北陸新幹線にかかわる割引乗車券が、JR各社から発表されました。東京~北陸エリアの間には、JR東日本から「えきねっとトクだ値」と「モバトク」「スーパーモバトク」が設定され、JR西日本から「WEB早特1」「eきっぷ」「e早特1」が設定されました。
現在、東京~富山・金沢などに設定されている「北陸回数券」「東京速達回数券」は廃止され、かわりとなる回数券は発表されませんでした。また、「北陸フリー乗車券」も廃止されます。「週末パス」はエリア変更はありませんが、「三連休パス」はエリアが縮小されます。
「お先にトクだ値」は設定なし
北陸新幹線を利用できる「えきねっとトクだ値」は、「東京~大宮」~「飯山~金沢」と、「長野」~「糸魚川~金沢」間に設定されます。価格は東京~金沢が12,700円(通常価格14,120円)、東京~富山が11,450円(通常価格12,730円)などとなっていて、おおむね1割引です。普通席のみの設定です。
大幅割引となる「お先にトクだ値」の設定はありませんでした。開業時点では混雑も予想されるため、設定が見送られたのでしょう。「お先にトクだ値」に関しては、将来的には設定されるとみられます。
「えきねっとトクだ値」がJR西日本区間でも設定されたことにより、JR西日本でも「えきねっと」のきっぷの受取が可能になりました。JR西日本で「えきねっと」で予約したきっぷの受取ができるのは、北陸新幹線各駅と、小松駅、加賀温泉駅、芦原温泉駅、福井駅、和倉温泉駅です。
一番安いのは「スーパーモバトク」
「モバイル Suica 特急券」(モバトク)も、北陸新幹線で利用できるようになります。こちらは北陸新幹線全区間の各駅相互間で利用できます。割引率は5%程度で、東京~金沢が13,380円、東京~富山が11,990円。「えきねっとトクだ値」よりも高くなっています。
グリーン車用、グランクラス用も設定されましたので、これらのクラスに乗るには、「モバトク」が唯一の割引きっぷのようです。
「スーパーモバイル Suica 特急券」(スーパーモバトク)も設定されました。「東京~大宮」~「富山~金沢」間のみの設定で、割引率は15%程度。東京~金沢が12,030円、東京~富山が10,780円です。北陸新幹線の最安きっぷは、「スーパーモバトク」ということになりそうです。
北陸新幹線に回数券なし
北陸新幹線の開業にともない、JR東日本の「北陸回数券」と「北陸フリー乗車券」も廃止されることが発表されました。これらのきっぷは北越急行または長岡経由ですので、廃止は当然なのですが、かわりのきっぷも発表されませんでした。JR西日本からも「東京速達回数券」に関する発表がなく、廃止とみられます。
東北新幹線の東京~八戸や新青森間にも回数券の設定はありませんので、JR東日本としては、新幹線の新規開業区間では回数券の設定を見送る方針なのかもしれません。
北陸フリー乗車券は割引率の高い乗り放題きっぷとして人気でしたので、こちらの廃止も残念に思う人は多いでしょう。
「三連休乗車券」はエリア縮小
「週末パス」や「三連休乗車券」は2015年3月以降も継続販売されます。週末パスはエリアの変更はありません。2015年3月14日以降は、第三セクターに移管される長野~妙高高原~直江津間について、しなの鉄道とえちごトキめき鉄道を利用できます。北陸新幹線の長野~上越妙高間も乗車できます。
三連休乗車券は、2015年3月14日以降は、長野~新井間の在来線が乗車できなくなります。しなの鉄道が三連休乗車券に参加していないためとみられます。えちごトキめき鉄道のうち、新井~直江津間は乗車可能で、北陸新幹線の長野~上越妙高間も利用できます。
「WEB早特」は「トクだ値」と同価格
JR西日本では、「e5489」で北陸新幹線を利用できます。設定された割引きっぷは、「WEB早特1」「eきっぷ」「e早特1」の3種類です。このうち、会員登録だけで利用できるのが「WEB早特1」で、「eきっぷ」「e早特1」はJ-WESTカード会員専用です。
「WEB早特1」は、「福井・金沢~糸魚川」~「東京」と、「大阪・京都」~「富山・新高岡」に設定されており、金沢~東京が12,700円、富山~東京が11,450円。「えきねっとトクだ値」と同価格です。
「eきっぷ」は、「WEB早特1」と同じ設定区間で、金沢~東京が13,480円、富山~東京が12,730円です。モバトクより100円高い設定です。「e早特1」は「福井・金沢~富山」~「東京」に設定されていて、金沢~東京が12,130円、富山~東京が10,880円です。こちらはスーパーモバトクより100円高い設定です。
「e5489」の割引きっぷがJR東日本区間でも設定されたことにより、JR東日本でも「e5489」のきっぷの受取が可能になりました。JR日本で「e5489」で予約したきっぷの受取ができるのは、北陸新幹線の各駅と東京都区内の主要駅です。
関西から北陸への割引きっぷは継続販売
関西から北陸への割引きっぷは、おおむね価格変更のうえ、継続販売されます。関西~金沢以東の主要駅(高岡・富山など)に設定されている回数券についても、北陸新幹線と「サンダーバード」を金沢駅で乗り継いで利用できるようになります。
このとき、北陸新幹線は普通車自由席のみの利用に限定されます。
北陸乗り放題きっぷはエリア変更
関西エリア発の 「北陸乗り放題きっぷ」 もフリーエリアの変更を行ったうえで販売が継続されます。これまでは、福井~直江津間とその枝線のJR西日本区間がフリーエリアでしたが、今後は、福井、石川、富山の北陸三県のJR西日本線と第三セクター線がフリーエリアになります。
フリーエリアは、東は越中宮崎までに縮小されますが、西は小浜まで拡大されます。北陸新幹線も金沢~黒部宇奈月温泉間がフリーエリアに入っており、この区間で普通車自由席が乗り放題になるとみられます。
JR東海の割引乗車券は継続販売
JR東海の「北陸指定席特急回数券」や「北陸往復割引きっぷ」(いずれも主に名古屋~北陸エリア)は、「金沢~富山」間を新幹線利用に切り替えたうえで、価格変更して販売が継続されます。
「北陸観光フリーきっぷ」 も販売は継続されます。フリーエリアは変更がなく、第三セクターに移管される区間(金沢~黒部)についても、これまで同様、乗り降り自由です。北陸新幹線の金沢~黒部宇奈月温泉間についても、普通車自由席なら乗り降り自由となっています。