首都高速中央環状線全通で渋滞はどうなった? 都心環状線は改善も、熊野町や板橋の合流部では混雑悪化

都と首都高速道路会社が、全線開通から半年が経過した首都高速中央環状線の利用状況を発表しました。それによりますと、中央環状線全通により都心環状線と放射線上りの合流部を中心に渋滞が緩和。一方、中央環状線の熊野町JCTや板橋JCTでは渋滞が悪化しています。

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全通半年のとりまとめ

首都高速中央環状線は、2015年3月7日に大橋JCT~大井JCT間9.4kmがつながり全線開通しました。

都と首都高速道路会社は、開通後6ヶ月のデータをとりまとめ、「中央環状線開通後6ヶ月の整備効果について」として2015年11月12日に発表しました。それによりますと、開通により都心環状線で混雑が緩和された一方、中央環状線の合流部では混雑が増えています。

渋滞の規模は、「渋滞損失時間」という指数で表されます。この指数が、中央環状線全通後どう変わったか見てみましょう。

中央環状線開通前後の渋滞損失時間の変化

  • 浜崎橋JCT 3,730→750
  • 谷町JCT 2,250→480
  • 三宅坂JCT 1,540→430
  • 竹橋JCT 3,470→2,250
  • 大橋JCT 2,390→1,910
  • 中野長者橋付近 360→2,030
  • 熊野町JCT 3,490→4,740
  • 板橋JCT 5,230→6,390

※単位(台・時/日)。開通前→開通後

中央環状線渋滞図表:首都高速道路会社

熊野町~板橋の渋滞は悪化

ご覧のように、都心環状線関連では、浜崎橋JCTでは開通前3,730が開通後750になったのをはじめ、渋滞の改善が目立っています。

一方で、中央環状線関連では、大橋JCTの渋滞がやや緩和したものの、それ以外では渋滞が激しくなっています。

熊野町JCT~板橋JCT間は以前から渋滞が激しかったのですが、今回の中央環状線全通により、さらに混雑している様子が数字上からもはっきりしています。この区間は現在の3車線を拡幅して4車線にする工事が図られていますが、開業は2017年度の予定。渋滞の改善にはしばらく時間がかかりそうです。

全体の交通量は?

全体の交通量はどう変化したでしょうか。まず、新規開通区間である大橋JCT~五反田間は1日5.2万台も走行しているとのこと。この影響で中央環状線既存区間も交通量が増加し、初台南~富ヶ谷間で開業前5.0万台が8.1万台と62%増、中野長者橋~西池袋間が7.4万台から8.6万台に16%増となっています。

1日あたり交通量変化

  • 中環/大橋JCT~五反田 5.2
  • 中環/初台南~富ヶ谷 5.0→8.1(△62%)
  • 中環/中野長者橋~西池袋 7.4→8.6(△16%)
  • 3号/渋谷~大橋JCT 6.2→5.9(▼5%)
  • 3号/大橋JCT~池尻 10.7→10.9(△2%)
  • 都環/竹橋JCT~神田橋 12.4→11.6(▼6%)
  • 都環/浜崎橋JCT~芝公園 11.9→9.2(▼23%)
  • 11号/芝浦JCT~台場 6.6→5.7(▼14%)
  • 1号/芝浦JCT~芝浦8.6→7.8(▼9%)

※単位:万台。中央環状線開業前→開業後。( )内は増減率

首都高速交通量図表:首都高速道路会社

浜崎橋~芝公園が大幅減

上記のデータからは、湾岸線方面から新宿、中央道方面へのクルマが中央環状線に移転したことが見て取れます。これが中央環状線の各JCTでの渋滞の激化につながっているようです。

一方で、浜崎橋JCT~芝公園間は11.9万台が9.2万台へと23%の大幅減、渋谷~大橋JCTが6.2万台から5.9万台へ5%の減少となっており、対応する都心環状線や放射線区間での利用量が減っています。

レインボーブリッジを通る芝浦JCT~台場間も、6.6万台が5.7万台へ14%も減少しています。

全体的には改善した?

全体的には、当初予想された通りの利用の転移が起きています。中央環状線内側の利用交通量は約5%減少、渋滞損失時間は約5割減少したとのこと。実際にクルマで走ってみても、都心環状線は確かに流れやすくなったと思います。

そのぶん、中央環状線と放射線の合流部での渋滞は激しくなっていて、全体に改善したかというと、何とも言いがたいところ。それでも、トータルすれば、十数年前に比べて、首都高速都心部の渋滞はずいぶん減ったな、とは感じます。

2017年10月31日には、圏央道の桶川北本~白岡菖蒲間が開通し、東名高速から東北道までが結ばれました。この開通により、首都高速中央環状線の利用量にどんな変化があるかも注目したいところです。

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