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羽田空港の新規発着枠配分を読み解く。過半数が事実上全日空に。25枠のうち「実質18枠」はさすがに多すぎないか。

2013年3月に増える羽田空港の発着枠が、以下のように決まりました。

・全日空 8往復
・スターフライヤー 5往復
・スカイマーク 4往復
・日本航空 3往復
・ソラシドエア 3往復
・エア・ドゥ 2往復

経営破綻した日本航空への対応をどうするか、で注目された配分ですが、結果は全日空の大勝となりました。対日本航空において8対3で勝った、というだけではありません。スカイマークへの配分も4枠に押さえられたからです。

今回配分された6社のうち、日本航空とスカイマークだけが全日空と無関係な会社です。それ以外は全日空とコードシェアを結んでいる会社で、全日空の子会社に近いエアラインも含まれています。そうした「協力会社」を含めると、全日空は実質的に18枠。主要株主に全日空が含まれていないスターフライヤーを除いても13枠。いずれにしても全日空が羽田新規発着枠の過半数を押さえたのです。

この配分を読み解くと、国土交通省の以下のような方針が見えてきます。

・日本航空は対全日空で差別する。
・現時点で羽田枠の少ないスターフライヤーを優遇する。

上記二つの方針は合理的な理由ですので、今回の決定を「妥当な配分」という声も少なくありません。

とはいえ、全日空、日本航空、スカイマークという3大勢力で見渡すと、実質的には全日空が過半数を獲得した、という結果になります。これは誇張でもなんでもありません。

たとえば、エア・ドゥは今回の新規発着枠を羽田・釧路線の2往復新設に使うようです。同区間には全日空が2往復運航しています。もし、全日空がこの2往復の自社運航から撤退して、エア・ドゥとのコードシェアに踏み切れば、全日空は釧路線2往復を維持しながら羽田の2枠を捻出できます。このようなことが起こったら、今回のエア・ドゥ向け羽田発着枠2往復が、間接的に全日空に回ることになります。こうした手段が可能なため、「実質的には全日空が過半数を獲得した」と表現できるのです。

一方で、日本航空は元々かなりの羽田発着枠を持っています。経営破綻を考慮すれば、今回の配分数が少ないのはやむを得ません。であるならば、今回はもう少しスカイマークに枠を渡すべきではなかったか、という気がします。

スカイマークは、航空業界からすれば異端児でしょう。新規就航と撤退を繰り返し、安定しない。羽田空港ターミナルビルの施設利用料徴収でビル会社へ訴訟を起こす。「機内での苦情は一切受け付けない」などという文書を機内に置く。業界秩序から見れば「非常識」ということを繰り返す会社で、業界内では煙たがられているのかもしれません。

ただ、利用者の視点から眺めると、風景は少し違います。スカイマークの普通運賃は全日空、日本航空はもとより、他の新規航空会社と比べても劇的に安く、利用者にとっては大変ありがたい存在です。過去10年の航空業界の価格低下は、スカイマークの存在無しにはあり得なかったのは間違いありません。神戸、茨城の両空港の開港時も、全日空と日本航空が消極的な姿勢を見せるなか、スカイマークが救いの手をさしのべました。こうした貢献度が、今回の配分枠に現れているのかというと、疑問に思えます。

とはいえ、スカイマークがエア・ドゥとソラシドエアより枠が多い、ということについては評価すべきなのでしょう。エア・ドゥとソラシドエアは全日空の資本が入った「実質的子会社」であることを、国土交通省も考慮したのかもしれません。

羽田の発着枠は、どんな配分の仕方でも批判は出るものです。ただ、配分を受けた会社の新規就航路線から、実質的な親会社が撤退するようなことだけは、監視してほしいものです。

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