国土交通省が、大手航空会社による中堅航空会社への出資規制を緩和する方針を示しました。20%以上の出資で羽田空港発着枠を回収するルールなどを改定します。コードシェアの多いANAが、中堅航空会社への出資を通じて、支配を強める契機になるのでしょうか。
羽田空港20%ルール
国土交通省は、羽田空港発着枠に関する規制のうち、大手航空会社が中堅航空会社に20%以上を出資すると優遇枠を回収するルールなどを緩和する方針を示しました。
航空会社の羽田空港国内線発着枠に関しては、スカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤーの4社に対する「特定既存優遇枠」があります。
この優遇枠を維持するには条件があり、「大手航空会社の20%以上を出資した場合」と「4分の1以上の役員を派遣した場合」は、優遇枠を回収するルールになっています。
このルールが大手航空会社による中堅航空会社への出資規制として機能していて、中堅航空会社の独立性を担保していました。

保有枠の10%回収へ
このルールについて、国土交通省が緩和する案を明らかにしました。2026年3月6日に開かれた「国内航空のあり方に関する有識者会議」の第4回会合で提示したものです。
国土交通省が示した考え方によれば、大手航空会社による中堅航空会社への出資比率が20%を超える場合などについて、優遇枠をすべて回収するのではなく、枠の10%を超えない範囲で回収をおこなうのが適当としました。
ANAが出資
現在、中堅航空会社4社に出資している大手航空会社はANAだけです。スカイマークに13.24%、リージョナルプラスウイングス(AIRDOとソラシドエアの共同持株会社)に15.31%、スターフライヤーに14.316%を出資しています。
いずれも20%に満たない議決権にとどめていて、中堅航空会社の独立性は形式上保たれています。しかし、出資規制が解除されれば、ANAがこれらの航空会社の株式を買い取って、支配を強めることができるようになります。
仮に株式の過半を買い取って子会社化すれば、当該中堅航空会社が保有する羽田空港の発着枠の90%を、自社グループに取り込めます。
寡占化のきっかけに?
ANAは、現在、スカイマーク以外の3社とはコードシェアも実施しています。仮にコードシェア対象の3社を買収すれば、72枠もの羽田発着枠を手に入れることができます。1割を回収されたとしても、64枠が残り、ANAとしてメリットはあるでしょう。
しかし、中堅航空会社が名実ともにANA傘下になってしまうと、航空会社の寡占化が進んでしまいます。それは利用者である国民にとって、必ずしもよいことではありません。
なぜルールを改定するのか
では、なぜ国交省はルール改定に踏み切るのでしょうか。
最大の理由は、中堅航空会社の経営難です。出張の減少や燃料費・整備費の増加により、国内線全体の収益性が低くなっている状況で、中堅航空会社が単独で生き残るのは難しくなっています。そのため、大手航空会社の資本を受け入れて存続しやすくするのでしょう。
ただ、国内線の収益性の低下により、羽田空港発着枠の価値は低下しています。いまの中堅航空会社の経営状況をみると、ANAが積極的に買収したくなるほどの魅力はないようにも思えます。そう考えると、何も変わらないかもしれません。
救済の道を確保する
それでも国交省が制度変更をする理由を考えてみると、出資規制を緩和することで、中堅航空会社が経営危機に陥ったときに、大手航空会社による救済の道を確保する、という目的もありそうです。
裏を返せば、それだけ一部の中堅航空会社の先行きが厳しいと、国交省が判断しているということでしょう。
どういう形になるのかはわかりませんが、今後、大手航空会社による中堅航空会社の支配が強まり、「子会社化」が進む可能性は高そうです。(鎌倉淳)























