首都高「最大2000円時代」に。さらなる高速料金値上げ計画も

週末ドライバーに容赦なく

首都高速が普通車の上限料金を1,950円へ引き上げる方針を発表しました。これまでの上限1,320円から大きな値上げとなり、「最大約2,000円時代」へ突入します。そのほか、さらなる値上げ計画もあるようです。

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最大48%値上げ

首都高速道路は、2022年4月1日以降の新しい料金案を発表しました。注目は上限料金で、普通車で走行距離が35.7kmを超えた場合の最大料金を、現在の1,320円から1,950円に引き上げます。最大約48%の値上げとなります。

たとえば、都内から横浜の場合、新宿から横浜公園間では、これまでの1,320円が1,590円となります。東名高速から東北道へ抜ける場合、用賀から川口JCT間は1,320円が1,420円に引き上げられます。

首都高を端から端まで走る場合、たとえば湾岸線の幸浦から高谷JCT(市川)の間は、上限の1,950円となります。

現金支払いの場合は、末端部を除き上限価格の1,950円均一になります。

なお、新たに深夜割引が導入され、午前0時から4時までに首都高速に入った車は、20%が割り引かれます。

首都高速入口

首都高速値上げの変遷

首都高の料金は、2011年までは均一制で、普通車の場合、東京線700円、神奈川線600円、埼玉線400円でした。ETCの普及を受け、2012年1月1日に距離別制料金に移行しましたが、このときの最大料金は900円で、東京線と神奈川線を跨いで走る場合、値下げとなりました。

その後、2014年の消費税増税による値上げを経て、2016年に大都市近郊の高速道路と同等の料金水準に変更され、上限が1,300円となりました。

このときの上限料金は激変緩和措置によるもので、大都市近郊の高速道路と完全に同等にしてしまうと、最大価格が値上がりしすぎるので1,300円に抑えました。その後、2019年の消費税増税で、1,320円となりました。

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上限約3,000円も

2022年に予定されている値上げは、2016年に導入された「激変緩和措置」を解除するという名目です。現状の上限価格は35.7km相当分の料金ですが、これを55km相当分に引き上げます。このため、35.7km~55kmを走行る場合、激変緩和措置の対象から外れることになります。激変緩和措置は55km以上を走る場合に限定され、1,920円の上限価格が適用されます。

ただ、この1,920円も最終ではなく、将来的には全ての上限価格が完全撤廃されることになりそうです。たとえば、並木~さいたま見沼間(86.6km)は、上限価格がない場合、2,980円となります。激変緩和措置が完全終了すれば、「首都高上限約3,000円時代」が来るわけです。

他の有料道路も値上げか

首都高でこうした「値上げ」が行われると、他の有料道路の動向も気になるところ。実際、国土交通省では、首都高速以外の有料道路でも、料金を再検討する姿勢を見せています。

2021年3月10日に開かれた「第49回国土幹線道路部会」の資料には、「今後の方向性」として「より公平でシームレスな料金に向けて、阪神高速についても検討」「ETC専用化等の概成も見据えながら、首都圏の料金体系全体の一体化に向けた更なる取組について検討」とあります。

これは、阪神高速や第三京浜、京葉道路などで導入されている激変緩和措置も、解除するという方向性を改めて示したものといえそうです。つまり、これらの有料道路でも、遠くない将来に、上限料金の引き上げが行われそうです。

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時間帯別料金も

また、新たな施策として、「曜日や時間帯等をあらかじめ区切って、アクアラインや小仏トンネル等の渋滞発生区間を対象に、混雑している時間帯から空いている時間帯への交通転換を図るための措置を検討」とあります。これは、アクアラインや中央道で、時間帯別料金を導入し、週末のピーク時などを値上げするということでしょう。

さらに、「経路間の料金に一定の差を設けることにより経路間の転換を図るための料金施策について検討」「混雑状況に応じて一定時間ごとに変動する機動的な料金の導入を目指す」とも記しています。

これらの記述から読み取れるのは、まずは時間帯別料金を導入し、さらに渋滞が発生すると料金が変動する仕組みを導入する、という方針です。「機動的な料金」とは、たとえば都心環状線が混雑する時間帯に、圏央道経由を安くする、といったイメージのようす。利用者からすると、渋滞のピークに高速道路を走ると、時間がかかる上に料金も高くなるというダブルパンチを食らいます。

週末ドライバーに容赦なく

近年の高速道路の料金施策では、上記のように首都高に深夜割引を導入したり、大口・多頻度割引を拡充するなど、物流業者には配慮を見せています。一方で、大都市の週末ドライバーには容赦のない施策が続いていて、これといった割引はありません。レジャー向けの割引である休日割引も、地方部のみとなっています。

クルマの価格も高くなりましたし、都市部に住んでマイカーを所有して週末ドライブするような豊かな層からは、ばんばんお金を取っていいという国策なのでしょうか。だとしたら、都会のクルマ好きには憂鬱な料金制度が続きそうです。(鎌倉淳)

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