、予想や読み合いがポイントになりました。逃げ子がヤマを張ってチェックポイントに行かないと捕まえられません。その点で、ルート検証にあまり意味はないような気もします。
ただ、最終局面、鬼が逃げ子の動きをGPSで確認できるようになってからは、相手の乗っているバスを読み取れば、先手を取ることも可能になります。
実際に、松本チームは、太川チームの動きをGPSで確認しながら、前橋駅に行くか、高崎駅に行くかで迷いました。この場面を振り返ってみましょう。
まずは、両チームの実際の動きを見てみます。
▼太川チーム
かみつけの里博物館前15:16→15:40イオンモール高崎16:10→16:37高崎駅西口/高崎駅17:15→17:42玉村高校→徒歩0.1km→玉村八幡宮(☆)
▼松本チーム
フォレストモール新前橋16:01→16:08中央病院入口16:22→17:25高崎駅
松本チームは、新前橋から高崎駅行きに乗るか、前橋駅行きに乗るか逡巡した結果、前橋行きに乗って、途中降りて高崎に向かうという形になりました。
このとき、松本チームが当初乗る予定だった高崎駅行きのバスに乗っていたらどうなっていたでしょうか。
▽松本チーム
新前橋フォレストモール15:30→16:00高崎駅
高崎駅に16時頃に到着します。太川チームが高崎駅に到着するのは16時37分。松本チームはGPSで太川チームの動きをつかめるので、最後に捕まえるのは難しくありません。すなわち、高崎駅で捕まえて、松本チーム勝利となっていたでしょう。
松本チームはなぜ読み誤ったか
では、なぜ、松本チームは太川チームの動きを読み誤ったのか。理由は、最後に太川チームが乗ったかみつけの里博物館前からのバス路線図にあります。
以下のような路線図(青線)になっていて、方向感がつかみにくい動きになっていたことが原因でしょう。
かみつけの里博物館前を出たバスは、最初に西へ向かい、北東、北西、東と向きを変え、南進してイオンモールに到着します。路線図と照らし合わせていないと、このバスの最終目的地がどこだかわからないでしょう。
太川チームとしても、そうした効果を狙っていたようです。要は、太川チームの「目くらまし」に、松本チームがだまされてしまった形です。
松本チームが、GPSだけでなく、路線図も確認して、どのバス路線に乗ったのかを推測していれば、太川チームの目的地を割り出すことは可能だったかも知れません。松本チームに敗因があるとすれば、この点でしょう。
これで、鬼ごっこは、太川チームの6勝4敗となり、勝ち越しが2つに増えました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)