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日田彦山線は「只見線スキーム」で復活できるか。復旧費と維持費の負担がカギ

維持費用を永続的に負担できるか

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JR九州は、不通となっている日田彦山線の添田~夜明間の復旧費が約70億円にのぼるとの試算を明らかにしました。同社単独での復旧は困難とし、鉄道復旧の場合は、只見線の例を参考にしながら地元自治体と協議するとしています。日田彦山線は、「只見線スキーム」で復活できるのでしょうか。

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JR九州社長が「単独で復旧するのは厳しい」

これは、JR九州の青柳俊彦社長が、2017年11月9日の中間決算発表時の記者会見で述べたものです。

日田彦山線は、2017年7月の豪雨により、添田~夜明間が現在も不通となっており、代替バスを運行しています。同区間では、63カ所で被害が発生するという大きな損傷を受けており、JR九州では、5つの橋の架け替えなどで約70億円が必要になるとしています。

同線の田川後藤寺~夜明間の輸送密度は、2016年度で299。とくに添田以南は利用者が少ないため、JR九州は単独での復旧に否定的な姿勢を示してきました。記者会見で、青柳社長は、「当社単独で復旧するのは厳しい」と強調しました。

日田彦山線

鉄道廃止前提ではない

ただ、廃止を前提としているわけではないようです。日本経済新聞2017年11月10日付によりますと、青柳社長は、復旧には地元自治体の協力が必要だとしたうえで、「自治体とは年内にも協議を始めたい。鉄道による復旧が厳しいという固定観念をもって協議に参加することはない」と述べました。

さらに、「復旧するだけでなく、どのように維持していくのかも大切だ。永続的に維持できるようにしなければ、復旧費が無駄になる。福島県にある只見線の議論が参考になる」とも付け加えています。

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只見線の場合

只見線は、2011年7月の新潟・福島豪雨で一部区間が不通となり、現在も会津川口~只見間が運休中です。復旧費の総額は約81億円で、JR東日本は当初、復旧に否定的な姿勢を示していました。しかし、地元自治体が、地元負担による鉄道復旧をJR東日本に要請。JR東日本が求めた上下分離も受け入れたため、全線復旧される見通しとなりました。

復旧費用81億円のうち、3分の1に相当する約27億円をJR東日本が負担し、3分の2の約54億円を県と地元自治体が負担します。現在の法令では、鉄道事業者であるJR東日本が黒字企業のため、国が復旧費用を負担することはできず、国の負担分はありません。

しかし、大規模災害で路線が被災した鉄道会社に対し、黒字企業でも国が災害復旧事業費を補助できるよう鉄道軌道整備法の改正が検討されており、すでに自民党の国土交通部会で改正案が承認されています。

国会で改正案が可決されれば、国が復旧費用の3分の1を負担することが可能になり、地元自治体の負担が3分の1に減ります。JR東日本の負担も3分の1となります。

復旧後の費用負担も

只見線は、復旧後は上下分離となりますが、鉄道施設の維持管理は、福島県がJRに委託します。年間の維持管理費は約2億1000万円とされ、その7割を県が負担し、沿線自治体が3割を負担します。

青柳社長の発言からは、この只見線スキームを参考にし、自社負担が限定された形での復旧は容認する方針と受け取れます。

逆にいえば、地元自治体は復旧費用と再開後の維持管理費用として、かなりの額の負担を求められるとみられます。とくに維持費用は永続的なものですので、自治体が受け入れるかは、なんともいえません。

日田彦山線の不通区間の沿線自治体は、福岡県添田町、東峰村、大分県日田市の3市町です。域内の走行距離からみて、もっとも負担額が大きくなりそうなのは添田町ですが、添田以北の日田彦山線は健在です。

そのため、添田町が添田以南の復旧に、どこまで本気を見せるかが、大きなポイントになるかもしれません。


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