航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が値上げされます。JALが2月分と3月分の価格を明らかにしました。燃油価格は落ち着いていますが、円安が進めば、4月以降にさらなる値上げの可能性もありそうです。
2-3月分を発表
国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALは2026年2~3月発券分で価格を引き上げることを発表しました。
燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。
JALによりますと、2-3月発券分の基準となるシンガポールケロシンは、2025年10月から11月の市況価格が89.86米ドルでした。また、同期間の為替平均は1ドル153.01円でした。これを乗じた1バレルあたりの基準金額は13,750円となりました。

欧米往復58,000円に
12-1月発券分は、市況価格85.72米ドル、為替147.80円で、基準金額は12,670円でした。この2ヵ月で、燃油相場は5%値上がりし、為替は約4%円安に振れ、その積である基準金額は、9%程度の値上がりとなりました。
これにより、JALでは2026年2月1日発券分からの燃油サーチャージ価格を、1段階引き上げます。2-3月発券分のひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが29,000円、ハワイ・インドなどが18,500円、タイ・シンガポールなどが15,500円となります。
これは片道の金額なので、往復の場合、北米・欧州・オセアニアなどは58,000円、ハワイ・インドなどは37,000円、タイ・シンガポールなどは31,000円です。
円安の影響で
最近の燃油サーチャージは8-9月分を底として、値上がりの傾向です。燃油価格の値動きは緩やかですが、10月の高市早苗政権発足以来、円安傾向が続いていて、サーチャージもそれを反映ししています。
過去1年の燃油サーチャージの変化は下表の通りです。(配信先で表が崩れる場合はこちらをご覧ください)
| 路線 | 25年 2-3月 |
25年 4-5月 |
25年 6-7月 |
25年 8-9月 |
25年 10-11月 |
25-26年 12-1月 |
26年 2-3月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 北米・欧州・中東・オセアニア | 29,000 | 33,000 | 29,000 | 21,000 | 25,000 | 25,000 | 29,000 |
| ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ | 18,500 | 21,000 | 18,500 | 13,500 | 16,000 | 16,000 | 18,500 |
| タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ | 15,500 | 18,000 | 15,500 | 10,500 | 13,000 | 13,000 | 15,500 |
| グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル | 9,500 | 11,000 | 9,500 | 6,500 | 8,200 | 8,200 | 9,500 |
| 東アジア(韓国、モンゴルを除く) | 7,400 | 8,500 | 7,400 | 5,000 | 6,200 | 6,200 | 7,400 |
| 韓国 | 3,000 | 3,500 | 3,000 | 2,000 | 2,500 | 2500 | 3,000 |
※片道あたり、発券日基準。
適用条件「ゾーンH」に
今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の「ゾーンH」に該当します。
| ゾーン | 基準価格 | サーチャージ額 |
|---|---|---|
| A | 6,000円~7,000円 | 4,500円 |
| B | 7,000円~8,000円 | 8,900円 |
| C | 8,000円~9,000円 | 13,400円 |
| D | 9,000円~10,000円 | 16,000円 |
| E | 10,000円~11,000円 | 18,500円 |
| F | 11,000円~12,000円 | 21,000円 |
| G | 12,000円~13,000円 | 25,000円 |
| H | 13,000円~14,000円 | 29,000円 |
| I | 14,000円~15,000円 | 33,000円 |
| J | 15,000円~16,000円 | 35,000円 |
| K | 16,000円~17,000円 | 38,000円 |
| L | 17,000円~18,000円 | 41,000円 |
| M | 18,000円~19,000円 | 44,000円 |
| N | 19,000円~20,000円 | 47,000円 |
| O | 20,000円~21,000円 | 50,000円 |
今後の見通しは?
直近では、燃油価格はやや値下がり傾向です。基準となるシンガポールケロシンの市況価格は86ドル程度で、今回の市況価格平均の89.86ドルより、4%程度値下がりしています。
為替相場は円安が止まらず、1ドル157円台の値動きになっています。今回の為替平均153.01円に比べると、3%程度の円安ドル高です。
このままの状況で推移すれば、燃油価格の下落を円安が打ち消して、燃油サーチャージは横ばいが続くでしょう。次回(4-5月発券分)の燃油サーチャージの基準価格は、今回と同じランクの13,000円台にとどまりそうです。
ただ、2025年12月19日の日銀利上げをきっかけに、円安傾向に拍車がかかっています。高市政権の緩和的な政策もあって、1ドル160円台も視野に入ってきました。原油価格が87ドル程度で推移した場合、1ドルが161円を超えると、燃油サーチャージの基準価格が14,000円以上になり、1段階上がります。(鎌倉淳)





















