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JR日高線、沿線自治体が「廃止容認」へ。浦河町など復旧主張、10月に最終結論

全線バス転換へ

不通が続いているJR北海道の日高線鵡川~様似間について、沿線の町長会が多数決で廃止を容認しました。ただ、浦河町と日高町が復旧を主張し、最終結論は10月に持ち越されました。

運休4年以上

JR日高線の鵡川~様似間(116km)は、2015年1月の高波被害で、線路下の盛土が流出するなどし、4年以上も運休が続いています。JR北海道は、全線復旧する場合、復旧費用を86億円と見積もったうえで、復旧した場合には年間13億4000万円の維持費がかかるとしています。

鵡川~日高門別間に限っては被害が軽微で、再開のための復旧費は1億円程度で、折り返し設備の工事などで6,000万円が別途必要としています。同区間の年間維持費は3億2,000万円と見積もられています。

いずれの場合も、JRは、復旧費用と、路線維持の場合は維持費の負担を地元に求める姿勢を見せています。

日高線

多数決で廃止容認

こうしたJRの試算を受け、地元7町では日高線の存廃について協議を続けてきました。2019年9月24日に開かれた日高管内7町による臨時町長会議では、平取、新冠、新ひだか、様似、えりもの5町が、JRの提案する全線バス転換の受け入れを表明しました。

一方、日高町が鵡川~日高門別間(20.8km)の復旧と残りのバス転換を求め、浦河町が全線復旧を主張。7町長は多数決で沿線自治体として意思表示をすることで合意し、バス転換を受け入れる結論となりました。各町長は議会に諮り、10月中旬にも開かれる次回町長会議で最終決定することになります。

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浦河町が強硬な理由

強硬なのは浦河町です。浦河町が公表している説明資料では、JRが示した、バス転換後18年間はJRが援助するといった廃止後の支援策について、「鉄路廃止後のバスの運行責任を果たすことには言及せず」と批判。バスの快速便などを作るという廃止後の公共交通のイメージについても、「既存のバス会社との協議をしているわけではなく、あくまでJR北海道のイメージ」と評価していません。

HTBニュース2019年9月24日放送によれば、池田拓・浦河町長は、「高規格道の整備は進んでいるが、浦河まで延伸するのにはまだ時間がかかる。鉄路を含めた交通網の整備は重要」と鉄路の維持を求める理由を説明しています。

池田町長のいう高規格道とは日高自動車道で、2018年4月に日高厚賀IC(日高町)まで開通し、静内IC(新ひだか町)までが事業中です。しかし、静内~浦河間は事業化されておらず、開通のメドは立っていません。浦河町としては、高速道路がいつ届くかわからないなか、鉄道まで正式廃止されるという状況は受け入れられない、ということのようです。

24日の会議でも、池田町長は「災害復旧を求めるのが当然」と主張し、全線復旧を求める姿勢を譲りませんでした。

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部分復旧はなぜ支持されないのか

鵡川~日高門別間の部分復旧については、復旧費の少なさを考えれば、日高門別駅を抱える日高町が同区間の存続を求めるのは理解できます。

しかし、それ以外の自治体にとっては、部分復旧をしたところで、日高線の最寄り駅が鵡川駅から日高門別駅になるだけです。実際のメリットは小さく、維持を主張して費用負担を求められるデメリットのほうが上回りそうで、慎重な姿勢にならざるを得ません。

今後の議論に影響も

不通から4年以上経つのに、結論が出なかった理由は、上記のように沿線各町がそれぞれに事情を抱えるからでしょう。日高町村会長の坂下一幸・様似町長は、10月に開かれる次回会議で、意見がまとまらない場合は、多数決で7町としての最終的な結論を出す方針を決めました。

JR北海道が、不採算路線の整理を進めるなか、日高線の復旧費用の大きさを考えれば、大勢はすでに決しているとしか表現できません。しかし、沿線の中核自治体の一つである浦河町が反対を貫くなか、復旧断念という結論に至れば、今後、代替交通整備の議論に影響を及ぼす可能性もありそうです。(鎌倉淳)