JR東日本の喜勢陽一社長が、西武鉄道以外との新たな直通運転に意欲を示しました。「設備改良をすることでネットワークを広げられる」とし、今後、具体化に向けて検討する姿勢を明らかにしています。具体的な路線名は挙げていませんが、京葉線とりんかい線との直通運転などが候補に挙がりそうです。
武蔵野線と西武池袋線が直通運転
JR東日本と西武鉄道は、JR武蔵野線と西武池袋線を結ぶ連絡線を活用し、両社線を直通する臨時列車を運行する計画を明らかにしています。『ニューレッドアロー』を改造した観光列車を使用し、2028年度の運行開始を目指します。
この連絡線はJR新秋津駅と西武所沢駅を結ぶもので、西武鉄道の車両搬入などに使われていますが、これまで営業列車は走っていませんでした。
運行区間としては、JR東日本側が小田原・湘南エリア、房総エリア、東京ディズニーリゾート方面、新幹線接続駅などを想定します。西武線側は、秩父エリアやベルーナドーム方面などを想定しています。

「ネットワークを広げる余地はある」
JR東日本の喜勢陽一社長は、2026年8月4日の記者会見で、この西武線直通計画について、「鉄道事業というのは競争と協調。お互いで鉄道全体の利用を増やす施策があれば、積極的に手を結んでいくべき」と述べ、西武との直通運転は「そのひとつ」と位置づけました。
そのうえで、「まだまだ首都圏においては、他の鉄道事業者との間で、設備的な改良をすることによって、互いの路線を使ってネットワークを広げる余地はあると思っている」と述べました。
さらに「そういう機会を今後とも探っていって、具体的にしていきたい。それによって大きな増収効果が鉄道で見込まれる」と付け加え、新たな直通運転の開始についても意欲を見せました。
候補路線はどこか?
喜勢社長の発言は、今後、首都圏の他の私鉄との間で、既存の設備を改良して、新たな直通運転を実施する方針を示したといえます。
では、具体的な候補となりそうな路線はどこでしょうか。
真っ先に思い浮かぶのは、JR京葉線と東京臨海高速鉄道りんかい線でしょう。両線は新木場駅で線路がつながっていて、大きな設備改良をしなくても直通運転は可能です。
ただ、りんかい線はJR埼京線とも直通運転をしていますので、さらに京葉線とも直通すると、りんかい線区間の運賃を収受できないという問題があり、これまで具体化していませんでした。
一方で、JR東日本では羽田空港アクセス線の建設を進めていて、その臨海部ルートがりんかい線に直通する計画です。
羽田空港アクセス線がりんかい線を介して京葉線にまで乗り入れれば、さらに利便性が高まります。そのため、何らかの運賃分配のルールを決めるなどして、羽田空港アクセス線開業時をメドに、京葉線とりんかい線の直通運転が始まる可能性はあるでしょう。
その他の候補路線は
そのほかに、JR東日本線と私鉄線で線路がつながっている区間を考えてみると、中央線と西武多摩川線の武蔵境駅や、横浜線と東急田園都市線の長津田駅、相模線と相模鉄道の厚木駅、東海道線と伊豆箱根鉄道大雄山線の小田原駅、高崎線と秩父鉄道の熊谷駅などがあります。
ただ、喜勢社長は、直通により「大きな増収効果が見込める」と述べました。これらの連絡線で、実際に観光列車などを走らせて大きな増収が見込める区間となると限られそうです。
すでに直通運転が行われている路線にまで対象を広げて、さらなる拡張が考えられる区間も考えてみると、東北線と東武日光線の栗橋駅が挙げられます。日光への特急はインバウンドに人気なので、栗橋駅での直通拡大は有力候補でしょう。
その場合、羽田空港アクセス線開業時に、羽田空港~日光の直通列車を検討している可能性はありそうです。(鎌倉淳)






















