小学5年生の息子を連れて、シンガポールへ旅行してきました。子連れ海外旅行の行き先としてシンガポールが最高な理由を、12項目挙げてみましょう。家族で楽しめる施設が多く、治安も良好、交通機関も使いやすく、小学生の海外デビューには最適な国です。
コロナに円安で
かつてはバックパックを担いで海外を旅してきた筆者ですが、子どもができてからは、一人でバックパッカーというわけにもいかなくなりました。コロナに加えて円安もあって、海外旅行からは遠ざかってきました。
一方で、息子は成長してきており、海外旅行もできそうな様子。そこで、子連れの海外旅行デビュー先として定評のある、シンガポールへ行ってみました。
実際に行ってみると、子連れの海外旅行先としてシンガポールは最高でした。その理由を挙げながら、子連れシンガポール旅行のポイントをご紹介してきましょう。
1 距離が適度
海外旅行の旅先を選ぶときの最初のポイントは、日本からの距離でしょう。韓国、台湾あたりが近くで行きやすいですが、子どもに「海外」を味わってもらうなら、もう少し遠いほうが、「外国感」があろうとも思います。
その点、シンガポールへは、日本から飛行機で7時間程度。飛行機として「乗りごたえ」のある距離です。とはいえ、片道1日の距離なので、朝に出発すれば夕方に到着できます。
深夜便なら、「夜行の旅」を体験することも可能です。時差が1時間なので、時差ぼけの心配もほとんどありません。
2 治安がよく、秩序が整っている
日本からの距離ならば、タイやベトナムも捨てがたいのですが、子連れ旅行でシンガポールが魅力的なのは、やはり治安です。
路上強盗やひったくり、誘拐といった犯罪率の低さだけでなく、たとえば、地下鉄では整列乗車がおこなわれていて、2席を占拠せずにきちんと座る、優先席が機能している、エスカレーターの右側をあける、というような秩序は、日本以上に整然としています。
3 下手な英語に優しい
シンガポールは国語がマレー語ですが、公用語の一つとして英語が使われています。したがって、町の看板から食事のメニューまで、すべて英語表記があり、英語がある程度できれば不自由なく旅行できます。
シンガポール人の英語は独特で聞きづらい点もあるのですが、逆に、こちらが下手くそでも問題ありません。下手な英語を話しても、相手の対応が優しいです。
4 交通が便利で使いやすい
シンガポールは地下鉄(MRT)でだいたいどこへでも行けますし、バスも充実しています。GoogleMapの乗換案内も文句なく機能していて、地下鉄とバスを組み合わせれば、だいたいの場所へ移動できます。
ICカード1枚で乗車でき、駅でのチャージも容易。きっぷを買うストレスがありませんし、運賃も低廉です。
シンガポールの地下鉄は、1980年以降に整備されてきたからか、駅構内はゆとりがあり、バリアフリーも行き届いています。空調も完備で快適です。
5 二階建てバスが走っている
路線バスは二階建ても走っていて、移動手段としてだけではなく、乗り物アトラクションとして、子どもと楽しめます。
バスの系統番号は車内外にきちんと表示されていますので、適当な路線に乗っても、GoogleMapと照らし合わせながら、適当に降りることができ、迷いません。
6 ライドシェアが便利
鉄道・バス以外では、ライドシェアも便利で、アプリで呼べば5分でクルマがやってきます。子どもが疲れたときに、ひょいと呼べるのは、大変助かります。
何回か利用しましたが、基本的にどのクルマもきれいで、運転手の応対も丁寧です。クレジットカードを登録しておけば、料金支払いの心労もありません。
7 家族で楽しめる施設が多い
バックパッカー的な目線で見ると、シンガポールは観光資源の乏しい国です。世界遺産はシンガポール植物園だけですし、歴史的な建造物もほとんどありません。観光の目玉とされてきたマーライオンは「世界三大がっかり」などとして、バックパッカーのネタにされてきました。
ただ、近年のシンガポールは、家族で遊べる施設が次々と建設されています。ざっとリストにしてみると、次のようになります。
【セントーサ島】(統合型リゾート)
○ユニバーサル・スタジオ・シンガポール
○シー・アクアリウム(世界最大級の水族館)
○アドベンチャー コーブ ウォーターパーク(大型プール施設)
【マリーナ・ベイ・サンズ】(統合型リゾート)
○スカイパーク(屋上のインフィニティプール)
○ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ(人工植物園)
【マンダイ・ワイルドライフ・リザーブ】(野生保護区)
○ナイト・サファリ(夜間サファリパーク)
○シンガポール動物園
○リバー・ワンダー(淡水動物園)
○バード・パラダイス(アジア最大の鳥類園)
セントーサ島とマリーナ・ベイ・サンズは、統合型リゾート(IR)です。日本でも、大阪の万博跡地に統合型リゾートが建設される予定ですが、そのモデルとしても知られています。
二つの統合型リゾートと、一つの野生保護区には、ファミリーが楽しみやすい施設が揃っています。とくに、ナイトサファリは世界的に珍しく、一見の価値があります。
8 外国人コミュニティがある
よく知られている通り、シンガポールは多民族国家です。チャイナタウン、リトルインディア、アラブストリートといった外国人コミュニティがあり、それぞれの文化の雰囲気が漂う街並みが楽しめます。
訪れてみると、観光化されてはいるものの、それぞれの文化での生活の息吹が感じられます。もちろん、安全に見学することもできます。
一つの国で、他民族のコミュニティが混在して共生していることを、子どもが見て歩いて体験できることは、子連れ海外旅行の価値を高めるのではないでしょうか。
9 フードコートやファストフードが多い
シンガポールには、観光地や商業施設で、フードコートが目に付きます。フードコートでは、家族連れが気兼ねなくローカルフードを食べられますし、時間もかかりません。
筆者もいくつかのフードコートを訪れましたが、テーブルをメンテナンスするスタッフが多く、清潔に管理されていました。
ファストフード店も多く、吉野家、すき家、マクドナルド、ケンタッキー、モスバーガーといった、日本でおなじみのチェーンも目に付きます。
したがって、好き嫌いの多い子どもでも、食べ物の心配をあまりしなくて大丈夫でしょう。モスバーガーでテリヤキバーガーを食べてみましたが、完璧に日本と同じ味でした。
最近はスシローが増えているようです。筆者もシンガポール動物園近くのスシローに入ってみました。価格は日本より何割か高いものの、鮮度管理はしっかりしていて、ネタによっては日本の回転寿司より美味しいくらいでした。
10 キャッシュレスで両替の必要があまりない
世界各地でキャッシュレス化が進んでいますが、シンガポールも例外ではなく、VISAのタッチ決済があれば、だいたい事足ります。地下鉄もコンビニもタッチ決済が使えます。
子どもはクレジットカードがないのでタッチ決済が使えませんが、駅窓口で交通系ICカードを入手すれば、地下鉄乗車は問題ありません。
そのため、小銭を使う必要がほとんどありません。したがって、両替の必要があまりなく、現金をほとんど持ち歩かなくていいので、子連れでは精神的にラクです。
ちなみに、物価は日本より少し高い印象ですが、腰が抜けるほどではありません。
11 清潔。とにかく清潔
シンガポールが、衛生管理の厳しい国であることはよく知られています。ゴミのポイ捨てや地下鉄車内での飲食には高額な罰金が課されますし、とにかくルールに厳しい国です。
そのためか、どこも清潔です。駅のトイレなども、よく掃除が行き届いています。
トイレは駅だけでなく、商業施設や観光施設にも多く設置されています。国によっては、トイレを探すのに一苦労しますし、見つけたとしても用を足すのに勇気が要る場合もあります。しかし、シンガポールで観光をしているぶんには、トイレの心配はあまりありません。
トイレットペーパーや液体石けんも、旅行者が行くようなトイレでは、だいたい常備されています。
12 出入国がスムーズ
出入国の行列は、国によっては過酷で、子どもには負担がかかることもあります。ですが、シンガポールの出入国はほぼ自動化されていて、行列はあまりありませんでした。
ただし、事前の登録は必要で、指紋も顔写真もばっちり採取されます。これは、最近はどこの国も同じようなので、気にしても仕方ありませんが。
楽しめるの?
筆者にとって、シンガポールは、15年ぶり3回目でした。といっても、最初に訪れた1999年は2泊、前回の2010年は1泊しただけです。
そのため、ほとんど何も見ていませんし、どこへ行ったかすら、はっきりとは覚えていません。ですので、昔を語るほどの経験はないのですが、一人旅の観光客が見るべきものはほとんどなかったと記憶しています。1999年にはIRもありませんでしたし、有り体にいえば、観光的にはつまらない国でした。
しかし、2025年の現在、シンガポールは意外と見どころが豊富です。とくに、家族で楽しめる観光地が充実しています。いずれも人工的な施設ですが、それこそがシンガポールらしいともいえます。小学生の海外デビュー先としては適しているでしょう。
ちなみに、筆者は、日本朝発・現地夜発の、いわゆる「4泊6日」の日程でした。ただ、子連れ旅行としては若干、長い気もしましたので、現地は3泊でも十分でしょう。3泊4日でも行きたい場所を絞れば事足りますし、帰路を夜行便にして3泊5日とすれば、最終日を有効に使えます。(鎌倉淳)
※より細かい旅行日程にご興味のある方は、2025年シンガポール旅行記をご覧ください。