JAL羽田~イタリア直行便はいつまで運航できるか? アメリカ「内紛」で転がり込んだ羽田昼間枠の行方

JALが7月~9月に羽田からミラノ・ローマへのイタリア直行便を運航します。羽田~ミラノが9往復、羽田~ローマが8往復の、計17往復です。羽田の出発時刻はともに16時で、到着時刻は8時。いわゆる羽田昼間枠の時間帯です。

羽田昼間枠は2013年10月に配分され、1日あたりJALが5枠、ANAが11枠で決着しました。この16枠にイタリアは含まれておらず、羽田~イタリアの昼間便は本来なら設定できないはずです。では、今回のイタリア便はどこから生まれてきたのでしょうか。

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アメリカの内紛

航空事情に詳しい方にはよく知られている話ですが、2013年の配分では、予定されていた国のうち、唯一アメリカの1日9枠だけは決着しませんでした。理由はアメリカ側の「内紛」で、デルタ航空とユナイテッド航空が路線開設に消極的なため、アメリカの航空当局が交渉に及び腰なのです。デルタもユナイテッドも、以遠権を活用して成田空港をアジアのハブとしています。そのため、羽田枠を配分されても活用しづらく、メリットよりデメリットが多い、という事情が背景にあります。

また9枠の配分は、日本側はJAL、ANA各2で決まりですが、米側はアライアンスに配慮して、デルタ3、ユナイテッド1、アメリカン1になると予想されています。これにユナイテッドが異論を唱えて交渉を遅らせている、という見方もあります。

JALイタリア直行便

アメリカ枠がイタリア枠に化けた

いずれにしろ、貴重な羽田昼間枠40のうち、2割以上にあたる9枠が宙に浮いたままになっているのです。あまりにももったいない話なので、羽田から定期便が未就航の都市であればチャーターで利用できるよう、国土交通省航空局が1月に決定していました。これを活用した第1弾が、JALのイタリア直行便なのです。いわば、アメリカ枠がイタリア枠に化けたわけです。

イタリア路線は単価の高いビジネス需要が細いので、日系航空会社の通年運航には採算性の問題があります。しかし、観光需要は太いので、ピークシーズンだけの運航なら採算はとれるでしょう。旅行者としても日系のイタリア路線は大歓迎で、できるなら続けて欲しいと思う人は多いはずです。

このチャーター枠は、とりあえずは夏ダイヤが終わる10月までの設定です。ですから、JALのイタリア便も、どんなに延長しても10月末までしか運航できません。しかし、アメリカ枠に関する航空協議はいまだに決着しておらず、このままでは冬ダイヤでもチャーター枠は継続しそうです。採算の問題があり、冬ダイヤでも羽田~イタリア線が継続するかは不透明ですが、それ以外の都市へ新たなチャーター路線が登場する可能性はあるでしょう。

羽田から定期便未就航の都市で、旅行者ニーズが高そう場所といえば、シドニーやケアンズ、プーケット、デリー、イスタンブール、ウィーン、マドリッドなどが思い浮かびます。こうした未就航都市への便が充実するなら、それはそれで楽しみです。

いっそ、わがままなアメリカへの配分はやめて、全部他の国に回してしまえばいいのに、とも思いますが、いろんな事情でそうもいかないのでしょうね。

マイルフライトも設定!

旅行会社によるチャーター便は、一般向けの座席販売はしないことが多いですが、今回のイタリア直行便はJALが個人向けに販売し、特典航空券も利用できます。一部の便は、空席があれば必ず予約が可能な「マイルフライト」に設定されました。対象となるのは、7月2日・4日・16日発のミラノ行きと9日・11日のローマ行き、7月10日・12日・24日ローマ発と17日・19日ミラノ発の計10便です。

チケットの販売開始は5月1日午前11時からです。特典航空券の予約開始も同時刻です。

JALイタリア直行便・運航時刻表

●羽田~ミラノ線
JL8829 羽田16:00→ミラノ21:00
・運航日:7月2日、4日、16日、18日、30日、8月1日、15日、29日、9月12日
JL8820 ミラノ13:20→羽田08:00(+1)
・運航日:7月17日、19日、31日、8月2日、16日、30日、9月13日、27日

●羽田~ローマ線
JL8821 羽田16:00→ローマ21:05
・運航日:7月9日、11日、23日、25日、8月8日、22日、9月5日、19日
JL8822 ローマ13:15→羽田08:00(+1)
・運航日:7月10日、12日、24日、26日、8月7日、9日、23日、9月6日、20日

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