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九州大学・鉄道新線計画の概要。JR筑肥線から伊都キャンパスへ直通!

運行系統はどうなる?

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九州大学・伊都キャンパスへ鉄道新線を建設する計画が浮上しました。JR筑肥線波多江駅から大学まで約4kmを建設するものです。その概要と課題をまとめてみました。

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波多江~伊都キャンパス間に建設

九州大学は箱崎地区、六本松地区、原町地区のキャンパスを統合移転し、福岡市西区と糸島市にまたがる新キャンパス(伊都キャンパス)を建設中です。2005年に移転を開始し、2018年秋に完了します。

新キャンパスへのアクセスは、博多・天神からのバスで40~50分、JR筑肥線九大学研都市駅からのバスで13分です。筑肥線で博多駅~九大学研都市駅間は約30分ですので、いずれのルートでも福岡市中心部から40分以上かかります。

実際には、九大学研都市駅で路線バス待ち行列があったり、道路渋滞があったりしますので、もっと時間がかかることもあります。そこで糸島市では、大学アクセス改善のための調査を東京のコンサルタント会社に委託。その結果がこのほどまとまりました。

九州大学移転
画像:九州大学伊都地区フレームワークプラン2014より

1日1万人の利用予測

調査では、「基幹的な公共交通システムの導入が必要」との判断に基づき、鉄道、モノレール・新交通システム、LRTの3方式について検討しました。

その結果、モノレール・新交通システムは建設費が高く維持費もかさむとし、LRTは建設費は安いものの維持費がかかるとしました。

鉄道については、JR筑肥線波多江駅~伊都キャンパス間に建設した場合、筑肥線への直通運転が可能で、福岡市中心部や福岡空港などからの所要時間を大幅短縮できます。単線で建設した場合に50年間の維持費が最も安く、「定時性・速達性の確保、事業性の観点から鉄道が適当」と結論付けています。

運営は上下分離方式とし、鉄道の需要を1日8,500~12,000人と予測しています。年間5億4,000万円~7億6,000万円の収入が見込め、維持管理費は年間4億円と推計。概算の事業費は260億~290億円で、50年以内に黒字化できると予測しています。

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筑肥線直通列車を設定できるか

JR筑肥線波多江駅~九州大学伊都キャンパス間は、直線距離で約4km。詳細なルートは決まっていませんが、波多江駅を出てすぐに北上し、九州大学伊都キャンパスの西端付近が終着になる見通しです。中間付近に「いとしま駅」(仮称)を設置します。

「九州大学新線」を、仮にこのルートで建設するとして、まず気になるのは筑肥線への直通列車を設定できるのか、という点です。

現在、筑肥線は日中に毎時4本運転しています。このうち2本が西唐津発着で、2本が波多江駅から一つ唐津寄りの筑前前原駅で折り返します。

「九州大学新線」ができて直通運転をする場合、筑前前原駅折り返し列車を新線へ振り分けることになりそうですが、そうすると、筑前前原駅の列車本数が半減してしまいます。

筑肥線筑前前原駅

基本的には線内折り返し?

筑前前原駅は糸島市の中心駅です。1日の乗車人員は7,353人で、筑肥線では九大学研都市駅の8,264人に次いで2位となっています。

「九州大学新線」ができた場合、1日1万人ほどが九州大学駅を利用すると見込まれますので、筑前前原駅の利用者のほうが少なくなります。だからといって、現状で沿線屈指の利用者数を誇るターミナル駅の列車本数を半減させるのは難しいでしょう。

現実的には、朝夕の列車本数が多い時間のみ、筑前前原駅発着の列車を一部、九州大学駅発着に振り向けて直通運転とし、日中は、基本的に波多江駅~九州大学駅の折り返し運転とするのが適当でしょう。それでも朝の通勤・通学時間帯に始発列車が減る筑前前原駅利用者からは、苦情が出るでしょうが。

いずれにせよ、波多江駅は2面3線といった構造にして、上下線とも対面乗り換えが可能で、折り返しもできる構造が望ましいでしょう。

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1日1万人で鉄道が必要か

「九州大学新線」の実現性ですが、現時点ではなんともいえません。九州大学という有力大学へのアクセス路線ですから、将来的にも輸送人員は保証されているといえますし、需要予測の読み誤りの可能性は小さいでしょう。

問題は、1日1万人程度の利用者のために、鉄道を建設するのか、という点でしょうか。定員70~80人のバスなら、のべ百数十台で運びきれる計算です。道路を整備して連節バスを導入すれば、もっと少ない台数で済むでしょう。

一般論ですが、都市内交通では移動距離がおおむね10km以上で1時間に1,000人以上が移動する場合に鉄道ないし地下鉄が適しているとされます(『都市交通計画』、新谷洋二編、技法堂出版)。

新線を筑肥線と一体的に考えれば利用者の移動距離は10kmを超えそうですが、1時間1,000人となると、新線区間では、超える時間帯もあれば、超えない時間帯もある、という程度でしょう。

また、鉄道を建設しても、利用者の大半は通学定期の学生で、通勤客に比べて一人当たりの収入が少ないという課題もあります。

それでも、福岡市中心部からの利便性を考えるなら、鉄道の優位性は間違いありません。大学のインフラという側面もあるでしょうし、念入りな検討のうえ、実現を期待したいところです。(鎌倉淳)


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