燃油サーチャージ、燃料の値下がりを円安が打ち消す。価格には落ち着き

前回と同水準に

航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が据え置きとなっています。今後の見通しとあわせて見てみましょう。

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24年8-9月分を発表

国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALは2024年8-9月発券分で、価格を据え置くことを発表しました。

燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。

JALによりますと、8-9月発券分の基準となるシンガポールケロシンは、直近2ヶ月の市況価格が99.41米ドルでした。また、同期間の為替平均は1ドル154.78円でした。これを乗じた1バレルあたりの基準金額は15,387円となりました。

JAL

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欧米往復70,000円

6-7月発券分は、市況価格102.81米ドル、為替149.52円、基準価格15,373円でした。この2ヵ月で燃料価格は3%値下がりし、為替は3%円安に振れています。燃料の値下がりを円安が打ち消して、結果として、基準価格はほとんど変わらない水準となりました。

これにより、JALでは8月1日発券分から燃油サーチャージの価格を据え置きます。8-9月発券分のひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが35,000円に、ハワイ・インドなどが22,500円に、タイ・シンガポールなどが18,500円になります。

これは片道の金額なので、往復の場合、北米・欧州・オセアニアなどが70,000円に、ハワイ・インドなどが45,000円に、タイ・シンガポールなどが37,000円となります。

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円安激しく

燃油サーチャージは、2022年10-11月発券分がピークで、その後いったん値下がりし、2023年8-9月分を底として上昇に転じました。23-24年12-1月分で過去2番目の高値を付けたあと調整し、4-5月分を底に再上昇に転じました。

前回が1段階上がり、今回は据え置かれ、価格は落ち着いています。

過去1年の燃油サーチャージの変化は下表の通りです。

2023-24年のJALの燃油サーチャージ(円)
路線 23年
8-9月
23年
10-11月
23-24年
12-1月
24年
2-3月
24年
4-5月
24年
6-9月
北米・欧州・中東・オセアニア 28,800 33,400 47,000 43,600 33,000 35,000
ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ 18,400 21,300 30,500 28,200 21,000 22,500
タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ 15,000 17,900 24,700 23,000 18,000 18,500
グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル 9,200 11,000 17,800 16,100 11,000 12,000
東アジア(韓国、モンゴルを除く) 7,100 8,400 11,400 10,300 8,500 9,200
韓国 2,900 3,500 5,900 5,300 3,500 4,000

※片道あたり、発券日基準。

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適用条件「ゾーンJ」に

今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の「ゾーンJ」に該当します。前々回の「I」より1ランク上です。最高値だった2022年10-11月の「O」の5ランク下となっています。

JALの北米・欧州向け適用条件表
ゾーン 基準価格 サーチャージ額
(23年度)
サーチャージ額
(24年度)
A 6,000円~7,000円 4,500円 4,500円
B 7,000円~8,000円 8,900円 8,900円
C 8,000円~9,000円 13,400円 13,400円
D 9,000円~10,000円 17,800円 16,000円
E 10,000円~11,000円 20,200円 18,500円
F 11,000円~12,000円 24,200円 21,000円
G 12,000円~13,000円 28,800円 25,000円
H 13,000円~14,000円 33,400円 29,000円
I 14,000円~15,000円 36,800円 33,000円
J 15,000円~16,000円 40,200円 35,000円
K 16,000円~17,000円 43,600円 38,000円
L 17,000円~18,000円 47,000円 41,000円
M 18,000円~19,000円 50,400円 44,000円
N 19,000円~20,000円 53,800円 47,000円
O 20,000円~21,000円 57,200円 50,000円
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今後の見通しは?

最近の燃油価格は、比較的落ち着いています。直近の数字を見ると、基準となるシンガポールケロシンの市況価格は100米ドル程度で、今回の基準価格99.41とほぼ同じ水準です。

一方、為替相場では円安が進んでいて、6月22日には159円に乗りました。今回の基準価格の154円に比べると3%ほど円安です。

このままの状況で推移すれば、円安の影響で、次回の基準価格は16,000円台に乗る可能性があります。その場合、燃油サーチャージのゾーンは2段階上の「K」になるでしょう。ただし、為替がこれ以上円安に振れなければ、今回と同水準にとどまる可能性もありそうです。

米国の利下げは進んでおらず、日銀は利上げに慎重で、当面の円高は望みにくい状況となりました。一方で、原油価格は落ち着いていますが、大きく値を下げる気配もありません。となると、当面、燃油サーチャージの価格が大きく下がることもなさそうです。(鎌倉淳)

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