東京~秋田が3時間20分台に? 「新仙岩トンネル」で秋田新幹線はどう変わるか

もちろん運休・遅延が減少します

秋田新幹線の仙岩峠で新しい検討されている新トンネルについて、その概要が明らかになってきました。全長は約15kmで、開通すれば時短効果は約7分とのこと。これにより、秋田新幹線と田沢湖線は、どう変わるのでしょうか。

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国内最長の在来線トンネル

仙岩峠は秋田新幹線(田沢湖線)の赤渕~田沢湖間にある奥羽山脈の分水嶺です。同線は現在、全長3.9kmの仙岩トンネルでこれを越えています。ここに新たなトンネルを建設することが検討されています。

JR東日本が計画している「新仙岩トンネル」は全長約15kmです。15kmのトンネルが実現すれば、在来線最長とされる北陸トンネルの13,870mを抜きます。秋田新幹線(田沢湖線)は在来線ですから、「新仙岩トンネル」が完成すれば、在来線の鉄道トンネルとしては国内最長になるわけです。

赤渕~田沢湖間は18.1kmありますが、新トンネルにより同区間の大半がトンネル区間になります。これにより、運行時間が約7分短縮すると見込まれています。

秋田新幹線「こまち」の東京~秋田間の現在の所要時間は、最短で3時間37分。7分短縮となれば、3時間30分となります。

一方、東北新幹線では、上野~大宮間で速度向上の工事が予定されており、その時短効果1分を加えると、東京~秋田間で3時間30分の壁を破り、最短3時間20分台で到達できる計算です。東北新幹線では、新世代車両による360km/h運転も構想されていますので、さらなる時短もあり得るでしょう。

E6系

普通列車は不便にならない

秋田新幹線はミニ新幹線で、田沢湖線の普通列車と線路を共用しています。新トンネルができた場合の田沢湖線への影響ですが、赤渕~田沢湖間に在来線の駅はありませんので、「新仙岩トンネル」による駅の廃止はありません。

この区間は岩手・秋田の県境にあることから、もともと普通列車の運転本数は少なく、定期列車は4往復のみです。新トンネル開通によって、普通列車が不便になることはなさそうです。

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運休・遅延を減らせる

仙岩峠区間は、地形的に風雨や雪の影響を受けやすく、悪天候による運休や遅延が発生しやすくなっています。新トンネル建設はそうした状況を改善するのが目的で、開通すれば、秋田新幹線の運行安定性が向上します。

秋田新幹線の運休や遅延が減れば、乗り入れ先の東北新幹線の運休や遅延も減少します。

要するに、時短効果は大きくはありませんが、東北新幹線系統での運休や遅延を減らせることが、「新仙岩トンネル」建設で得られる最大の効果でしょう。

ミニ新幹線建設に匹敵する大事業

工期は最低でも10年。総事業費は約600億円~700億円と見込まれています。

秋田新幹線建設時の直接工事費が598億円でしたので、新トンネルはミニ新幹線新規建設に匹敵する大事業となります。当然、JR東日本が独力で作ることは難しく、同社は県や国の補助を求めています。

建設されるとして、どういう枠組みで、どんな補助が行われるかは未定です。なんであれ、巨額の税金を投入してまで建設する価値があるのかは、有権者が判断することでしょう。(鎌倉淳)

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