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首都高速の日本橋地下化ルート案を読み解く。銀座線の下、半蔵門線の上

走りやすそうではない

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首都高速道路の日本橋区間地下化のルート案が公表されました。地下埋設物を避けるためにひねり出された導入空間は、銀座線の下、半蔵門線の上。カーブと勾配が続く道路になりそうです。

竹橋~江戸橋で大規模更新

日本橋上空に首都高速ができたのは1963年。橋を覆い尽くす高架に対し、景観面で改善を求める声は、古くからありました。

2012年には、首都高速の再生に関する有識者会議が提言書をとりまとめ、老朽化した首都高都心環状線の高架橋を撤去し、地下化などを含めた再生を目指す検討を提案しています。

こうした声を受け、首都高速会社は竹橋JCT~江戸橋JCTの2.9kmで大規模更新を計画。それにあわせ、日本橋区間の地下化へ向けた検討を開始しました。

2017年7月には、国と都が日本橋区間の首都高速の地下化検討開始で合意。11月に首都高日本橋地下化検討会を設置して、地下を通るルートの具体案を探ってきました。

日本橋
画像:首都高日本橋地下化検討会資料

八重洲線を活用

2018年5月22日に開かれた第2回検討会で、首都高速道路の日本橋区間の地下化について、具体的な整備ルート案が公表されました。

竹橋JCT~江戸橋JCT間の2.9kmのうち、地下化検討区間が1.8kmです。検討の結果、既存の首都高八重洲線を活用して、新たにトンネルを建設する区間を1.2kmに抑えます。

大手町から日本橋にかけての地下には、上下水道や電力施設などのインフラ設備が埋まり、東京メトロ・銀座線、半蔵門線や都営浅草線などの地下鉄も通っています。大手町と日本橋では、それぞれ再開発も進められており、地下ルートは再開発も視野に入れながら検討されました。

竹橋JCTに近い大手町周辺はすでに再開発が完了しつつあり、いまさら首都高速を地下に入れるのは困難です。しかし、日本橋周辺は再開発が計画段階にあることから、検討会は江戸橋~神田橋間について地下化が可能と判断しました。

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JR線との交差が困難

では、公表された検討プロセスを読み解いていきましょう。

これが、日本橋区間の地図です。数字の付いている断面について見ていきます。

首都高日本橋地下化検討資料
画像:首都高日本橋地下化検討会資料

まず、断面1です。仮に新たな道路を神田橋付近から建設する場合、JR線とどう交差するかが問題になります。地下を掘る場合、JR線高架の基礎が地下10メートルまで伸びており、これを回避しなければなりません。

首都高日本橋地下化断面
画像:首都高日本橋地下化検討会資料

さらに、断面2の常盤橋付近では、日本橋川南岸は半蔵門線と交差することもあり、やはり導入空間がありません。

首都高日本橋地下化断面
画像:首都高日本橋地下化検討会資料
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銀座線の下をくぐる

日本橋に近づいた、断面3の西河岸橋付近。北岸で半蔵門線と日本橋川の間に導入空間があります。また、日本橋川南岸は再開発事業の計画段階で、こちらにも導入空間を確保できます。

断面4は、日本橋の北、銀座線との交差付近です。銀座線は浅い位置を走りますので、首都高速はその下をくぐることになります。

首都高日本橋断面
画像:首都高日本橋地下化検討会資料

昭和通りは北岸に

断面5、日本橋近接では、日本橋の下には首都高速の基礎がなく、導入空間になります。

断面6、昭和通りとの交差では、日本橋川北岸が導入可能空間です。都営浅草線とほぼ同じ深さですが、このポイントでは支障しません。

首都高江戸橋断面
画像:首都高日本橋地下化検討会資料
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縫うようにつなぎあわせる

こうした条件をつなぎ合わせて完成したのが、下記の整備ルート案です。限られた空間を縫うように高速道路が建設されます。

首都高日本橋整備ルート案
画像:首都高日本橋地下化検討会資料

呉服橋、江戸橋出入口は廃止

神田橋から地下への導入は、既存の八重洲線を活用します。外堀通りの下付近で分岐し、都市計画が未決定の八重洲1丁目北、日本橋1丁目1・2番の地下を経由して銀座線、日本橋(中央通り)をくぐります。

そのあたりから急勾配になり、昭和通り付近で半蔵門線の上をかすめ、浅草線の上をまたぎ、江戸橋JCT付近で地上に。そのまま現在の江戸橋JCTの東端付近で、首都高速6号線に合流します。

地図を見る限りは、現在の日清製粉のビルあたりが開口部になりそうですが、詳細は明らかにされていません。

新ルートでは、現在の都心環状線にある呉服橋と江戸橋の出入口は設置されません。両出入口は廃止されます。

八重洲線が「都心環状線」に

現在は都心環状線竹橋方面から江戸橋JCTを経由して汐留方面に向かうことができますが、地下化によって、このルートは通れなくなります。

かわりに八重洲線や、それに続く東京高速道路(KK線)を通って汐留方面に向かうルートを整えます。つまり、八重洲線が「都心環状線」の一翼を担うわけです。

八重洲線、KK線では、現在大型車が通行できませんので、この対応が必要になりますが、その検討は今後に持ち越されました。

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走りやすそうではない

総事業費は4,000~5,000億円規模と見込まれていましたが、トンネル部分を縮減することで、相当な圧縮が可能になりそうです。決定した整備ルートの建設費は未公表です。また、費用分担も未定です。

正直なところ、決定されたルートを見ると、カーブと勾配の多い地下区間となりそうで、あまり走りやすそうな道には見えません。はっきりとはわかりませんが、江戸橋JCT口は水平距離1,000mに満たない長さで垂直距離30mをこなすように見えるので、カーブしながら3%以上の勾配区間になりそうです。

日本橋の景観を取り戻すことに異論を挟む人はほとんどいないと思いますが、新たなトンネルの道路構造は気になります。現在もこのあたりは走りにくい場所ですが、せっかく作り直すのですから、少しでも走りやすく、事故が起こりにくい構造にしてほしいところです。(鎌倉淳)


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