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ANA、新運賃制度で「客離れ」起きず。4~6月期決算、航空券値下がりも旅客数は増加

JALから客を奪っている様子も

ANAの2026年4-6月期決算で、国内線の客単価が前年同期を下回った一方、旅客数は増加しました。ANAでは5月19日搭乗分から国内線の運賃制度を刷新しており、今回の決算には新制度導入後の状況が一部反映されています。システム移行による混乱もありましたが、航空券は値下がりし、客離れは起こらなかったことになります。

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客単価もイールドも下落

ANAが発表した2026年度第1四半期(4-6月期)の決算によれば、国内線旅客の客単価は15,379円でした。前年同期の15,806円から2.7%下落しています。

旅客1人を1km運ぶことで得られる平均収入を示すイールドは19.3円となり、前年の19.9円から3.2%下落しました。

一方、座席利用率は71.6%から75.6%へ、4ポイント上昇しています。1座席を1km飛行した際に得られる旅客収入を示すユニットレベニューは14.6円で、前年の14.3円から2.3%上昇しています。

ANA

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旅客収入は前年比増

客単価やイールドが下がった一方、座席利用率が上がり、ユニットレベニューが改善しました。つまり、1人あたりの収入は減ったものの、より多くの座席を埋めることで、座席1席あたりの収入が改善した形です。

結果として、国内線の旅客数は前年比3.9%増の1064万人となり、旅客収入は前年同期比1.1%増の1636億円となりました。客単価が下落した一方、座席利用率の改善による旅客数の増加によって、全体の収入は増えたということです。

ANA2026年第1四半期決算
画像:ANA2026年度第1四半期決算説明会資料

 
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JALは単価が上昇

競合するJALをみてみましょう。

JALの客単価は15,741円で、前年同期から6.5%増加しました。イールドは20.7円で6.0%増、ユニットレベニューは16.4円で5.8%増となっています。

一方、旅客数は883万人で2.7%減、座席利用率は79.3%で0.2ポイント低下しました。旅客収入は3.3%増の1390億円となっています。

JAL2026年第1四半期決算
画像:JAL2026年第1四半期決算説明会資料

 
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ANAとJALの比較

ANAとJALの、2026年4-6月期の国内線事業の状況を比較してみると、以下のようになります。

     ANA    JAL
客単価  2.7%減  6.5%増
イールド 3.2%減  6.0%増
ユニット 2.3%増  5.8%増
旅客数  3.9%増  2.7%減
利用率  4.0pt増  0.2pt減
旅客収入 1.1%増  3.6%増

両社は好対照を示していて、ANAは単価を下げて旅客数を増やしています。JALは単価を上げて、旅客数を減らしています。

ANAは「安く売って客を増やす」戦略で、JALは「安売りを控えて収入を増やす」戦略といえます。かけあわせた全体の旅客収入の増加率では、ANAはJALに及びませんでした。つまり、収入増加率を基準とすれば、ANAはJALの後塵を拝したことになります。

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新運賃制度とシステム移行が影響

ただ、ANAの安売り戦略は企図したものなのか、という疑問が浮かびます。というのも、ANAは5月に新運賃制度を導入し、システム移行もおこなったからです。今回の決算を考えるうえで、この影響は見逃せません。

新運賃制度では、国内線の従来の複数の運賃体系を整理し、「シンプル」「スタンダード」「フレックス」などを中心とした新しい仕組みに変更しました。さらに、5月19日から6月9日にかけて、国内線と国際線の旅客サービスシステムを統合する移行作業も行われました。

ANAは決算説明会で、運賃体系の変更とシステム移行に伴い、イールドマネジメントに課題があったと説明しています。新制度への移行に際し、航空券の値付けに課題があり、単価下落を招いたと認めているわけです。

決算説明会で、ANA側は「新たなシステムと運賃環境での販売手法を試行錯誤する段階で、早期の需要取り込みと搭乗間際の需要へのセルアップに不足が生じ、単価が計画を下回った」と説明しています。

つまり、ANAの安売りは企図したものではなく、新運賃制度とシステム移行によって生じた「値下がり」であり、試行錯誤の結果にすぎないわけです。

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「客離れ」は起きなかった

新制度の導入時には、運賃体系の変更やシステム移行による混乱が生じました。これにより、ANAで「客離れ」が起こるのではないかとの見方もありました。

しかし、決算を見る限り、旅客は増えているので、そう判断することはできません。

新運賃・システム移行後の6月の国内線輸送実績を見てみても、ANAの6月の旅客数は前年同月比97.6%、JALは92.8%でした。ANAのほうが数字が良いのです。

前年には大阪・関西万博の開催に伴う特需があったため、両社とも前年割れとなっています。それでも、旅客数については、ANAがJALより落ち込んだという状況にはなっていません。つまり、新運賃・システム移行後も、ANAで客離れは起きていません。

むしろ、低価格運賃の導入によって、JALから客を奪っている様子もうかがえます。

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「最適なバランス」を追求

ANAは今後、新運賃の商品特性を踏まえて価格設定を調整し、収入最大化に向けて「単価と旅客数の最適なバランス」を追求する方針を明らかにしました。つまり、安売りを控え、客の反応を見ながら値上げしていくということです。

となると、セール運賃の価格も控えめになり、全体的な価格水準はじりじり上がっていくことになりそうです。(鎌倉淳)

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