JR北海道、2021年春ダイヤ改正の減便案。「快速エアポート」も見直しへ

「大雪」は早くも不定期化

JR北海道は、2021年春ダイヤ改正で列車の減便や編成両数減などの見直しを行います。公表された内容の詳細を見ていきましょう。

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札幌圏で削減

JR北海道は、2021年春のダイヤ改正で、札幌圏を含む全体的な普通列車の見直し、特急列車の減便や減車、定期列車の不定期化をおこないます。

注目点はいくつかありますが、JR北海道の屋台骨を支える札幌圏での列車削減が、同社の苦境を端的に表しています。普通列車で10本程度の見直しを検討し、さらに10本程度の列車の土休日運休を検討します。5往復の削減、5往復が土休日運休という形でしょうか。

札幌圏とは、函館線の札幌~岩見沢間と札幌~小樽間、千歳線の札幌~苫小牧間、学園都市線の札幌~北海道医療大学間の4区間です。5往復の削減ということは、これらの区間でほぼ均等に1~2往復程度が対象になるのでしょう。

見直し対象列車の時間帯は明らかになっていませんが、10月14日の北海道新聞によりますと、日中時間帯を中心とした削減になるようです。また、札幌と新千歳空港を結ぶ「快速エアポート」の早朝便も見直し対象に入っているようです。新千歳空港に6時28分に着く「エアポート50号」と、折り返しの「61号」でしょうか。

このほか、函館線の滝川~旭川間、留萌線、石北線、宗谷線の旭川~名寄間、根室線の滝川~新得間、新得~帯広間で利用の少ない列車の見直しを検討するとのこと。いずれもすでに本数が少ない区間ですが、日中時間帯での削減の可能性が高そうです。

快速エアポート

「北斗」は2往復削減

札幌~函館間の特急「北斗」は、現行の定期24本を定期20本と臨時2本とします。1往復を廃止し、1往復を不定期化することになります。

運転取りやめとなる列車は「夜間帯で利用の少ない上下1本ずつ」で、「夜間の保守作業間合いの拡大も可能とし作業を効率化するのが狙い」としています。そのため、「北斗23号、24号」が廃止対象とみられます。いずれも始発駅を20時頃に出発し、終点に23時頃に到着する列車です。

また、「北斗」は現行7両編成ですが、5両に減車し、利用状況に応じて増結を行う形とします。

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「大雪」不定期化

札幌~旭川間の特急「カムイ」「ライラック」については、現行の定期48本を、定期44本と臨時4本とします。2往復を臨時列車とし、運転するのは年間130日程度を見込んでいます。土休日や繁忙期など需要の多い日に設定されるようです。臨時列車化される列車は明らかにされていません。

旭川~網走間の特急「大雪」は、現行の定期4本を臨時4本とします。2往復がいずれも不定期化されます。といっても年間50日程度の運休なので、閑散期の平日以外は運転されそうです。

「大雪」は、2017年に特急「オホーツク」4往復のうち2往復を旭川~網走間に短縮して登場した特急ですが、わずか4年で不定期化されることになります。札幌直通の特急「オホーツク」2往復は現行体系を維持します。

大雪

「サロベツ」縮小

旭川~稚内間の特急「サロベツ」は、現行の定期4本を定期2本と臨時2本にします。2往復のうち1往復が臨時列車となるわけです。こちらは年間30日程度の運休にとどまり、毎日運転に近い不定期化です。札幌直通の特急「宗谷」1往復は現行体系を維持します。

「サロベツ」2往復のうち、どの列車が不定期化されるのかは明らかではありません。宗谷線特急で利用状況が悪いのは下り「サロベツ1号」と上り「宗谷」です。この2つのスジを不定期化し、「宗谷」の運転本数を維持するなら、上り「宗谷」の運転時間帯を「サロベツ4号」のスジに移す必要がありますが、ダイヤは未発表です。

札幌~釧路間の特急「おおぞら」は、運転本数は現状維持ですが、6両編成を5両編成に減車し、利用状況に応じて増結を行います。

駅廃止は宗谷線中心に

JR北海道では、近年、利用者の極端に少ない駅の廃止も進めています。発表によると、2021年春に廃止されるのは18駅程度。路線は明らかにされていませんが、宗谷線で13駅程度が廃止され、石北線などでも駅の廃止がある見込みです。廃止されない駅でも、一部は自治体による維持管理へ移行します。

経費節減額は全体で約5.5億円になる見込みです。このうち減便・減車によるものが年間約5億円、駅の見直しによるものが年間約0.5億円ということです。(鎌倉淳)

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