JR四国が2016年度の区間別輸送密度を発表しました。大黒柱の本四備讃線や予讃線といった主力路線が前年度比増で、予土線、予讃線海線といった観光路線も堅調でした。反面、各県庁所在地から先の末端路線が苦戦しています。
JR四国・線区別輸送密度ランキング
JR四国が発表した2016年度の輸送密度ランキングです。輸送密度の低い順から掲載していきましょう。
路線名 | 区間 | 輸送密度(人/キロ/日) | 対前年比(%) |
---|---|---|---|
牟岐線 | 牟岐~海部 | 248 | 94.9 |
予土線 | 北宇和島~若井 | 333 | 108.5 |
予讃線(海線) | 向井原~伊予大津 | 457 | 102.9 |
牟岐線 | 阿南~牟岐 | 700 | 94.4 |
土讃線 | 須崎~窪川 | 1,153 | 99.3 |
鳴門線 | 池谷~鳴門 | 2,033 | 104.6 |
土讃線 | 琴平~高知 | 2,870 | 100.9 |
徳島線 | 佐古~佃 | 2,945 | 100.8 |
予讃線 | 松山~宇和島 | 3,101 | 96.9 |
内子線 | 内子~新谷 | 3,664 | 96.2 |
土讃線 | 高知~須崎 | 4,045 | 98.6 |
牟岐線 | 徳島~阿南 | 4,814 | 99.6 |
高徳線 | 高松~引田 | 4,998 | 104.0 |
土讃線 | 多度津~琴平 | 5,544 | 100.2 |
予讃線 | 観音寺~今治 | 6,029 | 101.8 |
予讃線 | 今治~松山 | 7,366 | 99.7 |
予讃線 | 多度津~観音寺 | 9,596 | 102.1 |
予讃線 | 高松~多度津 | 24,542 | 102.6 |
本四備讃線 | 宇多津~児島 | 23,962 | 102.8 |
JR四国 | 全線 | 4,692 | 101.3 |
※JR四国全線が利用できるフリータイプのきっぷについては、利用実態にかかわらず、発売実績に応じて全線(一部の線区を除く)で輸送人員(輸送人キロ)を計上。予土線は、四国内のフリータイプのきっぷによる輸送人員の影響を除いた場合、輸送密度は217人(対前年比率99.2%)となります。
奥四万十博、南予博の効果?
最大の伸び率となったのが予土線です。前年度比8%増と健闘しました。ただ、上記の注釈の通り、四国内のフリータイプのきっぷによる輸送人員の影響を除いた場合、輸送密度は対前年比99%となります。それでも、過疎ローカル線でこの数字は堅調といっていいでしょう。
予土線は、2016年に沿線で「2016奥四万十博」と「えひめいやしの南予博2016」が開催されました。それにあわせて、海洋堂ホビートレインがリニューアルされ、『かっぱうようよ号』として7月から運行されています。こうした効果が現れたのかもしれません。
そのほか、本四備讃線や予讃線今治以東、土讃線高知以北などの主力路線でも、前年比増を達成。全体的に堅調な1年だったようです。
牟岐線阿南以南が大幅減
一方で、予讃線の松山以西や土讃線高知以西、牟岐線といった、高松から見て「県庁所在地の向こう側」の末端路線は苦戦しています。観光列車が走る予讃線海線は健闘したものの、それ以外は軒並み前年割れで、とくに牟岐線の阿南以南は前年度比5%以上の大幅減となりました。
牟岐線に接続する阿佐海岸鉄道では、DMVの導入で起死回生を図ろうとしています。成功すれば牟岐線の輸送密度向上にも貢献しそうです。なかなか難しいチャレンジだとは想いますが、期待したいところです。(鎌倉淳)