北海道新幹線開業後、「はやぶさ」を宇都宮駅に停めてほしい。こうした要望が自治体関係者から出ています。これに対し、JR北海道の島田修社長は「乗客の多くのご支持をいただけないのではないか」と否定的な考えを示しました。
かなりの乗客が速達性を重視する
北海道新幹線は2016年3月開業予定です。開業後、東京~新函館北斗を直通運転する「はやぶさ」に宇都宮駅への停車を求める動きがあります。働きかけているのは地元宇都宮市と北海道の自治体です。宇都宮市は「はやぶさ」停車で直接的にメリットがありますし、北海道としては北関東の旅行者を北海道に呼び込みやすくなるという利益があります。
産経新聞によりますと、6月5日には、北海道の荒川裕生副知事がJR北海道本社を訪れ、「はやぶさ」のうち1日数本、宇都宮駅に停車する列車を設けるよう要請しています。 副知事によると、このときJR北海道は「JR東日本と検討したい」と応じたそうです。
これに対し、日本経済新聞北海道版が報じたところによりますと、JR北海道の島田修社長は、2015年6月10日の定例記者会見で、「かなりの乗客が速達性を重視する。必ずしも多くの支持をいただけないのではないか」との認識を示しました。同時に、「北関東は重要なマーケット。仙台での乗り換えの便をよくしてスムーズに来てもらうことを働きかけていくべきだ」と話したということです。
仙台接続考慮で他の駅の利便性も向上
東北新幹線の運転系統は仙台以南を主に「やまびこ」「なすの」が担い、仙台以北を「はやぶさ」「はやて」が担うという形で、遠近分離ができています。宇都宮に「はやぶさ」が停車すると、そのバランスが崩れてしまいます。そのため、これまでもJRは宇都宮停車に消極的でしたが、島田社長がその姿勢を改めて示したと言えます。
「仙台での乗り換えの便をよくする」ことについていえば、現在のダイヤでは、「やまびこ」と「はやぶさ」の仙台での接続は上下とも5~15分程度です。北海道新幹線開業後は、このダイヤを修正し、数分での乗り換えができる列車を増やすのかもしれません。
宇都宮停車が実現しない場合、栃木県と北海道の関係者は残念かもしれません。しかし、今後、仙台での接続が考慮されたダイヤになるのならば、宇都宮だけでなく、郡山や福島といった仙台以南の東北新幹線主要駅から北海道や北東北へ行きやすくなります。それはそれで大切なことではないでしょうか。