JTBが発行している「小さな時刻表」。これまで「JTB時刻表」の臨時増刊という形で刊行されてきましたが、2016年3月刊行分(4月号)から、「季刊」の冠が付き、定期刊行物に昇格しました。
2012年に「増刊」で登場
JTB小さな時刻表が初めて登場したのは2012年3月。B5版の「JTB時刻表」をそのまま縮小してB6版としたもので、「JTB時刻表」の臨時増刊という形でした。
JTBでは、かつて小型版の「携帯時刻表」を発刊していましたが、2011年4月に休刊しています。この「携帯時刻表」の文字の大きさはB5版時刻表と同等で、停車駅などの情報量を削った内容でした。
これに対し、「小さな時刻表」は、文字は小さいものの、内容や情報量はB5版時刻表と完全に同等です。
青春18きっぷ旅行者向け時刻表
普通列車を乗り継ぐ鉄道旅行をする場合、停車駅の省略された小型時刻表は、駅の停車時刻がわかりにくく、使いにくいもの。とはいえ、内容の充実しているB5版時刻表は重いので、仕方なく小型時刻表を使っていた、という人が少なくありませんでした。
そこへ登場したのが「小さな時刻表」。簡単にいうとB5版時刻表を縮小印刷したもので、JRを駆使して旅をする旅行者に向いています。とくに青春18きっぷユーザーには待望の一冊となりました。
「小さな時刻表」の文字は、豆粒のように小さく、読みやすいとはいえません。それでも人気となり、2013年からは、不定期ながら年4回程度刊行されてきました。
そして、2016年4月号から雑誌コードを取得し、「JTB時刻表」の臨時増刊から独立。年4回刊行の「季刊」となったわけです。表紙には「春号」と打たれており、定価は本体600円でこれまでと変わりません。今後は、ダイヤ改正時と、春夏秋冬の臨時列車が掲載となるタイミングで発売されていくとみられます。
「大きな時刻表」は年1回刊行程度
JTBでは、B5版時刻表をそのまま拡大したA4版「JTB大きな時刻表」も刊行しています。こちらは2010年3月号に「JTB時刻表」の臨時増刊として初登場しました。「小さな時刻表」よりも歴史は古いのですが、今も臨時増刊の扱いのままで、刊行も年1回程度と限られています。
高齢化社会を迎え、雑誌の文字はどんどん大きくなるのが世の流れですが、JTBの時刻表に関しては、文字も判型も小さくした方が売れたわけです。若い人なら文字が小さくても読めますし、鉄道旅行者には若い人がまだ多いことを示したといえます。
ただし、ライバルの交通新聞社からは「大きな文字の時刻表」が月刊で刊行されていますので、文字の大きな時刻表の需要がないわけではありません。筆者も自宅で時刻表を見るときは、「JTB大きな時刻表」を使うことが多いので、こちらも年4回刊行にしてほしいなと思ったり。
ちなみに、JTB小さな時刻表の新雑誌コードは06241。調べてみると、2010年まで、「CitaCita」というボーイズラブマガジンに使われていたコードのようです。
ボーイズラブから生まれ変わって、鉄道旅行者のお供に。末永く使われてほしいものです。(鎌倉淳)