燃油サーチャージ、欧米往復6.6万円に。JAL、2万円値下げ

2024年4~5月分

航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が値下がりしています。今後の見通しとあわせて見てみましょう。

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24年4-5 月分を発表

国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALは2024年4-5月発券分で、価格を改定することを発表しました。

燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。

JALによりますと、4-5月発券分の基準となるシンガポールケロシンは、直近2ヶ月の市況価格が101.72米ドルでした。また、同期間の為替平均は1ドル145.26円でした。これを乗じた1バレルあたりの基準金額は14,775円となりました。

JAL350
画像:JAL

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欧米往復66,000円

2-3月発券分は、市況価格110.32米ドル、為替149.67円でした。この2ヵ月で原油価格は8%値下がりし、為替は3%円高に振れています。いずれも燃油価格下落に作用し、結果として、基準価格が11%値下がりしたわけです。

これにより、JALでは4月1日発券分から燃油サーチャージの価格を2段階引き下げます。後述しますが、4月以降はサーチャージの適用金額も改定するため、同じ基準価格でも燃油サーチャージは値下がりします。

4-5月発券分のひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが33,000円に、ハワイ・インドなどが21,000円に、タイ・シンガポールなどが18,000円になります。

これは片道の金額なので、往復の場合、北米・欧州・オセアニアなどが66,000円に、ハワイ・インドなどが42,000円に、タイ・シンガポールなどが36,000円となります。

欧米路線を例にとると、現在は87,200円なので約21,000円安くなります。

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1年前と同じランクに

燃油サーチャージは、2022年10-11月発券分がピークで、その後は値下がりをしたものの、2023年8-9月発券分を底として上昇に転じました。23-24年12-1月発券分で過去2番目の高値を付けたあと、再び下落に転じています。

今回は適用ランクが直近高値より3段階下がった形で、1年前(23年4-5月)と同水準です。

過去1年の燃油サーチャージの変化は下表の通りです。

2023-24年のJALの燃油サーチャージ(円)
路線 23年
6-7月
23年
8-9月
23年
10-11月
23-24年
12-1月
24年
2-3月
24年
4-5月
北米・欧州・中東・オセアニア 33,400 28,800 33,400 47,000 43,600 33,000
ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ 21,300 18,400 21,300 30,500 28,200 21,000
タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ 17,900 15,000 17,900 24,700 23,000 18,000
グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル 11,000 9,200 11,000 17,800 16,100 11,000
東アジア(韓国、モンゴルを除く) 8,400 7,100 8,400 11,400 10,300 8,500
韓国 3,500 2,900 3,500 5,900 5,300 3,500

※片道あたり、発券日基準。

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適用条件も改定

今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の「ゾーンI」に該当します。前回の「K」より2ランク下です。最高値だった2022年10-11月の「O」の6ランク下となっています。

また、適用価格も2024年4月から改定(値下げ)されます。同じゾーンなら、新たなサーチャージ金額はおおむね低くなります。

JALの北米・欧州向け適用条件表
ゾーン 基準価格 サーチャージ額
(23年度)
サーチャージ額
(24年度)
A 6,000円~7,000円 4,500円 4,500円
B 7,000円~8,000円 8,900円 8,900円
C 8,000円~9,000円 13,400円 13,400円
D 9,000円~10,000円 17,800円 16,000円
E 10,000円~11,000円 20,200円 18,500円
F 11,000円~12,000円 24,200円 21,000円
G 12,000円~13,000円 28,800円 25,000円
H 13,000円~14,000円 33,400円 29,000円
I 14,000円~15,000円 36,800円 33,000円
J 15,000円~16,000円 40,200円 35,000円
K 16,000円~17,000円 43,600円 38,000円
L 17,000円~18,000円 47,000円 41,000円
M 18,000円~19,000円 50,400円 44,000円
N 19,000円~20,000円 53,800円 47,000円
O 20,000円~21,000円 57,200円 50,000円
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今後の見通しは?

最近の原油価格は落ち着きを見せていて、直近の数字を見ると、基準となるシンガポールケロシンの市況価格は102米ドルで、今回の基準価格の101.72米ドルとほぼ同じです。

一方、為替相場は円安が進んでいて、150円前後の値動きとなっています。今回の基準価格の145円に比べると3%ほど円安です。

このままの状況で推移すれば、次回の基準価格は15,000円台で、燃油サーチャージのゾーンは1段階上の「J」になりそうです。となると、燃油サーチャージは、今回が当面の「底」となる可能性もあります。

ただ、米国の金利動向は先が読めず、最近の為替は不安定です。世界的なインフレも続いていて、中東やウクライナを巡る紛争も終わりがみえません。原油価格や為替に大きな変動があっても不思議でなく、燃油サーチャージの金額が大きく動く可能性もありそうです。(鎌倉淳)

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