「新東名~横浜」の高速道路新ルート、2025年度開通へ。圏央道・釜利谷延伸で何が変わるか

横浜町田~海老名を避けられる

圏央道の神奈川県区間、藤沢IC~釜利谷JCT間が2025年度までに開通します。開通により、圏央道は横浜横須賀道路と接続し、新東名高速と横浜南部をつなぐ新ルートが誕生します。

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藤沢IC~釜利谷JCT

圏央道の神奈川県区間のうち、未完成で残されているのは藤沢IC~釜利谷JCT間14.2kmです。

このうち、藤沢IC~栄JCT間7.5kmが横浜湘南道路、栄JCT~釜利谷JCT間6.7kmが高速横浜環状南線として建設中です。横浜環状南線は、戸塚IC~栄JCT~釜利谷JCT間8.9kmが一体で整備されていて、戸塚では横浜新道と近接します。

横浜湘南道路は2024年度の開通見込み、横浜環状南線は2025年度の開通見込みと発表されています。すべて開通すれば、圏央道が横浜横須賀道路、首都高速湾岸線、横浜新道と横浜市内でつながります。

これにより、横浜市から東名高速に乗る場合、横横道路・湾岸線・横浜新道から圏央道に入り、海老名南JCTを経て伊勢原JCTに至るルートができます。

これまでは保土ヶ谷バイパスで横浜町田ICから東名高速に入るのが一般的なルートでしたが、圏央道延伸後は、横浜南部や三浦半島方面から東名高速に向かう際は、圏央道ルートが便利になりそうです。

圏央道パンフレット
画像:圏央道神奈川区間パンフレット(横浜国道事務所)より
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新東名のアクセス路に

この新ルートは、新東名高速へのアクセス路としての役割も期待されます。

新東名は2022年4月16日に伊勢原JCT~新秦野IC間が開通したばかりです。

新東名高速道路
画像:NEXCO中日本プレスリリース

その先、新秦野IC~新御殿場IC間の約25kmが建設中で、当初は2023年度の開通を予定していましたが、延期となっています。新たな開通予定は示されていませんが、2020年代後半には開通しそうです。

新東名は海老名南JCTが当面の起点(終点)となり、都心方面へ具体的な延伸予定はありません。すると、新東名から都心方面に向かう場合、伊勢原JCTで東名に合流し、横浜町田IC方面へ向かうのが一般的になります。

しかし、伊勢原の先、海老名JCT~横浜町田IC間は、途中に大和トンネルをはさみ、東名高速で最も混雑する区間です。したがって、新東名が全通しても、海老名~横浜町田間がネックとなります。

そこで、圏央道~横横/湾岸線/横浜新道ルートが、この再混雑区間を避けるルートとして機能しそうです。このルートを使えば、新東名から横浜市内や都内まで、東名を一切経由せずに高速で走りきることができるからです。

端的にいえば、都心延伸が具体化していない新東名高速道路において、その肩代わりをするのが圏央道ルートということになります。

圏央道
横浜湘南道路パンフレット(横浜国道事務所、2018年9月刊行)より
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どのくらい大回り?

その場合、どのくらいの走行距離になるのでしょうか。圏央道ルートと、横浜町田ICを経由する保土ヶ谷バイパスルート、または横浜青葉ICを経由する横浜北西線ルートを比較してみましょう。

東名高速と新東名高速が交差するのは伊勢原JCTです。

伊勢原JCT~狩場JCTを比較すると、保土ヶ谷バイパスルートで約32km。圏央道ルートで約46kmです。その差は約14kmありますので、横浜市中心部へ行くなら従来通り、保土ヶ谷バイパスルートが有利でしょう。

しかし、伊勢原JCT~釜利谷JCTで比較すれば、保土ヶ谷バイパスルート約44kmに対し、圏央道ルートが約34kmで、逆転します。横浜市南部へ行くなら圏央道ルートが短く、横横道路では日野IC以南なら圏央道ルートに軍配が上がりそうです。

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東名渋滞を避けるなら

東名高速の海老名JCT~横浜町田IC間の渋滞は深刻です。したがって、この区間を避けられるのであれば、少々距離が長くても選択する意味があります。

たとえば空港中央(羽田空港)を起点と考えると、横浜青葉ICを経由する横浜北西線ルートは約61kmです。一方、湾岸線で並木を経て釜利谷を経由する圏央道ルートは約71km。約10km大回りになりますが、通過に30分かかるような渋滞を避けるなら意味があるでしょう。

そう考えると、都内でも湾岸線エリアからなら、横浜町田~海老名間の大渋滞を避けるために、渋滞情報を見ながら圏央道ルートを選ぶケースも出てきそうです。

付加車線も工事中

東名高速では、横浜町田~海老名間の大和トンネル付近において、付加車線を設置する工事を進めています。全区間を4車線にするわけではありませんが、これが完成すれば、渋滞も多少は緩和するでしょう。

圏央道への分散効果もあって、2026年以降は、東名高速の横浜町田IC~海老名JCT間の渋滞もだいぶ緩和されるかもしれません。

中央道へのアクセスも改善

ここでは、主に横浜市内から東名・新東名のアクセスに注目しましたが、さらに効果が大きそうなのは中央道へのアクセスです。横浜市内から中央道はアクセスしにくいのですが、釜利谷から圏央道を使うとスムーズになります。

これまで保土ヶ谷バイパス経由で115分かかっていた八王子JCT~本牧ふ頭間が、圏央道開通後51分にまで短縮されます。

一方、圏央道に流入するクルマが増えれば、JCTを中心に新たな渋滞が発生するものです。とくに海老名南JCTが新たな渋滞名所になる可能性は高いですし、横横道路も釜利谷JCT付近で渋滞が起こりやすくなりそうです。(鎌倉淳)

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