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JR四国の新中期経営計画を読み解く。今後3年はマンションとホテルに注力。関連事業の成長めざす

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JR四国が、2020年度を目標とする新たな中期経営計画を発表しました。鉄道運輸収入の減少を見込む一方で、分譲マンションや宿泊特化型ホテルを鉄道に並ぶ基幹事業に位置づけました。一方、鉄道の路線別収支を公表して、ローカル線の存廃についても検討していきます。

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鉄道運輸収入は減少見込む

JR四国が公表した新たな中期経営計画によりますと、2020年度の鉄道運輸収入の目標は228億円で、2016年度(計画)より4億円減を見込んでいます。

一方、鉄道以外の事業開発分野(その他収入)を1.5倍の74億円にする目標を立てています。鉄道収入を増やすことは難しいとみて、鉄道以外の事業での収入を大幅に増やそうとしているわけです。さらに子会社の収入を360億円とし、鉄道と関連事業をあわせた連結売上高の目標を530億円としました。

JR四国キハ32

都市間輸送と観光列車に注力

鉄道部門の施策としては、都市間輸送体系を主軸とした利便性の向上を掲げ、新型車両の開発・投入を進めるとしています。新型特急用気動車2600系の導入推進を示しているのでしょう。

一方、「四国まんなか千年ものがたり」といった、観光列車の運転などによる、観光需要の拡大を目指します。

ソフト面では、「JR他社との連携等による商品力の維持・強化及び無店舗販売の強化」を図ります。JR西日本のインターネット予約「e5489」専用の割引きっぷを強化していくとみられます。

「会員制度の充実等による顧客の囲い込み」も掲げており、新たな会員制度の創設を検討しているのかもしれません。

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高速化へ協力求める

そのほか、「鉄道の抜本的高速化に向けた取組み」を検討課題にあげています。「鉄道の抜本的高速化に向けた取組み高速鉄道の必要性、重要性等について、地域社会から理解を得るための継続的な取組み」を進めると記述しました。

「抜本的」というところがポイントで、四国新幹線の誘致や、在来線高速化について、国や自治体の協力を求めたと言えそうです。

路線整理に含み

中期経営計画には、路線の存廃については直接的な表現はありません。

ただ、「輸送需要に応じた車両キロ、列車キロの適正化」を課題してあげており、ローカル線での本数減、編成短縮などもありそうです。「ワンマン運転の拡大」も明記しています。

また、「鉄道特性を発揮できる分野の明確化と抜本的な輸送体系の見直しの検討」や「四国における公共交通ネットワークのあるべき姿の検討」といった文言は並んでおり、鉄道路線の整理に含みを残しています。

実際、JR四国の半井真司社長は、路線ごとの収支について、4月以降に立ち上げる有識者懇談会で示す考えを明らかにしています。

朝日新聞2017年3月27日付によりますと、同社長は、「鉄道の維持をJRだけに任されると非常に厳しい。北海道のようにいきなり『維持できない』と言っても地元が困る。四国の鉄道を今後どのようにするのか自治体などと一緒になって議論して欲しい」と述べています。

JR北海道のローカル線問題は、「ハードランディング」に陥っていますが、JR四国としては「ソフトランディング」で、地元と協議に入りたいようです。

JR四国キハ54

マンションとホテル事業を強化

事業部門では、「マンション事業者としての安定的な地盤固め」をめざします。ホテル事業についても、「宿泊特化型ホテル事業のスキーム構築」をしたうえで、四国内の主要都市と、四国島外への進出を検討するとしました。

マンション事業は2016年に参入したばかりですし、宿泊特化型ホテル事業は2018年にオープンする高松が最初です。これらの事業を軌道に乗せるのが、この3年間の課題ということなのでしょう。

そのほか、高松、松山、高知の各駅周辺で、開発計画も検討するとしています。

ホテルクレメントイン高松
ホテルクレメントイン高松(画像:JR四国)

JR四国の新中期経営計画を簡単にまとめると、鉄道事業の売り上げ減少を最小限に食い止めながら、今後3年間は、マンションとホテル事業に注力する、と読み取れます。

JR四国の鉄道運輸収入は、JR北海道に比べても3割程度で、本州3社に比べると桁違いの少なさです。

こうした環境で企業を存続するには、鉄道事業以外の収入を増やすほかありません。一度に多くのことはできませんので、この3年間はマンションと宿泊特化型ホテル、ということなのでしょう。

JR四国の模索は、当分続きそうです。(鎌倉淳)


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