駿河湾フェリーの運営者撤退へ。航路継続へ正念場

海の道は維持できるか

静岡市の清水港と伊豆市の土肥港を結ぶ「駿河湾フェリー」を運営するエスパルスドリームフェリーが、同事業から撤退することを明らかにしました。静岡県などは航路継続を模索するようですが、存続へ正念場となりそうです。

広告

「県道223号」に認定

駿河湾フェリーは清水港と土肥港を65分で結び、1日4往復運航しています。道路整備が遅れていた伊豆西海岸へ県都・静岡市から直結する便利さと、海から富士山を遊覧できる景色で人気がありました。

静岡県は、富士山の世界遺産登録を機に、洋上観光をPRするため駿河湾フェリーの航路を「県道223号」(ふじさん)に認定。2017年8月期実績では、年間17万3000人の利用があり、乗用車29,300台、バス2,500台を運びました。

しかし、事業的には苦しく、2005年以降赤字から脱却できず、累積損失が膨らんでいます。近年は年間1億円近い赤字を計上していたそうです。

駿河湾フェリー
画像:駿河湾フェリーウェブサイトより

継続に向け協議

さらに、最近の道路状況の改善や貸切バス料金のルール変更も重荷となり、経営改善のメドが立たないとして、運営するエスパルスドリームフェリーは事業継続を断念。2019年3月を以て、駿河湾フェリー事業から撤退すると発表しました。

静岡県の川勝平太知事は「継続に向けて関係市町と協議したい」とコメント。現段階では「廃止」決定ではないようで、新たな航路引受先を模索するようです。

海の道を維持できるか

海上をショートカットするフェリーは、陸上側の道路整備が進むと利用者が減少してしまいます。

伊豆方面では、伊豆縦貫道が整備され、静岡市から西伊豆まで、陸路でもフェリーと大差ない時間で到達することが可能になりました。そのため、フェリーの事業継続の展望が開けない、ということになったでしょう。

とはいえ、海の旅には、陸とは違った楽しみがあるもの、今後は観光客を主なターゲットに、形を変えても航路が維持されることを願いたいところです。(鎌倉淳)

広告
前の記事サハリン航路、2018年は運航せず。ビザが緩和されたのに
次の記事香港にも「故宮博物館」が誕生。2022年開業へ