JR北海道版「ザ・ロイヤルエクスプレス」はどこを走るのか? 東急と共同運行へ

北の大地にリゾート列車

JR北海道が、東急電鉄などと共同で豪華観光列車を走らせる計画を立てています。北海道版「ザ・ロイヤルエクスプレス」はどこを走るのでしょうか。

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直流電車が道内を走る?

北海道版「THE ROYAL EXPRESS」(ザ・ロイヤルエクスプレス)は、JR北海道が公式発表した構想ではありません。大手メディアで報じられているものですが、報道内容には各社ばらつきがあります。

報道に先鞭を付けたのはNHK。2019年1月24日放送で「JR北海道は(中略)、大手私鉄『東急電鉄』と提携する方向で最終的な調整に入りました。具体的には、横浜と伊豆半島の間を走る東急の豪華観光列車、『THE ROYAL EXPRESS』を、早ければ来年にもJR北海道の路線で運行する計画です」と報じました。

とはいえ、直流電車の「ザ・ロイヤルエクスプレス」を、直流電化区間のない北海道でどう運行するのだろう? と疑問に思った方も多いと思います。機関車で牽引するほかなさそうですが、JR北海道が保有する機関車はDE10形と除雪用のDE15形のみです。

ザ・ロイヤルエクスプレス
画像:東急電鉄

新車を投入?

これに対し、北海道新聞は1月25日付で「JR東日本と東急電鉄、JR北海道の3社が提携」とした上で、「新たに製造する豪華車両の運行を検討している」と報じました。

全くの新車を製造するのか、改造で済ますのかはともかくとして、新車を投入すると報じたわけです。逆にいうと、伊豆を走る「ザ・ロイヤルエクスプレス」を北海道で走らせるわけではないことを示唆しています。

道新では、「JR北海道は両社に道内の線路を貸し出す形で観光列車の運行を受け入れるか、両社から車両を有償で借りて運行する方式を検討している」とも報じています。

このほか、報道内容には各社ばらつきがあります。まだ計画が固まっていないようにも感じられますが、運行開始予定は、各社とも「早ければ2020年」と揃っています。時期的にまったくの新車を製造するには時間が少ないので、独自車両としても改造車になりそうです。

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新幹線と接続?

運行区間に関して明確に示した報道はありません。

ただ、JR東日本も計画に加わっていると報じた道新は、「JR東日本にとっては、道内で鉄道を使う観光客が増えれば、東北新幹線などの利用拡大も見込める」としています。

ならば、新幹線と接続する新函館北斗を通る運行区間が想定されますので、道南から札幌を巡るルートが基本になりそうです。

道内7空港と連携も

一方で、東急は新千歳空港など道内7空港の民営化に向け、三菱地所などと組み運営権の取得を目指しています。運営権を東急・三菱連合が落札したら、道内7空港と新観光列車の連動が可能になります。

この場合、新観光列車は新千歳空港駅を発着して、道内を周遊するルートが検討されるでしょう。

民営化の対象となる7空港は、函館、新千歳、旭川、帯広、釧路、女満別、稚内です。これらの各空港と連携するなら、根室線、石北線、宗谷線といった骨格路線で新観光列車の運行が期待できそうです。

道内7空港民営化は、2019年5月頃が第二次審査書類の提出期限です。東急・三菱連合の空港運営計画には、この新観光列車との連携が盛り込まれる可能性もありそうです。

というよりも、北海道版「ザ・ロイヤルエクスプレス」計画は、そもそも道内空港民営化と絡んだ話なのかもしれません。7空港民営化は2020年度に予定されており、新観光列車の運行開始予定時期と一致します。

車両はなくとも線路はある

経営難のJR北海道は、車両に投資する余力に乏しいのが現状です。しかし、ほとんどの区間で線路容量には余裕があります。

そのため、他社車両に線路を貸し出すビジネスは、JR北海道にとって、可能性を秘めている新事業といえます。貸し出す相手がJR他社や大手私鉄なら、安全面の心配もないということでしょう。

国土交通省も旗を振っているようで、実現可能性は高そう。どんな車両が北の大地を走るのか。楽しみにしたいところです。(鎌倉淳)

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