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大糸線・南小谷~糸魚川、鉄道高度化か白馬直通バスか。再構築案の試算公表

鉄道高度化に40億円、バス転換は4億円

JR大糸線の南小谷~糸魚川間の将来をめぐる協議に進展がありました。沿線自治体とJR西日本などによる検討会議が、鉄道を高度化して維持する案、白馬方面への直通バスに転換する案、観光列車を運行する案の3方式について、具体的な運行計画と費用を試算しました。

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3つの交通モードを具体化

JR西日本が運営する大糸線の南小谷~糸魚川間(35.3km)について、沿線自治体などは2026年10月26日、「第6回大糸線(糸魚川・南小谷間)沿線地域公共交通検討会議」を開きました。

同会議では、これまで鉄道高度化、観光列車、LRT、バス、BRT、DMVの6方式を比較してきました。今回は、鉄道高度化、バス交通、観光列車の3方式について、具体的な運行計画や費用を検討しました。

大糸線

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年間経費など試算

鉄道高度化案は、新型車両の導入や増発によって利便性を高める内容です。バス交通案は、既存道路を活用して生活交通と観光交通の双方に対応し、白馬方面への直通運行も視野に入れます。観光列車案は、乗車自体を観光体験とすることを目指します。

検討会議の事務局は、それぞれの初期費用や年間運行経費、想定収入などを試算しました。

大糸線再構築資料
画像:大糸線(糸魚川・南小谷間)沿線地域公共交通検討会議資料

 
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鉄道高度化で11往復に増発

鉄道高度化案では、新型車両4両を導入し、列車の行き違い設備を新設します。交通系ICカードにも対応し、列車を増発して利便性を高めます。

運行本数は、南小谷~糸魚川間で1日11往復、平岩~糸魚川間で1往復を想定します。現在の南小谷~糸魚川間の7往復から大幅に増発し、北陸新幹線との接続改善も図ります。

こうした設備投資に必要な初期費用について、事務局は約40億円と試算しました。

年間運行経費は6億6500万円をベースとして、増発や設備増加に伴う費用が加わります。一方、年間収入は、2017~2019年度の平均収入を1.5倍した約3300万円と仮定しました。その結果、年間赤字は約6億円以上となる計算です。

大糸線再構築資料
画像:大糸線(糸魚川・南小谷間)沿線地域公共交通検討会議資料

 
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バス転換なら白馬直通

バス転換案では、南小谷~糸魚川間の鉄道をバスに転換し、白馬方面への直通便も設けます。

バス車両6台を導入し、停車帯8か所と待合室1か所などを整備します。初期費用は約4億円で、鉄道高度化案の10分の1にとどまります。

運行本数は1日10往復を想定します。このうち4往復を生活交通、6往復を観光交通とし、観光便は糸魚川駅から南小谷駅を経由して白馬方面まで直通する構想です。

鉄道では乗り換えが必要な白馬方面に直通できるほか、病院や商業施設などに近い場所にも停留所を設けられます。

大糸線再構築資料
画像:大糸線(糸魚川・南小谷間)沿線地域公共交通検討会議資料

 
年間運行経費は約1億5000万~2億円と試算しました。既存の鉄道・増便バスの利用実績などをもとに年間収入を約6800万円と仮定すると、赤字は年間約1億円以上となります。

バス交通にも課題があります。鉄道に比べて定時性に劣るほか、冬季の安定運行を確保するには、急勾配や急カーブのある道路の改良などが必要になる可能性があります。今回の試算は、こうした道路整備の費用を含んでいません。

大糸線再構築資料
画像:大糸線(糸魚川・南小谷間)沿線地域公共交通検討会議資料

 
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観光列車は12億円

鉄道を観光に特化させる観光列車案では、新型車両4両を導入し、南小谷~糸魚川間で土休日を中心に1日2往復、年間119日運行します。新型観光列車の導入費用は約12億円と見込みます。

収支については、えちごトキめき鉄道の観光列車「雪月花」を参考にしました。

運賃・料金を1人2万9800円、1列車あたりの利用者を30人と仮定すると、年間売上は約4億2000万円となります。

一方、大糸線の維持管理には年間約6億6000万円を要します。赤字額は2億円程度です。

この試算には、観光列車のアテンダントや食事提供などに伴う追加費用、車両の減価償却費などを含んでいません。

また、観光列車だけでは地域住民や一般の観光客の移動手段を確保できないため、別途、交通手段を整備する必要があります。

大糸線再構築資料
画像:大糸線(糸魚川・南小谷間)沿線地域公共交通検討会議資料

 
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事業形態見直しも

今回の費用試算は、一定の前提条件を置いた概算です。事業費や運行主体、運行計画が確定したわけではありません。

上下分離方式や第三セクターによる運営など、JR直営以外の事業形態も選択肢となります。

検討会議は今後、11月下旬に第7回会合を開く予定です。12月には糸魚川市と小谷村で住民説明会を開き、住民アンケートも実施する方針です。

その結果を踏まえ、2027年1月下旬に予定する第8回会合以降、交通体系の方向性を検討します。

大糸線再構築資料
画像:大糸線(糸魚川・南小谷間)沿線地域公共交通検討会議資料

 
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利点も難点も

今回の試算では、初期費用、年間運行経費ともにバス交通が鉄道高度化を大幅に下回りました。

それ自体は、試算前からわかっていたことでしょう。鉄道は定時性や輸送力で利点がありますが、維持には巨費がかかります。

一方、バスは低額ですが、冬季の運行や運転士確保などの課題が残ります。観光列車化は、単独のビジネスとして成り立ちにくく、別途住民向けの交通機関を用意する必要があるという問題が残ります。

大糸線の鉄道を維持するのか、バスに転換するのか。今後は具体的な費用負担や利便性を比較しながら、議論を進めることになりそうです。(鎌倉淳)

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