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リニア中央新幹線はJRグループから独立した運賃・料金制度を導入か。2027年開業の中間駅発表で見えてきたJR東海の思惑

2027年に開業予定のリニア中央新幹線の駅には「みどりの窓口」などのきっぷ売り場がありません。これは、JR東海が、2013年5月13日に山梨県昭和町で開いた住民説明会で明らかにしたものです。

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中間駅は実質的に無人駅?

この説明会では、リニア中央新幹線で設置される「中間駅」の概要が初めて公表されました。それによると、駅にはトイレと施設管理事務所が設けられますが、出札室はなし。営業専任要員も配置されません。実質的に無人駅のような運営形態になるようです。

リニア駅

それにしても、リニアの駅が「事実上の無人駅」というのは衝撃的です。JR東海によると、その理由は、きっぷが全席予約販売されることを想定しているからだそうです。リニア中央新幹線では、座席は全席指定で自由席は設けられません。きっぷはインターネットなどでの予約やチケットレスなどの事前販売を前提にしているそうです。JR東海の宇野護・中央新幹線推進本部長は「将来に向けた新しい販売システムを考える必要がある。定員乗車だけにして、チケットレス化も一つの方法だ」と述べました。

「無人駅ならローカル線にいっぱいある」とお考えの方もいるかもしれません。しかし、ローカル線の無人駅は、きっぷを持っていなくても列車に乗ることは可能で、車内で精算することができます。それに対し、リニアの無人駅はきっぷがなければ列車に乗ることができない想定のようですので、既存の無人駅とは性質が異なります。

リニア中間駅構造

リニア中間駅立体構造

駅できっぷを買えないことの意味

リニア中央新幹線が開業するのは14年後。未来型の販売方法を模索することは理解できます。とはいえ、さすがに「駅できっぷを買えない」「きっぷを用意して駅に来なければ列車に乗れない」という発想には驚かされます。リニアの乗車にインターネット販売やチケットレスを導入するのは理解できるとしても、JR他社線に乗り継ぐきっぷなどはどうするのか? そう考えたときに、JR東海が考えている運賃・料金システムの姿が見えてくるのではないでしょうか

つまり、JR東海は、リニア中央新幹線を既存のJRグループから完全に分離した運賃・料金体系にすることを検討していると思われます。JRグループの共通運賃制度は採用せず、JR東海の在来線・新幹線とも独立した運賃・料金体系を想定しているのでしょう。だからこそ、こうした予約システムや駅構造の発想に至ったのだと思われます。

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既存のJR共通運賃に縛られない

言葉をかえれば、リニア中央新幹線は国鉄時代から引き継がれた路線ではないため、既存のJR共通運賃・料金制度に縛られない、ということです。現在の「EX-ICサービス」の「新幹線チケットレス運賃」のようなものをベースにしていて、それ以外の運賃制度を認めない可能性があります。リニア駅からリニア駅までのチケットだけを販売し、在来線きっぷとは完全に分離するということです。既存路線との共通運賃を設定するとすれば、東海道新幹線の新大阪方面だけでしょう。

JRグループの共通運賃制度は、利用者にはメリットが大きいですが、事業者には不利益が大きい部分があるのは事実。JR東海としては、全額自社負担で作るのだから、旧国鉄の運賃制度に縛られたくないと考えているのかもしれません。要するに、国鉄の分割民営化の呪縛から逃れたい。リニア中央新幹線の運賃制度には、JR東海のそうした思惑が詰まっているように見えてしまいます。

地元自治体が肩代わりも

とはいうものの、もしきっぷ売り場が設置されなければ、JR東海の他路線のきっぷも買えません。JR東海の駅で同社の在来線のきっぷすら買えないわけで、不便な気もします。14年後に在来線のきっぷが全てチケットレスになっているとは考えづらいので、結局、「やっぱり窓口が必要」というようなことになるのではないか、と予想します。

ただ、その窓口は、地元に委託するのかもしれません。今回発表された中間駅概要では、JR東海の利用スペースが極限まで抑えられている一方で、貸出スペースは豊富にあります。「きっぷ売り場が欲しければ、地元自治体が貸出スペースに売り場を設置してください」。JR東海なら、そんなことを言い出しそうな気がしますが、考えすぎでしょうか。

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