サハリン航路、2018年は運航せず。ビザが緩和されたのに

手続き間に合わず

稚内とロシア・サハリン州コルサコフを結ぶ「サハリン航路」が、2018年シーズンに運航されない見通しとなりました。稚内市の運航会社が明らかにしました。

【6月13日追記】その後、7月下旬から運航される方針が固まりました。7月下旬~9月下旬に週3往復運航する予定です。

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乗船率25%と低迷

「サハリン航路」は、稚内とコルサコフ(旧大泊)を結ぶもので、戦前の「稚泊航路」と同区間です。1999年からハートランドフェリーが定期運航してきましたが、不採算を理由に2015年9月を最後に撤退しています。

ハートランド撤退後、運航継続を模索する稚内市は、第三セクター「北海道サハリン航路」(HSL)を設立。サハリン州の「サハリン海洋汽船」(SASCO)を運航主体として、2016年に共同運航を開始しました。SASCOが運航し、HSLが日本側の総代理店となっています。

2017年には6月2日から3ヶ月半に渡り34往復を運航しました。しかし、利用者は計1,374人にとどまり、平均乗船率は25.2%と低迷しています。

サハリン航路
画像:北海道サハリン航路株式会社ウェブサイトより

諸条件が整わない

2018年の運航については未発表の状態が続いてきましたが、5月25日、北海道サハリン航路が断念することを発表しました。同社によりますと、24日までSASCOと協議を重ねてきたものの、運航に必要な諸条件が整わないと判断。運航を断念するという結論になったということです。

北海道新聞5月25日付によりますと、SASCOは2018年当初からサハリン州政府に運航費の補助を求めていたものの、承諾の回答が5月7日にずれ込んだとのこと。「これを受け、HSLも稚内市に補助申請をしたが、市側は今季の運航開始を予定していた6月までに議会の手続きなどが間に合わないと判断。HSLとSASCOは24日、今季の運航断念で合意した」とのことです。

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2019年の再開目指す

要するに、サハリン側の補助金は認められたものの、その時期が遅すぎて、稚内側の補助金申請手続きが間に合わない、ということのようです。なんともお役所的な事情でため息がでそうですが、低搭乗率の現実を見ると、役所頼みは仕方ない面があります。

2019年以降の運航については未定です。北海道サハリン航路では、「解決すべき運航諸条件への対応を早期に図ることをもって次年度の運航再開を企図してまいりたい」としています。2019年の運航再開を目指す姿勢です。

電子ビザを導入したのに

ロシアでは極東地域に電子ビザを導入し、渡航制限の緩和が進められています。2018年1月1日からは、サハリン州も電子ビザ適用となり、日本からの訪問手続きが簡素化されました。

電子ビザ導入により、2018年は、サハリン航路にとって新しい局面を迎えることもできたはずですが、そのチャンスを逃してしまうことになります。残念と言うほかありません。2019年にきっちり復活することを願いましょう。(鎌倉淳)

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