えきねっと、EX予約の相互受取が可能に。「当たり前」がやっと実現

2022年春開始

「えきねっと」と「EX予約」が、相互受取を開始します。JR東日本の駅で「エクスプレス予約」や「スマートEX」のチケットを、JR東海の駅で「えきねっと」のチケットを受け取れるようになります。

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2022年春サービス開始

JR東日本とJR東海は、JR東日本のインターネット予約サービス「えきねっと」と、東海道・山陽新幹線の予約サービス「EX予約」において、相互受取を開始すると発表しました。2022年春頃にサービスを開始します。

「えきねっと」(無料会員制)は、JR東日本・北海道のインターネット予約サービスで、全国の新幹線・特急列車を予約できます。

「EX予約」はJR東海・JR西日本のインターネット予約サービスで、エクスプレス予約(有料会員制)と「スマートEX」(無料会員制)があります。いずれも東海道・山陽新幹線の列車を予約でき、2022年春には九州新幹線も予約できるようになる予定です。

えきねっとEX予約相互受取
画像:えきねっと、EX予約より

受け取り容易に

どちらのサービスも、ネットで購入したきっぷを受け取って乗車する場合、受け取れるのは自社の鉄道駅が原則でした。たとえば、「えきねっと」で東海道新幹線のきっぷを予約した場合、JR東日本管轄外の新大阪駅や名古屋駅では受け取れないため、事前にJR東日本管内の駅で受け取っておかなければなりませんでした。

2022年春に相互受取が開始されると、こうした不便はなくなります。「えきねっと」のきっぷはJR東海の主要駅の指定席券売機で、「EX予約」のきっぷはJR東日本の東京都区内、横浜市内・川崎・鶴見線内、小田原、熱海の各駅の指定席券売機で受け取れるようになります。

これにより、「えきねっと」で購入したきっぷを名古屋駅や新大阪駅でも受け取れるようになります。「えきねっと」で東海道新幹線のきっぷを購入しても、きっぷの受け取りに気を遣う必要はなくなります。

新横浜駅では、「えきねっと」で購入したきっぷは篠原口でしか受け取れず不便でしたが、今後は新幹線口でも受け取れるようになります。

「EX予約」で購入した東海道新幹線のきっぷについても、渋谷駅や新宿駅、横浜駅などで受け取れるようになります。一部の受取専用機でしか受け取れなかった東京駅丸の内口でも、受け取りが容易になります。

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JR東海の予約にも

さらに大きな変化は、JR東海圏内での新幹線・特急の予約に、「えきねっと」が利用できるようになると見込まれることです。

たとえば、名古屋在住の利用者が、名古屋~新大阪間で東海道新幹線に乗るときに、「えきねっと」できっぷを予約しても問題なく乗車できることになります。あるいは、名古屋~高山間の特急「ひだ」のきっぷも、「えきねっと」で予約して、名古屋で受け取れば乗車可能になると見込まれます。

ただし、こうした点の詳細は正式発表されておらず、プレスリリースには「一部受け取れないきっぷがある」旨が書かれていますので、対象外になる可能性もあります。

e5489につづき

JR東海は、自社で在来線特急の予約システムを保有していません。そのため、在来線予約が可能なJR西日本のインターネット予約サイト「e5489」でのきっぷの受け取りを、2019年から同社内で可能にして、在来線特急のネット予約を事実上「e5489」に託しました。

今回の相互受取により、それが「えきねっと」にも解禁されるのであれば、JR東海域内の在来線特急を、JR東西のインターネット予約で購入可能になります。

一方、「EX予約」のチケットをJR東日本で受け取れるしくみは、東京、横浜など、東海道新幹線沿線でのみ解禁されます。JR東日本全域とならなかったのは、EX予約が東海道・山陽新幹線限定の予約システムのため、同新幹線沿線以外にきっぷの受取場所を広げる理由に乏しいからとみられます。

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当たり前のサービス

正直なところ、JR各社のインターネット予約の相互受取は、もっと早くから行われているべき、当たり前のサービスだったと思います。購入時に注意喚起が大きく表示されるとはいえ、そもそも乗車する新幹線のきっぷをその新幹線の駅で乗車前に受け取れない場合があるという仕組みは、制度として本質的に欠陥があったからです。

世の中にはJR東日本とJR東海の違いをよく理解しない人もいますし、海外からの利用客もいます。そういう「慣れない利用者」に対して、受取場所の制約は不便で不親切でした。遅くなったとはいえ、当たり前のサービスがようやく実現することになるわけです。

背景にインバウンド?

実現に至った理由は明確にはされていませんが、背景として政府の「観光戦略実行推進タスクフォース」で2018年に公表された「鉄道分野におけるインバウンド受入環境整備について」というとりまとめがあると思われます。このなかで、新幹線における無料Wi-Fiや大型荷物置場の整備などと並んで、インターネット予約環境の一層の充実が掲げられています。

近年の新幹線のサービス改善はこのとりまとめに沿ったものが多く、今回の相互受取も「インターネット予約環境の充実」の一環として行われたのでしょう。相互受取の実現により、EX予約の英語サイトで購入した東海道新幹線のチケットを、東京駅のどこででも受け取れるようになりますので、インバウンド客の利便性が改善します。

ちなみに、このとりまとめには「将来、予約ページの共通化等を図る」とも記されていて、相互受取は、インバウンド向けJR共通予約サイト構築の前段階とみることができるかもしれません。

どういう背景であれ、「当たり前のサービス」がようやく実現したのは、何よりです。(鎌倉淳)

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